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温暖化に配慮したスポーツ・アウトドアブランドの取り組みとは?

  • 2022.5.13
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体を動かすことは、体だけでなく、心までも満たしてくれる。でも、もし住む場所が外に出られないような天候状況へと陥ってしまったら? 8年後の2030にSDGsの目標を達成するために、、各スポーツ・アウトドアブランドが様々な地球に配慮した取り組みを始めている。そこで、グローバルブランドが推進する気候変動に関わるサステナブルなアクションを取材。温暖化に対して私たちができることの一つは、環境に配慮されたアイテムを少しでも多く選ぶことでもある。

パタゴニア

Women's Health

全体の89%の素材が再生素材やオーガニックコットンなどを採用した素材のものでウェアを生産するパタゴニアは、2025年までに100%を目指す。現在は、海に捨てられた漁網を使ったネットプラスという素材や、土壌の健康を高めることに優先されたリジェネラティブ・オーガニック農法を採用したコットンや食材(プロビジョンズ)の生産などにも着手。また、ソーラーシェアリングで発電した電気を使用するなど、発電事業にも参画する。今後、新しい資源を使わないことを表明し、持続可能の先を超え、循環型に置き換えた生産プロジェクトへと動き出している。

ナイキ

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世界中で華氏90度(摂氏32.2度)を超えた日数は1980年代から25%近くも増えており、質の高い環境でスノーボードができる日数の平均が、この30年間で7%減、2050年までには11%〜22%も減り得るとされている※。どんな競技であれ、気候変動の影響を避けることはできない。スポーツブランドとして環境に配慮した製品を生み出していくことが、スポーツの未来を守ることであるという理念を持つナイキ。環境に配慮された各製品にはMove to Zeroのアイコンが。これは重量の20%以上がリサイクル素材を採用している目印である。これまでにデザイン性の高さで話題を呼んだスペース ヒッピー シリーズや、デザインの高さはそのままに、パフォーマンスの高さも妥協せずに作られたネクスト ネイチャー シリーズなど、サステナブルな製品をニュース性を持って世の中に打ち出してきた。今後は、二酸化炭素排出量及び廃棄物ゼロを目標に、生み出されていく製品を、寿命を終えた時に、どう分解できて、価値あるものに変えることができるかを逆算する形でデザインしていくという。ナイキは全てのフットウェア生産過程から生まれた廃棄物の99%を、廃棄せず再活用すると明言。また、2050年までに、ナイキ所有及び運営する施設の100%再生エネルギーでの稼働を目指し、現在は80%まで達成しているそうだ。

※参考記事:https://nike.jp/nikebiz/news/2019/10/23/2810/

アディダス

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2024年までにバージンポリエステルの使用を完全に廃止する目標を持つアディダス。昨年は業界の垣根を超えたサステナブルブランド「オールバーズ」との協業でも話題を呼んだ。そしてついに数量限定でコラボレーションランニングシューズを販売すると即完売に。今年の春、ようやく本格的にこのランニングシューズが4色展開で販売されることに。このシューズは従来のシューズに比べ、カーボンフットプリントを63%低減させている。アディダスは7年前より、離島や海岸、海沿いの地域で海に流入する前に回収したプラスチック廃棄物をアップサイクルして生まれた、「Parley Ocean Plastic」を製品の一部に使用したアイテムも展開している。また、走る時間に応じて、アディダスとパーレイがプラスチックゴミを沿岸地域から回収する「RUN FOR THE OCEANS」のキャンペーンを定期的に実施(2022年は5月23日から6月8日の期間に開催)。この寄付金は、若い世代が海洋プラスチック汚染の脅威について意識を高め、行動を促すことを目的とする環境教育プログラムに利用されている。

ザ・ノース・フェイス

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ゴールドウインは、2030年までに環境負荷低減素材を使用した製品比率を90%以上に引き上げることを目標に掲げる。消費者との接点としてわかりやすいのは、「THE NORTH FACE」直営店に設置された回収ボックスだ。このボックスには自他ブランドに関わらず、不要になった洋服(下着、靴、靴下、帽子、手袋などのアクセサリーは NG)を回収。これらは、アウトドアフィールドでも十分に機能が発揮できる純度の高いポリエステル素材として再生成されるという。その他にも、昨今、売上を伸ばしているマタニティウェアでは、産後も着用できるように無料のリペアサービスを開始した。取り外されたウエストリブは廃棄するのではなく、赤ちゃんのオモチャにして再利用。妊娠中の限られた期間だけにしか着用できないアイテムというところに目をつけ、長く愛用してもらうために考えられたサービスの一つだ。リサイクルからアップサイクルへ。モノを長く愛用し、不要になってしまったものを新たな価値へと繋げていく循環型の取り組みは、ノースフェイスだけでなく、ゴールドウイン全ブランドで推進してく。

