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ジャガイモの芽の出ない保存方法は?大量消費レシピも【専門家監修】

  • 2022.5.26
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コロッケにポテトサラダ、カレー、肉じゃが、グラタン、ビシソワーズ(冷製ポタージュスープ)など、さまざまな料理で老若男女に愛されているジャガイモ。ほかの野菜に比べて保存がきくので、ついたくさん購入して「気づいたら芽が出ていた…」なんてこともありがちです。今回は、ジャガイモをおいしく長持ちさせる保存方法を解説。茹で方や冷凍の保存法、大量消費したいときにおすすめの「ジャガイモのガレット」のレシピなども合わせて紹介します。

【特徴】品種によって食感がさまざま。料理に合わせて選ぶと楽しい

ジャガイモはナス科ナス属の野菜で、原産地は南米のアンデス高原。日本へは1600年頃、オランダ船によって長崎に持ち込まれたとされています。そのときの出港地がインドネシアのジャガトラ(現在のジャカルタ)だったことから、「ジャガトライモ」が詰まって「ジャガイモ」と呼ばれるようになりました。

また、行政上では「馬鈴薯(ばれいしょ)」と呼ばれます。これは土の中でのイモのつき方が、馬の首に付ける鈴の形に似ていることに由来しているそう。

ジャガイモは「根」ではなく、でんぷんが溜まって肥大化した「地下茎」です。冷涼な気候を好むため、南北に長い日本では涼しい地域に移動しながら1年を通して安定的に収穫できます。

春に見かける「新じゃが」は収穫後すぐに出荷されるジャガイモを指し、旬は3〜6月。小ぶりでみずみずしいのが特徴で、皮付きのまま素揚げやじゃがバターにしていただくのがおすすめです。

ジャガイモの品種

日本での二大品種は、「男爵」と「メークイン」。近年は甘みの強い「キタアカリ」や「インカのめざめ」なども人気です。ほかにもたくさんの品種があるので、ぜひ食べ比べてみてください。

■男爵(だんしゃく)

明治時代に導入されたジャガイモの代表品種で、ゴツゴツとした丸い形が特徴。果肉は白く粉質で、加熱するとホクホクした食感になることから、粉ふきイモやマッシュポテト、コロッケなどに向いています。

■メークイン

大正時代にイギリスから導入された品種。細長い卵形で表面がつるつるしており、皮がむきやすいのが特徴です。果肉は粘質で煮崩れしにくいため、肉じゃがなどの煮物やカレーなどの煮込み料理に◎。

■キタアカリ

「男爵」とドイツの品種「ツニカ」をかけ合わせて生まれた人気品種。やや扁平な球形になっており、果肉は明るい黄色で粉質。男爵よりも甘みがあり、「栗じゃが」「黄金男爵」とも呼ばれています。男爵よりも煮崩れしやすいので、ポテトサラダやコロッケがおすすめ。

■インカのめざめ

こちらも人気の高い希少品種。一般的なジャガイモは糖度4〜5度ですが、「インカのめざめ」は6〜8度にもなります。果肉は鮮やかな黄色で、栗やさつまいもを思わせる濃厚な味。入手できたら、ぜひ「じゃがバター」などのシンプルなレシピで味わってみてください。

【選び方】ふっくらとして形がよく、重量感のあるものが良品

ジャガイモはどの品種でも、全体がふっくらとしていて凹凸が少なく、持ったときに重量感があってかたいものを選びましょう。

シワのあるものは古くなって味が落ちている可能性大。表面に傷がないか、芽が出ていないかもチェックしましょう。

ジャガイモの芽や緑色に変色している部分には、「ソラニン」という有毒物質が含まれています。ソラニンを大量に摂取すると、下痢や腹痛などを引き起こすことも。調理する際にその部分をしっかり取り除けば大丈夫ですが、購入時から避けておくのがベターです。

【保存】常温or野菜室保存が基本。マッシュポテトにして冷凍しても

ジャガイモは乾燥しないように新聞紙で包むか紙袋に入れ、風通しの良い冷暗所で常温保存するのが基本。冷暗所がない場合や暑い時期には、新聞紙で包んでからポリ袋に入れ、野菜室で保存を。どちらの方法も2〜3か月保存可能です。保存の際にリンゴを一緒に入れると、リンゴから出るエチレンガスでジャガイモの発芽を防ぐことができます。

