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愛媛に縁ある著名人に捧げたい!春の行楽弁当・前編【夏目漱石・正岡子規へ】

  • 2022.4.27
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みなさまこんにちは。はる子です。 うららかな春も最盛期、行楽の季節となりましたね。楽しい予定のある方もいらっしゃることと思います。私は、まだまだ引きこもっております。帰省もなかなか出来ないので、愛南の母に久しぶりに連絡をしてみますと「江戸時代の弁当箱はよいぞ」などと話しておりました。どうも徳利をさせる行楽時のお弁当箱のようです。元気そうで何より。

歴史の偉人たちはどのように行楽時期を過ごしたのでしょう。やはり行楽弁当を携えて宴会などされたのでしょうか。楽しそうです。ということで、今回は愛媛に縁ある著名人に捧げる行楽弁当を作ってみようかと思います。 たくさんいらっしゃいますので、今回は文豪の方々に。 愛媛出身の栄養学の父・佐伯矩(さいき ただす)先生に倣ってなるべく栄養バランスのとれるよう考えました。

愛媛に縁ある文豪に捧げたい行楽弁当 夏目漱石・正岡子規・高浜虚子・河東碧梧桐・種田山頭火
出典:リビングえひめWeb

私のできる範囲で先生方の著書を読み、調べたうえであくまで勝手な妄想として今回の献立を作成いたしました。ただ不勉強でありますもので、もし至らないことなどありましたら申し訳ございません。 ただ皆さんのことを知っていく上で、より一層好きになったことは間違いないのです。 どうにか喜んでいただきたい…

そして作るとなれば出来るだけ愛媛の郷土料理も入れたいなぁ、と考え抜いた献立はこちら。

夏目漱石と正岡子規に捧げたい! ・いなりもぶり寿司 夏目漱石に捧げたい! ・じゃこ天フィッシュ&チップス・サンドイッチ 正岡子規に捧げたい! ・フルーツサンド・3種の丸ずし 高浜虚子に捧げたい! ・鯛そうめんいなり 河東碧梧桐に捧げたい! ・枇杷の葉寿司 種田山頭火に捧げたい! ・漬物盛り合わせ・旬野菜の煮物 皆さまに食べてほしい! ・大根おろし・キャベツ ちょっと箸休めに ・ひとくち太刀魚巻き・ちくわのかば焼き

佐伯矩先生は白米より七分づき米を推奨されていました。胚芽部分にある栄養の力にいち早く注目されていたのですね。七分づき米は手に入りませんでしたが、少しでもみなさまに栄養を摂っていただきたくお米は雑穀米を使用しました。

それではご紹介してまいります。 とっても長くなってしまったので、今回は漱石先生と子規先生に捧げたいお料理を。 先生方には失礼かと思いますが、ところどころ敬称を省きつつ紹介させていただくことをお許しください。


夏目漱石と正岡子規に捧げたい「いなりもぶり鮓」

◯いなりもぶり鮓

出典:リビングえひめWeb

ふたりは学生時代から友人だったそうです。 神戸の病院を退院した子規が、松山で教鞭を取っていた漱石の下宿先へ転がり込んできたなんていう仲の良さが窺えるエピソードがあります。 高浜虚子の「漱石氏と私」によると学生時代、漱石が子規の自宅を訪れた際に、子規のお母さまがお作りになったもぶり鮓を一粒と残さず召し上がったそうです。学生服で姿勢を正し食べる漱石と、和服姿であぐらをかきながら食べる子規。対照的なお二人だったのですね。 という訳で、このもぶり鮓。きっとお二方にとっても思い出の味ではあったのではないかと思います。 行楽弁当ですから、食べやすいようにお揚げに詰めています。お酢で締めた鯛とハマチは食べる直前にのせたほうが良いでしょう。

出典:リビングえひめWeb

おもてなしにぴったりの華やかなお料理ですね。 当時は砂糖が貴重でしたから、甘い味付けがもてなしの気持ちだったようです。なので気持ち砂糖を多めに入れてすし飯を作りました。なんだかとても優しい気持ちになれる松山の気候のようなおだやかなお味。

本来は合わせ酢を作る時、小魚を素焼きしてほぐした身を入れたりちりめんじゃこなどの小魚で出汁をとるとのことでしたが、小魚が手に入らなかったので太刀魚巻きと丸ずしを作った際に出た身を使いました。

出典:リビングえひめWeb

しかし「もぶり鮓」とは、手の込んだお料理ですね。身をほぐすのもなかなか一苦労で…(魚をさばくのが下手だからたくさん身は取れたけど…) おもてなしの心がこもった素敵なお料理だと思います。

松山では、この『混ぜる』ことを『もぶる』というので『もぶり鮓』なんだそうな。このもぶり鮓、松山鮓とも呼ばれるそうですね。 そうそう先ほどの魚。骨からも大変上等なお出汁がとれたので、お揚げは魚の出汁で煮含めました。

出典:リビングえひめWeb

お二人の関係を紐解いていく中で心にぐっときたエピソードがあります。 漱石が引っ越しの準備をしているときに見つけた子規からの手紙。そこに書きつけてあったあずま菊の画のお話「子規の画」です。(写真の中のお花は矢車菊ですが…) 読み終わってみると、なんだかんだと言いながらやはりお二人は大変心の通じあった親友であったのだなぁと少しほろりとしました。


