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『17才の帝国』星野源の意味深な表情は何を意味するのか 早くも物語は折り返しへ

  • 2022.5.15
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『17才の帝国』写真提供=NHK

5月7日のスタートより、大きな反響を集めている土曜ドラマ『17才の帝国』(NHK総合)。17才の総理・真木亜蘭(神尾楓珠)が最先端AI「ソロン」を駆使して目指す理想の政治は、彼のディストピアとなってしまうのかが今作の最大の焦点である。

首相就任の早々に市議会廃止という大改革を行った前回。第2話では真木が、住民の声を聞きに総理補佐官の茶川サチ(山田杏奈)と実際に街へ出向く。そこにはメリットとデメリットを提示してくれるソロンを通じてでは聞こえてこない、感じられない、リアルな住民の声があった。

真木内閣の支持率は下降気味の41%。若い層の支持が高く、年配からは反発の声を浴びている。とはいえ、真木が通う高校でも女子生徒からはまるでアイドルのような視線を浴び、街の若者から呼ばれるのは「真木君」、サチと2人でいるところを「付き合ってんのか」と揶揄される、到底政治に関心のある若者から支持を集めているとは言い難い実情があった。これではまるで人気投票である。

そして予算削減、またはプロジェクト遂行のために自身が切り捨てようとした人たちの批判の声も真木は直に浴びることとなる。10年前から進んでいる商店街の再開発計画。商店街で実際に体感した人の温かみ、そして犠牲になる人の痛み。再開発に反対する鈴原(塚本晋也)の「一度失われた風景は取り戻せない」の言葉に心を動かされた真木は新しい再開発案を検討する。暴挙とまで言われた市議会廃止から一転した、真木が目指す「人々の声を聞き受け止める謙虚な政治」でもある。

しかし、これに黙っていないのは再開発計画を推し進めてきた環境開発大臣の鷲田照(染谷将太)。閣僚の中でも数少ない保守派の鷲田が次は割を食うことになる。平清志(星野源)の「改革には批判が伴う」という言葉が再び立証された形だ。「プロジェクト・ウーア」のマネージャーとして中立の立場を表明しながら、実際は現・鷲田内閣の官房副長官として保守派でもある平。次なるプロジェクト・ウーアの成功のため、現・内閣総理大臣の鷲田継明(柄本明)から「支持率を下げるな」と釘を打たれた平が取った秘策は、真木がリアルタイムで市民とチャットをする生配信。「政治家を目指した理由」を聞かれた真木は幼い頃に母に旅立たれ、祖母を育てるヤングケアラーになり社会や政治に興味を持ち始めたことを明かす。そこから内閣の支持率は61%まで回復。改革の効果ももちろんあるはずだが、結局は情。居酒屋で平が鷲田に漏らす「今の僕に17才は少しまぶしい」はそんな皮肉交じりにも聞こえた。

真木が、ウーアが作られた旧・青波市の前市長・保坂(田中泯)のもとへ挨拶しに行った際の、平の表情も印象的だ。ウェアラブルデバイスから首相権限で個人データにアクセスし、保坂らの情報を読み取った真木。そこに人としての礼儀は一切なく、失礼だと罵倒されながらも、真木はソロンを駆使した自身のペースを崩さない。思わずほくそ笑む平は真木のその“まぶしさ”を嘲笑したのだろうか。中間管理職に近い、現在の立ち位置に幸福を感じられていない平の野心的な眼差しも、今後の展開に生きていきそうだ。

少々脱線するが、女子生徒のガールズトークを盗み聞きしてしまった真木がサチに「彼女もいないよ」と答える時の山田杏奈の表情は、アニメならば間違いなく「キュン!」といった擬音がつく、青春ど真ん中かつ「補佐官としてしっかりしなきゃ!」という心情が見える見事な演技である。

早くも折り返しを迎えることとなる次週の第3話「夢見る街」では、真木が呼びかける謎の人物「ユキ」の真相が明かされようとしている。(渡辺彰浩)

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