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「年収アップの理想的な転職だったのに」30代女性が突然内定を辞退した信じられない理由

  • 2022.5.19
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転職でチャンスをつかめる人と、逃す人は何が違うのか。転職エージェントの森本千賀子さんは「せっかくのチャンスをふいにしてしまう女性を多く見てきた。そんな『もったいない!』ケースは大きく4つのパターンに分けられ、いずれも自分を過小評価したり、新しい環境に飛び込むことが不安だったりする心理が関係している」という――。

ビジネススーツで軽やかにジャンプする女性
※写真はイメージです
転職市場は、女性に追い風

5月は1年の中でも求人数が多い時期です。4月に入社した人たちの受け入れが落ち着き、次年度の採用計画が動き出したり、4月からの新体制で不足している人材に気付いたりと、新しい求人が出てきやすいのです。

そして今、転職市場では、女性に追い風が吹いています。

今年4月、改正女性活躍推進法が施行され、労働者数101~300人の事業者に対しても、女性活躍推進の行動計画の策定・公表が義務付けられました。また、「SDGs」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」が叫ばれていますが、この中では「ダイバーシティ(多様性)」「ジェンダー平等」が重要テーマとなっています。

こうした背景から、多くの企業が「女性活躍推進」「女性管理職比率の引き上げ」の取り組みを加速させています。当然、中途採用における女性のニーズも上昇しているのです。

ところが、女性によく見られる行動特性により、せっかくのチャンスを逃してしまうケースが少なくありません。私がこれまで見てきた、女性によくある「もったいない!」パターン4つをご紹介します。

① キャリア飛躍のチャンスなのに! 直前でビビって内定辞退

「うーん、もったいない!」「彼女、いずれ後悔することにならないだろうか……」

そんな結末を迎えた、ある女性の転職活動事例をお話しします。

Aさん(30代)は人事職。成長意欲が高く、「もっと仕事の幅を広げたい」「運用だけでなく企画から手がけたい」と、転職活動へ踏み出しました。

面接を受ける中で、ある企業からポテンシャルを高く評価されたAさん。実務経験は不足していたものの、上司となる方に「しっかりフォローするので大丈夫」と言っていただき、チームリーダーのポジションで内定を獲得。彼女にとってはまさに希望どおりのチャレンジができ、しかも年収アップという、理想的な内定となりました。

ところが、つい先週まで「ぜひ入社したい」と意欲を見せていたAさんが、突然「やはり内定を辞退したい」と……。理由を尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「経験がないミッションなので、やはり自信がありません。迷惑をかけてしまいそうです」
「プレッシャーを感じて、自分自身を追い込んでしまうような気がします」

転職エージェントの視点から見て、この転職は、Aさんにとって大きくキャリアを飛躍させるチャンスだと確信していました。それだけに、漠然とした不安だけでチャンスを手放してしまうのは「もったいない」と思いました。

考えすぎて不安になり、チャンスに二の足

実は、こうした事例はAさんに限らず、女性に多く見られます。向上心を持って理想を描き、そこに向けて努力する。ところが、「現実」が迫ってくると考えすぎて不安に陥り、目の前のチャンスに二の足を踏んでしまうのです。

こうしたケースは、ワーキングマザーの転職活動でも見られます。「今の会社はサポート業務しか任せてくれない。責任のあるミッションを担い、キャリアを築きたい」と希望したはずが、それがかなう企業から内定を得たにもかかわらず、「今の生活が変わるのは怖い」と辞退してしまうのです。

こうした傾向は、「昇進」のシーンでも見られます。管理職に抜擢された女性が、「自信がない」と辞退してしまう。女性には、自分の能力・実績を過小評価してしまう「インポスター症候群」が多いと言われており、女性管理職を増やしたい人事担当者を悩ませています。

私としては、「思い切って飛び込む勇気を持って!」と背中を押したいです。なぜなら、自信が持てないながらも「とにかくやってみる」と決断し、数年後に「あのときチャレンジして本当に良かった」と笑う女性たちをたくさん見てきましたから。

決断するために大切なのは、「自分は何がやりたいのか」「将来どうなりたいのか」という「WILL」(意思)を明確にし、その軸をぶらさないこと。迷ったときにWILLに立ち返れば、今どんな決断をするのがベストかを冷静に見極めやすくなります。

それでも、不安を感じるのは当たり前のこと。転職先で上司となる方とじっくり対話し、どんな点が不安なのかを伝えましょう。そして、不安を解消するにはどんな環境やサポートが必要なのか、あるいは何を学んでおけばいいのかなど、解決法を言語化してください。「こう進んでいけば大丈夫」という道筋を可視化することが大切です。

そして上司や同僚となる方にバックアップを約束してもらえたら、それを素直に信じ、遠慮なく頼りましょう。

② 受け身の転職活動。「何となく」もらった内定をどうするか決められない

WILLが明確になっていないと、不安に駆られて迷う以外にも弊害があります。「受け身」の姿勢で転職活動を進めてしまうことです。

現状に漠然とした不満を抱き、「環境を変えてみたい」程度の意識で転職活動を始める人は多数いらっしゃいます。そうするとどうなるか。

求人を選ぶ基準がわからない

何となく興味がある企業、経験を生かせそうな企業に応募してみる

複数企業で内定を得ても、優先順位をつけられない

やっぱり転職をやめる

元の職場に戻り、再び悶々とした日々を過ごす

こんなループにはまってしまう人は少なくありません。

ビルの谷間で上を見上げる女性
※写真はイメージです
質問で突っ込まれて不採用に

そして、時には思いがけないダメージを受けてしまうこともあります。例えば、転職エージェントに相談したとします。求職者の志向や価値観を大切にして、中長期視点でキャリアを考えてくれるコンサルタントにあたればラッキーですが、そうでない場合、単に経験・スキルがマッチする企業を紹介されます。

