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老後2000万円問題が"消えた"!? あなたは「お金」をどれだけ知っている?

  • 2022.4.20
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今までお金に無頓着だったけれど、子どもが生まれて急にお金のことが心配になった、33歳の文系編集者・高木さん。そんな高木さんがある疑問を抱いた。「あの老後2000万円問題ってどうなったんですか?」

ファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんは、高木さんの疑問にこう答えた。「今は50万円なんです」。いったいどういうことだろうか?

「年金ってもらえなくなるの? 多く年金もらえる方法はある?」「結局、どれくらい貯めればいいの?」「できるだけお金のことを考えたくないのだけれど、投資をやってもいい?」などなど、今まで聞けなかったお金の疑問を、岩城さんがたっぷり解説。4月20日発売の『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)は、知識ゼロからでも将来のお金の心配がなくなる、心強い「お金の入門書」だ。

「今は50万円」って本当?

「老後2000万円問題」の発端は、金融庁金融審議会の市場ワーキング・グループが2019年に発表した報告書のなかで、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円」「不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」という記載があったこと。「老後は2000万円足りなくなるということを政府が認めた」と、世間が騒然となった。

「2000万円問題」で取り沙汰された数字は、2017年の家計調査で示された高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯)の収支。月額約5万5000円、年間だと約66万円、30年間で約2000万円不足する計算になる。しかし、2018年以降の家計調査によると、おおよそ以下のようにデータが遷移している。

〈支出に対する年金の不足額〉
2017年(高齢夫婦無職世帯)
月 約5万5000円 / 年 約66万円 / 30年 約2000万円

2018年(高齢夫婦無職世帯)
月 約4万円 / 年 約50万円 / 30年 約1500万円

2019年(高齢夫婦無職世帯)
月 約3万円 / 年 約40万円 / 30年 約1200万円

2020年(高齢夫婦無職世帯)
月 約1500円 / 年 約2万円 / 30年 約55万円

なんと、2020年はコロナ禍の支出減・助成金増も影響してか、月の不足額はたったの約1500円。老後を30年とすると、不足は約55万円だったのだ。「高齢夫婦無職世帯」=夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯では上のデータだったが、「夫婦高齢者無職世帯」=夫婦ともに65歳以上の無職世帯では、2020年は月1111円の黒字であり、不足してすらいなかった。

2000万円問題は"なかった"!?

岩城さんはさらに、「そもそも2000万円問題などなかった」と言う。まず、家計調査のデータはあくまでも平均値だ。働き方や家族構成、もらえる年金は一人ひとり違う。だから、全員が全員2000万円不足するというわけではない。

さらに、高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2484万円。これを含めて考えると、前述のデータは、「年金が2000万円不足している」のではなく、「年金以外にも貯蓄していた2000万円を使っている」のを意味していることがわかる。本当に2000万円も足りていないのなら、月に不足している5万円を節約して、収支のバランスをとればよい、という話なのだ。

つまり本当は、政府の報告書は「一人ひとりのライフプランに合わせた資金形成が必要」だと伝えたかったはず。しかし、「2000万円足りない」というショッキングな見出しがひとり歩きしてしまった。

このように、お金の実際を知っておかないと、ショッキングな情報に惑わされてしまう可能性が大きい。金融機関や保険営業でも、不安をあおられて必要のない契約をしてしまうケースがあるだろう。そうならないために、岩城さんは「私たちが賢くならないといけない」と言う。

年金、貯蓄、投資、保険。知っているようで知らないお金のことを、岩城さんが本書でていねいに解説してくれる。正しい知識を身につけて、お金の不安・失敗から解放されよう。

【目次】
序章 消えた老後2000万円問題
第1章 結局、年金っていくらもらえるんですか?
第2章 結局、僕たちはいくら貯めたらいいんですか?
第3章 貯金って、銀行に置いておくだけじゃダメなんですか?
第4章 先生、投資って何から始めればいいですか?
第5章 結局、保険って入ったほうがいいんですか?
第6章 人生100年時代に、豊かな生活を送るために必要不可欠なこと

■岩城みずほ(いわき・みずほ)さんプロフィール
ファイナンシャルプランナー。CFP®認定者。オフィスべネフィット代表。特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。株式会社キングジム社外取締役。日本FP協会会員。日本年金学会会員。第53回社会保険労務士試験合格。慶應義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年活動。会社員を経て、2009年独立、現在に至る。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場での相談業務他、執筆、講演を行っている。毎日新聞経済プレミア、東洋経済オンライン、日本経済新聞「家計のギモン」などで連載中。著書に『腹黒くないFPが教えるお金の授業』(三笠書房)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)他多数。

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