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「529プラン」で資金を準備し、奨学金活用がスタンダード!? 驚きの米国大学費用事情

  • 2022.4.20
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アメリカの大学の学費はとにかく高いです。いわずもがな、私立大学のほうが州立大学よりも高いです。州立大学の場合、居住している州(つまり州税を払っている州)にある州立大学に行く場合は州内授業料になりますが、居住している州の外の州立大学の場合は州外授業料となり高くなります。2021年の秋から始まる1年間(実際は夏季休暇を除く9カ月)において、州内の州立大学に行く場合の授業料や寮費/食費などのトータルコスト平均値は$22,690、州外州立大学のそれは$39,510。私立大学の場合は$51,690という数字でした。あくまで全米平均なので、たとえばコストが高いカリフォルニア州の州立大学であるカリフォルニア大学の場合は州内でも$37,000くらいですし、私立トップのアイビーリーグなら$75,000程度です。しかも、これらは1年間の数字なので、4年通うなら×4です。

こんな高い学費をみんなが払うのか……と思われるかもしれませんが、多くの場合は様々なディスカウントがあって値引きがされます。どんなディスカウントがあるかというと、大きく分けて2つ。1つは経済的に援助が必要だと思われる場合に出る奨学金(金銭援助としての奨学金)であり、もう1つは経済的なものは関係なくその学生の資質に応じて出る奨学金(資質での奨学金)です。

人種で奨学金が出ることも…アメリカの奨学金事情

金銭援助としての奨学金は、その援助の必要性を測るための公式があって、家庭の収入や資産などの情報を使って援助の必要性を計算します。州立大学では年収$100,000を超えれば、年収が十分とされ援助の必要なしとなります。ただ、援助の必要性というのは、学費が高ければ高いほどその必要性も高くなるので、アイビーリークのように年間の学費(授業料と寮費/食費などのトータルコスト)が$75,000であれば、かなり収入が高い家計でも経済援助の必要性が高くなります。よって、年収$200,000レベルでも金銭援助の奨学金が出ることもあります。

アイビーのようなトップ大学などは、成績が基準にかない合格したのなら、金銭援助の必要があればそれを100%満たす=つまり必要分は大学が奨学金としてカバーするとうたっているところもあります。家庭がそれほど裕福ではなくても、成績がよくて合格できるなら一番おいしい道かもしれません。

とはいうものの現実は異なっているという事実もあるようで、昨今では、ブラウン大学、コロンビア大学 、イェール大学、コーネル大学、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学などを含む全米のエリート16大学が、学生の学力や成績だけではなく、その家庭がどのくらい支払い能力があるかという点を入学基準として考慮しており、富裕層や過去の寄付者、将来的な寄付の可能性のある家庭を優先させて入学させていたという疑いで訴えられるということがありました。大学間のカルテル的な連携により奨学金の内容や額を調整しあって、価格低下競争を避けていたというようなことがあったそうで、結果として17万人以上の学生にオーバーチャージがあったとされています。このような「できるだけ優秀な学生を確保しながらも、できるだけ授業料やその他費用を徴収し利益を最大化する」ための手法はエンロールメント・マネージメント(合格者/入学者マネージメント)と呼ばれます。大学はあくまでビジネスであるということを思わせます。

もう1つの資質での奨学金は、家庭の経済状況などは全く考慮せず、その学生の資質のみで出る奨学金で、主に私立大学で提供されます。成績、音楽やスポーツなどの特技、社会活動などが考慮されるものもありますが、一方で人種、居住州などで奨学金がおりることもあります。たとえばバーモント州(東海岸の北のほうの比較的白人が多い州)の大学に、カリフォルニア州の都市部からアジア系の学生が行こうとしている場合などは、その希少価値がゆえに奨学金が出たりすることもあります。よって、何かに秀でないと受けられない奨学金がある一方で、特にそういった努力なしでも案外簡単に受けられる奨学金もあります。アメリカは大学でも企業でも、とにかくダイバーシティ(多様性)ということがうるさいほど叫ばれているので、さまざまな人的要素や資質をもった学生がバランスよく存在するよう大学側は躍起になって努めるのです。大学のレベルがトップ校からだんだんと下がるにつれて、この資質での奨学金はもらいやすくなります。この資質での奨学金は、主に私立大学で大学側が「欲しい学生」を集めるツール的にも使われていて、正規価格は同じでも欲しい学生には多くの奨学金を出し、それほど欲しくないけどお金を払ってくれるなら入学させてもいい学生には奨学金は出さない……というような調整がなされます。