勧められるがままに応募すると、経験・スキルはあるので、スムーズに内定に至ることもありますが、中には面接で、「あなたは何を大切に働くのか」「この先どう成長したいのか」と、深く掘り下げた質問をされることがあります。そこで答えられないと不採用になります。すると、「自分は評価されなかった」と自信を失い、仕事やキャリアにポジティブに向き合えなくなってしまうこともあるのです。

だからこそ、WILLの軸が大切です。「何となく迷っている、悩んでいる」ならば、まずは何に迷っているのか、何に悩んでいるのかを言語化・可視化しましょう。迷いや悩みの原因がはっきりすれば、それに対して「これからどうしたい」が明確になります。そうすれば、方向性がはっきりするので、主体的な活動・決断ができるようになるはずです。

悩みを可視化していく作業は、一人で行うと迷路にはまりがちですので、「壁打ち相手」になってくれる人を見つけることをお勧めします。信頼できる友人・知人のほか、より客観的視点で一緒に考えてくれるキャリアカウンセラー、キャリアコーチなどに相談してみるのもいいでしょう。

③ いろいろな人に相談、ネガティブな意見をもらって大混乱

女性の転職活動で多く見られる行動の一つが、「誰かに相談する」です。先ほどの事例でも触れたように、環境の変化や未経験の業務に対して恐怖心を抱きやすく、「安心したい」「大丈夫だと言ってほしい」といった心理から、複数の第三者に相談することが多いようです。

相談することで安心したり、良い発見ができたりすればいいのですが、逆効果になるケースも多々あります。前向きに転職を考え、背中を押してもらいたくて相談したのに、「その業界って○○だよ」「その会社、△△って噂を聞くよ」などとネガティブな情報を吹き込まれ、一気に不安に傾いてしまうのです。

こうしたことは、「退職交渉」の場でも起こります。上司は部下に辞められると困りますから、引き留めるために「○○社? あそこの社長、いい評判を聞かないよ」なんて言われることも。ですから、退職交渉の際は、転職先の社名を聞かれても言わないのが鉄則です。

家族との相談も同様です。「ベンチャー企業なんてすごく忙しいだろう。育児と両立は難しいよ」と夫から言われて、あっさりあきらめたりする人もいます(実際は、ベンチャーの方がリモートワークなどの融通が利くことも多いのですが……)。

人の意見に振り回されない

特に、自分よりビジネス経験値が高い人の言葉には影響を受けやすいようです。まったく根拠がない情報や意見も、素直に受け取ってしまう傾向が見られます。「そんな見方もあるよね」と受け流せず、事実の検証もせず、選択肢から排除してしまうのです。とてももったいないことです。

転職活動のプロセスで誰かに相談することは、思考を整理する上では有効です。しかし、ネガティブな情報や意見に振り回されないようにしましょう。

そもそも理想が100%かなう場所はありません。理想的な環境は、置かれた場所で自分の努力によって作っていくものでもあります。大事なのは、自身のWILLにマッチするかどうか。軸をぶらさずに判断しましょう。

④ 「キャリアの価値」に無頓着。不当な報酬額でも受け入れてしまう

やりたい仕事、やりがいある仕事を選ぶことはもちろん大切。しかし、それをかなえるだけで満足し、「報酬」に無頓着な女性が少なくありません。

世間の相場を知る転職エージェントから見て、「これだけの経験を持つ人材が、この年収では低すぎる」と思うような金額を提示されても、素直に受け入れてしまう。希望年収を聞かれ、「いくらでもいいです」と言ってしまう人もいます。

私がお伝えしたいのは「もらうべき報酬額を主張しなさい」ということではありません。「キャリアの価値」に対して、もっと意識を持っていただきたいのです。

年収額とは、その人の経験・能力の価値を表すものです。その意味を理解することで、中長期視点でキャリアを築き、人材としての価値を高めていけると思います。

転職活動の際には、1社だけ見て決めず、複数社を比較しながら検討することをお勧めします。各社からどの程度の年収額でオファーが出るのかを確認することで、自身のキャリアの価値をつかめるでしょう。

もちろん、転職エージェントから適正年収を聞くのも有効です。

コロナ禍が一段落し、新型コロナとの共生モードに入った今、多くの企業で「攻めの戦略」が動き出しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)含め、変革も起こっています。こんな時期には、転職によって新たなキャリアを築くチャンスを得られやすいので、ネガティブな「あるある」にはまらないよう、チャレンジしてください。

構成=青木典子

森本 千賀子(もりもと・ちかこ)
morich 代表取締役 兼 オールラウンダーエージェント
1970年生まれ。93年リクルート人材センター(現リクルート)入社。2017年morich設立、CxOレイヤーの採用支援を中心に、企業の課題解決に向けたソリューションを幅広く提案。NPO理事や社外取締役・顧問等も務め、パラレルキャリアを体現した多様な働き方を実践。NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」出演。日経オンライン等のWeb連載のほか『本気の転職』等著書多数。2022年2月、日経新聞夕刊「人間発見」の連載にも取り上げられる。二男の母。

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