夏目漱石に捧げたい「じゃこ天フィッシュ&チップス」と「サンドイッチ」

◯じゃこ天フィッシュ&チップス

出典:リビングえひめWeb

英時代の漱石を思い作った一品。 イギリスといえばパブ。パブといえばフィッシュ&チップスです。エールビールで乾杯しながら、サクサクつまめちゃう憎いやつ。

こちらいつものフィッシュ=白身魚ではなく愛媛の人気者・じゃこ天に軽めの衣をつけて揚げました。じゃこ天は魚まるごと使った立派すぎるフィッシュですからね。チップスは宇和島の段畑で獲れたという新じゃがを使ってます。 本場はモルトビネガーと共にいただくそうですが、今回は柑橘のピクルス液をそちらのかわりに。にんにく、ハーブ、柑橘の風味が口の中をさっぱりしてくれる上に食欲そそります…!チップスにはスイートチリマヨネーズ・クミンを振りかけたスパイスケチャップも合うんですよねぇ…これは確かにビールだ。

〇英時代を思うサンドイッチ

出典:リビングえひめWeb

イギリス留学時代の漱石は、「倫敦(ろんどん)消息」で生活の詳細を残しています。病床にある子規にあてて(高浜虚子「漱石氏と私」よると、子規が何か書いてほしいと依頼したそうですが…)漱石節全開で書かれたロンドンの様子はどれだけ子規を励ましたのでしょう。 漱石先生、イギリスでは砂糖の入ったオートミールにトースト、ビスケット、紅茶をお気に召した模様。帰国後も朝食はバターたっぷりのトーストに紅茶をよく召し上がったそうな。 サンドイッチはどうだったのでしょうか。お弁当にぴったりなので作ってみました。

たまごサンドは3種類。たまごサラダのサンドイッチ・スクランブルエッグのサンドイッチ・もしかしたら先生馴染みはないかもしれませんが関西でよく食べられるたまご焼きサンドイッチをどうぞ。そうそうサンドイッチといえば、サンドイッチ伯爵。サンドイッチの原型と言われる伯爵が食べたきゅうりのサンドイッチもいかがでしょう。


正岡子規に捧げたい「フルーツサンド」と「3種の丸ずし」

◯フルーツサンド

出典:リビングえひめWeb

正岡子規先生と言えば"柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺" 有名な句ですね。 柿はもちろん、やはりくだものがお好きだったようで、「くだもの」という手記の中では食べたことがないのは杉の実と万年青(おもと)の実くらいだとおっしゃっているくらいです。 中でもいちごは、虚子と碧梧桐との特別な思い出があって東京の自宅でも育てていたそうな。柑橘類もお好きだったとのことですから、たっぷりのいちごとみかんに、これでもかというほどのクリームでサンドしました。 こんな日が来るなら干し柿でも作っておいたらよかった…!

◯3種の丸ずし

出典:リビングえひめWeb

愛媛でもよく食される丸ずし。「いずみや」と呼ばれることもあるんですね。子規も口にしたことがあるのでは?と、作ってみました。

「丸ずし」とは小魚の酢締めで、おからを包んだお料理です。果たしてこれは主食?おかず?米が手に入りにくかった頃は、こちらが主食だったのでしょう。おからはお腹にもたまりますし、ビタミンも多く含んでいますから、佐伯矩先生にも合格をいただけるはず。 ただ折角ですからいつもの丸ずしだけでなく、ちょっとアレンジをしてみました。これならワインにも、ビールにもより合うと思います。あ、お酒ばかりでなく紅茶と烏龍茶とも。 お気に召していただけたら良いんですが…

おからパウダーを代用しましたが、試行錯誤しているうちにしゃばしゃばのおからともそもそのおからができて途方にくれました。手に入れば生おからが一番良いんですが残念。 しかしアレンジ丸ずし、予想以上に美味しかったです。基本の丸ずしのおからにちょちょいと調味するだけなのに、気づいたらペロリでした。残ることはないかもしれませんが、アレンジしたものは早めに食べきってしまったほうが良いと思います。

出典:リビングえひめWeb

【中〇基本の丸ずし(山椒の葉)】 魚の酢締め(今回はサヨリを使っています)・煎りおから・白だし・塩・砂糖・お酢 【左〇洋風丸ずしのおから(タイム)】 オリーブオイル・パルメザンチーズ・マスタード・ピクルス・ハーブ塩・お酢 【右〇中華風丸ずしのおから(イタリアンパセリ)】 ラー油・中華スープの素・オイスターソース・ネギ・ニラ・メンマ・お酢・黒酢


出典:リビングえひめWeb

さて今回は漱石先生と子規先生に捧げたいお品を紹介させていただきました。 いやはやお二方とも食べることがお好きでいらっしゃるようですから何を作ろうか迷いました。漱石先生たちがお好きなアイスクリームやお団子も準備しようかと思ったのですが、ごめんなさい。そこまで手が回りませんでした。もしご所望であればコンビニで買ってきます。 坊っちゃん団子、今は愛媛の定番お土産になっているとご存じになったら先生びっくりするかしら。

次回は高浜虚子・河東碧梧桐・種田山頭火に捧げたいお品と皆さまに食べていただきたい一品を紹介していきますね。

それでは皆さま、素敵なお休みをお過ごしください。 ごきげんよう。

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