アシックス

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2030年までにシューズおよびウェアのポリエステル材を100%再生ポリエステル材に切り替えることを目指すアシックス。現在、リサイクル素材を採用したランニングシューズの割合は90%。オンラインサイトではリサイクル素材を使用した アイテムはフィルターでソートでき、各アパレルアイテムには環境配慮素材の使用に関する タグをつけている。アシックスはシューズの場合、アッパーの主要素材の20%以上がリサイクル素材であること、アパレルの場合は主要素材の50%以上をリサイクル素材にしていることを基準にする。

ルルレモン

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2025年までに全製品の75%以上を持続可能な素材に、そして淡水利用50%低減、プラスチック包装を50%削減することを目標にするルルレモン。現在は少なくとも全製品の20%がリサイクル素材に切り替わっているという。2022年の4月のアースディにちなんでローンチされたコレクションでは、地球に優しいナイロンやリサイクルポリエステルが使用されており、コレクション全体の53%以上がリサイクル素材で構成。また、従来の製品に比べてカーボンフットプリントを最大20%削減した。ルルレモンが2025年の目標達成に向けてスタートした循環型エコシステムの始まりとも言えるコレクションである。

プーマ

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昨年、95%がリサイクル素材で作られたシューズボックスの新デザインを導入すると発表したプーマ。これは1年間で2800トンの段ボールの節約を可能にするという。2023年までに店舗でのビニール袋使用を完全に終了し、ハンガーなどの備品をよりサステナブルな代替品に切り替えていく予定だ。今シーズンもモデル・俳優・活動家と幅広く活躍し、プーマのグローバルアンバサダーでもあるカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)と共同開発した「EXHALE(エクスヘイル)」を発表。少なくとも70%のリサイクルポリエステルを使用するなど環境に配慮したサステナブルなヨガコレクションとなる。プーマはForever Better”というミッションのもと、2025年までに製品の製造工程において、気候、環境、人権などの面でより良いものにするための「10FOR25」と呼ばれる10個の目標を掲げ取り組みを進めている。採用する素材に関してはアパレルとアクセサリーの90%のうち、50%以上を持続可能な方法で調達された素材を使用、フットウェアの90%に、少なくとも1つのサステナブルな素材を使用し、アパレルおよびアクセサリーの再生ポリエステルの使用量を 75%までに増やす目標を掲げている。

ニューバランス

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グリーンリーフアイコンは、環境に配慮した素材採用基準を満たしたアパレル製品であることを提示。これは、リサイクル素材やオーガニック素材など、環境に配慮した素材を50%以上使用していることを指している。また、2025年までに全世界の事業で100%再生可能な電力を使用、フットウェア工場から埋め立てごみ処理地への廃棄物をゼロにすることを目指し、リサイクルポリエステルを50%、プリファードレザー(preferred leather)を100%使用する予定。2030年までに温室効果ガスの排出量を30%削減を目指す。

ホカ

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ホカでは、トレイルランニング・ハイクのシューズを中心に、地球に戻るような素材やリサイクル素材を採用。また、扱うレザーは環境に配慮した持続可能で適切なビジネス活動を推進することを使命とするレザーワーキンググループ(LWG)のものを採用する。信頼のおける企業とパートナーシップを組むことでマテリアルを調達している。デッカーズは2016年に国連グローバル・コンパクト(UNGC)に加入。使用すべき素材、使用すべきでない素材を選定し、パッケージなどにも配慮しながら環境への負荷を減らしていけるような取り組みを進めていく予定だ。

2030年まであと8年。フォーカスグローバルで展開するブランドだからこそ、歩み出す”1歩”はとても大きい。これらのブランドは、素材だけでなく、生産工程や働く環境に対しても配慮した取り組みなど包括的に推し進めている。奇しくも、健康や環境問題がコロナ禍によって顕になり、スポーツ・アウトドアブランドのウェアは私たちにとって身近になった。まずは、手に取るときに一度考えてみる時間を作ってみてほしい。その製品は、健全なのか?

Photo: Takeshi Abe Hair&Make: Naoyuki Ohgimoto Model: Shizuka Jasmin

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