ジャガイモは、生のままでも調理後でも、冷凍すると食感が悪くなります。どうしても冷凍保存したいときは、マッシュポテトにしましょう。ジャガイモを茹でて熱いうちに潰し、粗熱が取れたら使いやすい量に小分けにして、ラップで平らに包みます。冷凍用保存袋に入れて冷凍すれば、約1か月保存可能です。

使うときは電子レンジで解凍し、味付けしてそのままいただくか、ポテトサラダやグラタン、コロッケ、ビシソワーズなどにアレンジを。

【栄養・効果】エネルギー源になる野菜。ビタミンC豊富で損失が少ない

ジャガイモの可食部100gあたりのエネルギーは59kcal。主成分はでんぷんなので、主食代わりのエネルギー源にもなります。

ビタミンC、B1、B6などのビタミン類も豊富で、フランスでは「大地のりんご」とも呼ばれています。ジャガイモのビタミンCはでんぷんに包まれているので、保存時や加熱時の損失が少ないのも特徴。ビタミンCはタンパク質からコラーゲンを合成して骨や血管を強化し、老化予防、免疫力を高める効果、美肌効果が期待できますよ。

【茹で方】皮ごと水から茹でるのがベスト。少量ならレンジ加熱しても

ジャガイモは茹で方や茹で時間によって味や食感に違いが出ます。

王道は、切らずに皮ごと水から茹でる方法。水っぽくならずにホクホクの食感を楽しめます。鍋にジャガイモとかぶるくらいの水を入れて中火で熱し、沸騰したら弱めの中火にして20分ほど茹でましょう。竹串がすっと通るようになったら茹で上がりです。

茹で時間を短縮したいときは、皮をむいて、使う大きさに切ってから茹でてもOK。茹でる量や切った大きさにもよりますが、6〜8分ほどで竹串がすっと通るようになるでしょう。仕上がりは、皮付きで茹でるよりも水っぽくなります。

また、1〜2個の少量なら、電子レンジ加熱が手軽。ジャガイモをよく洗ってから皮付きのままラップに包み、600wの電子レンジで1分30秒、裏返してさらに1分30秒を目安に加熱しましょう。2個なら表裏合わせて5〜6分が目安です。

【食べ方】幅広い調理法が可能。大量消費は「ガレット」がおすすめ

ジャガイモの調理時は、有毒物質「ソラニン」が含まれる芽や緑色の変色部分がないか、よくチェックしてください。あれば必ず取り除きましょう。

調理方法は、ふかす、茹でる、煮る、炒める、焼く、揚げるなどさまざま。メニューも、コロッケ、ポテトサラダ、フライドポテト、グラタン、肉じゃが、いももち、カレー、シチュー、ビシソワーズなど、幅広く活用できます。

大量消費したいときは、主食にもなる「ジャガイモのガレット」がおすすめ。ジャガイモ3個で2〜3人前になります。

■ジャガイモのガレット

1.ジャガイモ3個(約450g)の皮をむいて千切り、またはスライサーで細切りにする。ボウルに入れて、塩コショウ(各少々)を加えて混ぜる。

2.フライパンにオリーブ油(大さじ1)を引いて中火で熱し、1の半量を平らに広げる。ピザ用チーズ(60g)を散らし、その上に1の残りを広げる。

3.フライ返しで押さえつけながら、焼色が付くまで6〜8分焼く。

4.3を裏返し、オリーブ油(大さじ1)を鍋肌から流し入れ、フライ返しで押さえつけながら、焼色が付くまで6〜8分焼く。

ジャガイモがうまくまとまらないときは、工程1で塩コショウと一緒に小麦粉(大さじ1)を加えてみてください。また、工程2で使うピザ用チーズを工程1で混ぜ込んでもつなぎ代わりになります。

工程2で、チーズと一緒に薄切りにしたウインナーやベーコンを加えると、ボリュームと旨みがアップしますよ。

レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。

栄養監修:内山由香

「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。

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