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いつから? 公務員と民間企業の定年年齢が逆転?

  • 2022.5.10
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急速に加速する少子高齢化に伴い、働く意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を広げるために、多くの民間企業では高齢者雇用安定法により、定年年齢の引き上げや65歳までの継続雇用制度を導入しています。これに伴い令和5年から公務員の定年も延長されることになりました。

今回は、公務員の定年延長の仕組みや注意点を解説します。

導入はいつから? 自分は関係する?

これまで公務員は一部の職員を除いては、60歳の誕生日を迎えた次の3月31日が定年退職日となっていました。令和3年の法律の改正により、この定年年齢が引き上げられますが、一度に65歳まで変わるわけではありません。

下記のように年度ごとに段階的な引き上げをし、令和13年に65歳定年の形が完成します。昭和42年4月以降生まれ(令和4年度で55歳)のかたは定年が65歳になるということです。

一見して、公務員の方が民間企業に比べて遅れているのではと感じるかもしれませんが、実際にはいまだに企業の約82%が60歳を定年年齢と定め(※1)再雇用などで継続雇用をしています。

再雇用制度は、一度退職したうえで、再度有期で会社と契約を結ぶため、賃金や条件が大きく変わることが多いです。その点、定年年齢そのものが引き上げられるのは民間企業に先駆けていると言ってもいいでしょう。

なお、定年年齢の引き上げは公的年金の支給開始年齢をさらに遅らせるためではないかという意見もありますが、公的年金の支給開始年齢の引き上げは予定されていません。60歳から75歳までの間でいつから受け取るかを自分で選択できるようになっています。

(※1)人事院「令和2年度民間企業の勤務条件制度等調査」

https://www.jinji.go.jp/toukei/0111_kinmujouken/0111_ichiranr02.html

公務員の定年延長によって変わること ポイントは4つ

定年延長に伴って合わせて押さえておきたいポイントが4つあります。一つずつ確認してみましょう

①いわゆる役職定年の導入

民間の企業でも組織の新陳代謝を促したり人件費を抑制したりするために、一定年齢で役職を降りる「役職定年制」が設けられています。公務員も定年延長に伴い『管理監督職勤務上限年齢制』が導入され、60歳を迎えると管理監督職を降りることになります。

②時短勤務制の導入

60歳を過ぎ、新しく定められた定年年齢より前に退職した場合、本人の希望と勤務実績による選考に基づいて時短勤務できるケースもあります。一度退職してから再任用という形ですので、給与などは改めて任用された職務の級で決まります。また、時短勤務者の公的医療保険は共済組合ではなく、協会けんぽへ加入します。

③給料は7割になる

再任用ではなく定年延長で勤務を継続するときは、職務の級や号俸は基本的にそのまま引き継がれます。ただし、60歳以降はその金額が7割になります。給与とは別に定められている手当(通勤手当など)は変わりがありませんが、給料に応じて計算されている手当(時間外手当など)は減額されます。給料明細を確認して、どの金額が変わるのかを確かめておくとよいでしょう。

④延長した定年より早く辞めた場合の退職金

もともと60歳で退職してセカンドライフを計画していた場合、定年が延長されても60歳などで退職したいと思うケースもあるかもしれません。定年前の自己都合退職として取り扱われると退職金に影響が出る可能性がありますが、定年延長の導入に伴い、当面の間は60歳以降の退職は(懲戒免職などを除いて)「定年退職」として計算することとされています。

年金の積み増しなど、定年延長のメリットは大きい

再任用ではなく定年延長はライフプランへ大きな影響を及ぼしますが、どのようなメリットがあるでしょうか。

・給与収入が増える

60歳で定年退職した公務員への調査(※2)では、約86%が定年退職後も働くことを希望しており、そのうち85%の人がその理由を「日々の生活費が必要だから」と回答しています。

定年延長により働ける期間が延びることで、継続して給与収入を得られることは大きなメリットと言えるでしょう。再任用でも働き続けることはできますが、再任用では定年退職時と比べ職務の級が下がったり、住居手当・扶養手当などの支給がなくなったりします。定年延長により給与水準が60歳時点と比べて7割程度になったとしても、再任用よりは高い収入を得ることができるケースが多いです。

・年金の金額が増える

年金の受給開始年齢まで引き続き厚生年金に加入し続けることで、無収入の期間をなくしたり減らしたりできるだけではなく、受給できる年金の金額を増やすことができます。仮に年収400万円で5年間厚生年金の加入を続けると、老後の年金を年間約11万円上乗せすることができます。

また、学生納付特例などを利用し年金を猶予したあとに納付していない期間があるときは、60歳以降も継続して年金制度に加入することで、老齢基礎年金相当部分を満額に近づけていくことができます。

・iDeCoの加入期間が延びる

これまでiDeCoの加入期間は60歳まででしたが、厚生年金などの公的年金の加入者でいるときは65歳までiDeCoに加入できます。トータルの積立額が増やせるだけではなく、iDeCoのスタートが遅い方でも資産を増やすチャンスが増えると言えるでしょう。

(※2)退職公務員生活状況調査(人事院)

https://www.jinji.go.jp/toukei/0151_seikatujoukyou/seikatujoukyou.html

定年延長はいいことばかり? その影響は?

60歳で退職して再任用や再就職をしない場合、公的な医療保険は国民健康保険に加入することになります。本人は60歳を過ぎれば年金に加入する義務はなくなりますが、もし60歳未満の配偶者が扶養に入っていたときは、退職すると厚生年金の3号被保険者ではなくなり国民年金保険料の支払いが必要になります。

また、国民健康保険には扶養という制度がありませんので、これまでは直接支払っていなかった配偶者の分も健康保険料を支払うことになります。定年延長で引き続き65歳まで共済組合に加入していれば、これまで通り配偶者は被扶養者として直接保険料を負担することなく、健康保険や国民年金に加入できます。

一見メリットばかりに見える定年延長ですが、気を付けたいこともあります。

再任用と違い、定年延長は一度退職するわけではないため、退職金の支払いも後ろ倒しになります。60歳で定年退職し受け取った退職金で住宅ローンを完済したり、住宅の大きな修繕やリフォームの予定、建て替えや住み替えの資金に充てたりしようと思っていたケースでは、予定が変わってきます。

延長した定年に合わせ、計画自体をずらすことができればいいですが、難しい場合はほかの方法で資金を準備するなど計画の変更が必要かもしれません。

人生100年時代、定年延長により長く働けることは様々なメリットがありますが、セカンドライフの入り口の時期がずれるとライフプランへ大きく影響することも考えられます。収入面だけではなく健康面や家族の状況、その後の生き方なども踏まえ、改めて計画を見直してみてはいかがでしょうか。

次回は公務員の資産運用に関するよくある質問をご紹介いたします。

塚越 菜々子/ファイナンシャルプランナー

株式会社KANATTA代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー。税理士事務所で10年超勤務。延べ500社以上の決算業務や確定申告に携わる。会社の労務・税務にかかわる中で、一般生活者のマネーリテラシーの底上げの必要性を実感し、2016年にFPとして独立。保険や金融商品を取り扱わない独立系FPとして、主に共働き世帯の女性を中心に年間200件の家計相談を行う傍ら、運用経験の全くない女性向けの確定拠出年金・つみたてNISAセミナーや、公的年金セミナーなど多数開催。YouTubeやSNS等でもわかりやすい情報を積極的に発信している

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