そんなこんなで、正規価格はかなり高くとも、みんながフルプライスを払っているかというと、そうではないわけです。ちょっと古いデータですが、2015年の全米411の私立大学に関する調査によると、平均で学生が払うトータル費用は正規価格の約半分という結果でした。冒頭のデータでは私立大学の全米平均トータル費用は$51,690ですが、実際家庭が支払う費用はざっと$26,000という感じになります。

「結局学費はいくらかかる!?」に大学側から計算システムを提供

いったい大学にトータルでいくらかかるのかは、行く大学、州立/州外/私立の別、金銭援助や資質での奨学金がいくらもらえるかなどなど、さまざまな変数があってなかなか分かりにくいわけです。これでは予想もたたないということで、昨今では各大学がネットプライス・カリキュレータ―という計算機能を大学のWeb上に提供することが法律上義務付けられました。ネットプライスというのは、正規価格からいろんな奨学金などの値引き額を差し引いた後の自己負担額のことです。

たとえば、スタンフォード大学の場合は、表示価格$79,000(年間)ですが、年収$150,000・数十万ドルの資産ありなどの情報を入力すると、$59,900が金銭援助の奨学金、$3,500が学生がキャンパスで働くことで賄う部分、残りの$15,600が家庭が支払うべきネットプライスというように計算してくれます。

筆者作成
学費をつくるための非課税枠「529プラン」

お子さんの希望する大学それぞれにこのような計算をしてみて、実際いくらかかるのか予想しながら準備をすることになります。アメリカには529プラン(401kのように税制コードが名前になっています)というのがあって、お子さんが小さいうちから積み立てることができ、利回り非課税で運用することができます。大学費用に使う分においては、そのまま非課税で引き出すことができます。ちょっとつみたてNISAに似ているかもしれません。積み立て限度はほぼないに等しく、かなり大きな額でも積み立てられます。運用は、年齢別ポートフォリオというのが人気があり、お子さんの年齢を入力すればそこから大学入学年を割り出し、その年をターゲット年としてポートフォリオを自動運用してくれるものが一般的に普及しています。リタイヤメント資産のためのターゲット・デート・ファンドの大学版のような感じです。

準備しても足りない場合はローン、ただし借り過ぎには注意

とはいうもののお子さんが小さいうちに始めるなら、どんな大学に行くのかも想像が難しい場合も多く、そんなときはとりあえず、入学時に$50,000から$100,000程度を準備するというようになんらかの目標額を目指し、州内の州立大学ならカバーできるレベルをお勧めすることが多いです。州立に行けばそれでよし、私立に行けば奨学金が出ればちょうどいいレベルともいえます。

実際に大学に入った後には、その時の給料からと529プランなどの貯蓄からの引き出し分で費用をカバーしていくことになりますが、どうしても足りないとなればローンを組むことになります。

ローンが必要な場合は、親が家を担保に借りたり、あるいは親や学生がスチューデント・ローンを組むことになります。基本的には、「学費は借りられても、老後の費用は借りられない」という考え方から、親が自分のリタイヤメントを犠牲にしてローンを組むことは避けたいところです。学生自身がローンを組む場合には、初任給の1年分くらいまでにしておくのが肝要とアドバイスしています。2021年の全米の初任給平均は$55,260でしたが、このくらいまでの額であれば10年以内には何とか返済が可能であるといえます。あまりに大きいスチューデントローンは、そのお子さんが結婚したり家を買ったりという人生の立ち上げを遅らせてしまいます。ちなみに2021年卒業の学生でローンを組んだ学生の、卒業時の全米平均ローン額は$31,100でした。

岩崎 淳子/ファイナンシャルプランナー

「Smart & Responsible」代表。 マーケティング戦略やアナリスト業務を経験した後、2000年に夫の転職を機に米バージニア州へ移住。子育てをしながら米国公認会計士、パーソナル・ファイナンシャル・スぺシャリトに合格。日本と全く異なるアメリカのシステムに戸惑った経験をベースに、個人向けファイナンシャルプラニングの情報提供サイトを立ち上げる。大金持ちでないからこそのプラニング・バランスのとれた家計システム・人任せにせず自分で考える姿勢をモットーにプラニングサービスを提供中。聖書をこよなく愛するクリスチャン。現在は米カリフォルニア州在住。著書に『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』(ダイヤモンド社)。

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