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いまさら聞けない! どうして牛が地球環境に悪いのか?

  • 2022.5.5
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牛は一見のんびりしていて害がなさそうに思えるけれど、畜牛には専門家が予想していた以上に大きな問題がある。

米国科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences』掲載の論文によると、温室効果ガスの一種であるメタンの排出量は、米国環境保護庁や関連機関の予測数値よりも、米国全土で約1.5倍高く、米国中南部で約2.7倍高い。二酸化炭素と異なり、メタンは化石燃料(車のガソリンなど)の使用量に正比例して増えるものじゃない。石油やガスの採掘、埋め立て地、工業廃水の処理、そして牛といった多くのものから、さまざまな程度で大気中に排出される。

メタンを排出するのは、牛だけでなく、羊、バッファロー、ヤギなどの反すう動物も含まれる。反すう動物には、草などの植物性物質を栄養価の高い食べ物に変える特別な消化システムがある。その消化プロセスの副産物が大量のガスで、その大部分がメタンというわけ。1頭の子牛から出るメタンで世界が滅びることはないけれど、アメリカには約1億頭の畜牛がおり、その畜牛は全米のメタン排出量の約20%を占めている。

これは、とてつもなく大きな数字。でも、メタンにはよい面もある。メタン排出量の60%以上は家畜の飼育を含む人間の活動に由来するけれど、大気中のメタンはたった12年で分解する。よって、米国エネルギー省ローレンス・バークレー国立研究所でカリフォルニア州の温室効果ガス排出量測定プロジェクトを率いるマーク・フィッシャーが言うように、大気中に排出されるメタンの量は、私たちの手で大幅かつ早急に削減可能。

現在、農学者たちは、メタンの排出量が少ない給餌方法と廃棄物管理方法を開発している。でも、この問題は、そのソリューションの完成を待たなくても、私たちの手で改善できる。世界のメタン排出量を削減する一番シンプルな方法は、植物性食品を中心に食べて、肉製品と乳製品の摂取を控えること(4人家族が週に1回、肉とチーズを食べないだけで、温室効果ガスの排出量が車の運転を1カ月やめたときと同じくらい減る)。肉を買うなら、グレインフェッドよりも排出量が少ないグラスフェッドの肉を選んで。家族が実際に食べる分だけ買って、食品ロスを減らすのも大事。非営利の環境保護団体『Environmental Working Group』によると、畜産による温室効果ガス排出量の20%以上は、意外にも、食べられずに捨てられた肉によるもの。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Marygrace Taylor Translation: Ai Igamoto

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