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ペットボトルで雲をつくる方法、知ってる?

  • 2022.5.20
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昨年刊行されベストセラーとなった、『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)が、パワーアップして帰ってきた。シリーズ続編『もっとすごすぎる天気の図鑑 空のふしぎがすべてわかる!』(KADOKAWA)は、もっと詳しく、さらに濃い天気のトリビアが満載だ。

著者の荒木健太郎さんは気象学者で、特に雲の研究が専門。『天気の子』、『おかえりモネ』の気象監修にも関わった。これらの作品で「天気って面白そう」と思った方、ぜひこの本で天気の世界を覗いてみてはどうだろうか。

本書は前作と同じ「雲」「空」「天気」「気象」に、新たに「季節」の章が追加。天気にまつわる専門的な知識を、図解や写真、オリジナルキャラクター・パーセルくんたちのイラストで、わかりやすく楽しく学ぶことができる。本書の内容を一部ご紹介しよう。

ペットボトルで雲をつくろう!

「雲にさわってみたい」と思ったことはないだろうか。実は、あなたの手元に雲を生み出す方法がある。用意するものは以下の3つだけだ。

・空のペットボトル(炭酸飲料が入っていたもの)
・アルコール消毒スプレー
・炭酸キーパー(ペットボトルにつけて炭酸を抜けにくくするキャップ。100円ショップなどで買える)

まず、空のペットボトルの中にアルコール消毒液を2、3回スプレーする。このアルコールが、雲をつくる芯の役割を果たす。次に炭酸キーパーをつけ、20~30回、空気が入らなくなるまで押す。最後に炭酸キーパーのキャップを一気に開けると、ペットボトルの中に雲が発生する。

炭酸キーパーを押すと、ペットボトルの中の空気が縮む。ここでキャップを開くと、縮んでいた空気が一気に膨らみ、膨らむためのエネルギーとして熱が使われて温度が下がる。空気の温度が下がると、空気に含むことができる水蒸気の量が減る。空気の中にいられなくなった水蒸気が水の粒になり、雲が発生するという仕組みだ。ちなみに、空気が縮んでいる状態は気圧が高く、キャップを開けて空気が膨らむと気圧が下がる。天気が悪いと「低気圧でうんざりする」と思う方も多いはずだが、気圧と天気のメカニズムはこんなふうになっていた。

日常でも小さな雲が発生している瞬間がある。冷凍庫からアイスクリームを出すと、白いモヤモヤしたものが出ていることはないだろうか。これも雲と同じメカニズムだ。空気がアイスクリームで急激に冷やされ、水蒸気が空気の中にいられなくなって雲になる。今年の夏は、アイスクリームを冷凍庫から出して「あっ、雲」と思うかもしれない。ちょっと素敵だ。

2100年の東京は、災害級の猛暑!?

天気はわくわくするだけでなく、私たちの生活と密接に結びついている。本書では、日本の気候にかかわる気象現象や、天気図の読み方など、実践的な知識もわかりやすく学ぶことができる。

なかには「2100年の東京の気温」なんていう話題も。現在、私たちは地球温暖化という課題を抱えている。地球温暖化をくい止めるために、資源を再利用したり、太陽光パネルなど再生可能エネルギーを利用したりするなど、何か対策をしている人もいるかもしれない。しかし世界の対策は十分とは言えず、地球の気候は今も急激に変わっていっている。

もし仮に何も対策をしなかったら、地球はどうなってしまうのだろうか? 本書によると、今のまま有効な対策がとられずに地球温暖化が進んだ場合、2100年8月21日の東京の最高気温は43.3度になるそうだ。日本ほぼ全国で最高気温40度を超え、熱中症で毎年1万5000人が亡くなり、作物が育たず、海面水温の上昇で毎年猛烈な台風が来る......そんな未来が予報されている。

こうして具体的な予報を見ると、現実味をもって「地球温暖化、やばい。どうにかしなきゃ」と思えるのではないだろうか。『おかえりモネ』でも言われていたように、気象予報は未来の人々を救う。天気の知識はまさに、「面白くてためになる」のだ。

■荒木健太郎(あらき・けんたろう)さんプロフィール
雲研究者・気象庁気象研究所研究官・博士(学術)。1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。地方気象台で予報・観測業務に従事した後、現職に至る。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、気象災害をもたらす雲の仕組みの研究に取り組んでいる。映画『天気の子』(新海誠監督)気象監修。MBS/TBS系『情熱大陸』など出演多数。主な著書に『空のふしぎがすべてわかる!すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA)、『世界でいちばん素敵な雲の教室』『雲を愛する技術』『雲の中では何が起こっているのか』、気象絵本などがある。

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