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ノーベル賞も「塞翁が馬」。山中伸弥教授の半生が絵本になった。

  • 2022.5.23
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iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した、山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所)は、現在も不治の病を治すために研究を続けている。背景には、失敗や挫折に負けずに好奇心を持ち続けた姿勢があった。そんな山中教授の半生を描いた絵本が発売された。

『ブックウィング 山中伸弥とiPS細胞』(新興出版社啓林館)は、小学校中学年以上に向けて、山中教授のこれまでの活躍を、教授と女の子との対話形式で描いている。

長く闘病を続ける女の子・ミシェルが、病気が治らないことをあきらめかけていた時、窓の外から羽の生えた本を見つけることからストーリーが始まる。本を持ったまま眠ってしまうと夢の中に現れたのは、なんと山中教授だった。「山中先生」は夢の中でいろいろな話をしてくれる。

家の中でボヤ騒ぎを起こした少年時代の思い出、高校生の時に父親を亡くして医者になろうと決意したこと、手術がうまくできずに臨床医をあきらめたこと......。その後、研究医として生きるためにアメリカの研究所で寝ずに研究に励むも、なかなかうまくいかず、心が疲れてしまったことも、「山中先生」はミシェルにそっと打ち明ける。挫折の中でも恩師の言葉や仲間の励ましで、あきらめずに研究を続けた結果、iPS細胞の発見に成功。そして、ノーベル賞を受賞した。

「山中先生」の、好奇心を持ち続け、あきらめない姿勢は、闘病中のミシェルを勇気づけ、病気と向き合う気持ちへと変化していく――。

想定外の結果が大きなチャンスにつながる

本書のテーマは、「塞翁が馬」。山中教授が何度も口にしている言葉だ。

「山中教授の言葉を借りれば、『失敗や落胆が大きな発見につながったり、挫折を通して力が蓄積される。また、想定外の結果が大きなチャンスにつながっているのだ』とあらわされます。(編集者の言葉より)

失敗しても大丈夫、挫折はいつかきっと糧になる、と優しく諭す山中教授の言葉は、病気で苦しんでいる子はもちろん、多くの子どもたちに勇気を与えてくれるはず。大人も読みたい絵本だ。

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