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『ぽっかりライトせんせい』【今日の絵本だより 第292回】

  • 2022.5.10
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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

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『ぽっかりライトせんせい』 はっとりひろき/作 講談社 1430円

毎月10日は、「点灯の日」。 それにちなんで今回は、ぴかっと明るい懐中電灯のお医者さんが主人公のお話、『ぽっかりライトせんせい』をご紹介します。

ぽっかりライトせんせいの病院に、めざましどけいくんがやってきました。 おやおや、めざましどけいくん、声がかすれている様子。 「ちり ちり ちり……。せんせい、のどの ちょうしが わるくて、 こえが うまく だせません」 がっくりとうなだれるめざましどけいくんに、せんせいはあわててかけより、 「ほうほう。それは たいへんじゃ。 どれどれ、のどを のぞいて みようかの。せーの!」 すると、 「ぽっかりライト!」 頭のライトがぴかっとついて、めざましどけいくんののどを明るく照らしました。 大変、のどがすっかりかわいているようです。 せんせいは 「よし、こんな ときは この くすりじゃ」 と言って、 「あぶらかだぶら~」 と、ピンクの塗り薬を取り出しました。 それをちょちょいのちょいっとのどに塗ったら、 「じりりりりりりりー!」 めざましどけいくんはすっかり元気復活。 「ありがとう ございます!」 と、弾むように帰って行きました。

その後も、鼻がつまったそうじきくん、おなかの痛いれいぞうこくん、次々に患者さんがやってきますが、せんせいの手にかかれば心配ご無用。 「ぽっかりライト!」 で悪いところをぴかっと照らし、原因を見つけると、あっと驚く道具を使ってみごとに治します。 この 「ぽっかりライト!」 のかけ声、なんだか愉快でクセになるんです。 読み聞かせでここだけお子さんに読んでもらうのも楽しいし、きっとふとしたときに真似したくなりますよ。 体は小柄でも頼りになるせんせい、ふだんおなじみの生活道具の患者さん、困ったことも順番にすっきり解決の安心感。 生き生きしたセリフとリズムのよさで、ふだん読み聞かせにあきてしまうお子さんも夢中になりそうなストーリーです。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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