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DCがMCU的な手法で製作 『ピースメイカー』はアクションもお下劣も大人向け!?

  • 2022.4.17
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『ピースメイカー』Peacemaker and all related characters and elements(c) &TM DC and Warner Bros. Entertainment Inc.

『ピースメイカー』はDCコミックのキャラをベースにしたドラマシリーズです。昨年公開された映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』に登場したピースメイカーことクリストファー・スミスを主役にしています。映画同様、本キャラを演じるのはジョン・シナ。WWEの大スターであり最近では俳優としても活躍。製作総指揮&メインの監督を務めるのも映画同様ジェームズ・ガンです。

元々、DCは映画だけでなくドラマも積極的に展開していました。ドラマについてはマーベルよりも先行していたと思います。だから“DCドラマ”というのは珍しくないのですが、本作がユニークなのは、映画と連動したドラマシリーズであること。もう少し詳しく言うと、DCは映画とドラマを“別物”としていました。一番わかりやすい例は『ザ・フラッシュ』で、TVドラマシリーズはグラント・ガスティンが演じているのに対し、同時期に公開されたDC映画ではエズラ・ミラーが演じていました。なお、このドラマと映画は違う世界観です(後にマルチバースの関係とされましたが)。一方マーベルは、映画とディズニープラスで配信されるドラマは同じ世界観=マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中の出来事としており、“映画の続きをドラマで楽しむ”という手法を編み出しました。つまり、今回の『ピースメイカー』はマーベル的な手法をDCがようやく取り入れた作品となるのです。

ピースメイカーはその名のとおり、平和を作る者。身に付けた戦闘スキルで悪人どもをやっつけ、平和のために戦う人です。特殊なヘルメットというかマスクを被り、胸には平和の象徴である鳩のマークが。この設定を聞くと典型的なヒーローなんですが、彼の扱いはヴィランです。なぜか? それは、彼が「平和=社会の秩序」を守るためなら手段を選ばないからです。相手が社会に害をなすと判断すれば、容赦なく殺しまくる危険人物なのです。それ故、犯罪者として30年の刑期をくらい、収監されていました。しかしその腕を買われ、犯罪者=ヴィランだけで構成された特別チーム「スーサイド・スクワッド」にスカウトされます。この時の彼の冒険を描いたのが『ザ・スーサイド・スクワッド』です。しかし映画のラストで致命傷を負い病院送りに。『ピースメイカー』はその後の彼のお話です。

個性派ぞろいの『ザ・スーサイド・スクワッド』でも極めてユニークな人物であり、またコスチューム姿もキャッチ―。シナの好演(怪演)もあって人気キャラとなりました。ガン監督も、もっとこの人物を深堀したくなったんでしょうね。というわけでドラマ化された本作。本人はいたって真面目に“正しいこと”をやっているつもりなのに、はたから見ればとんでもないサイコ野郎。ガン監督はピースメイカーを“裏キャプテン・アメリカ”的にとらえているようです。このドラマ版ではピースメイカー/クリストファー・スミスが減刑と引き換えに、 “バタフライ計画”なる恐怖の陰謀に立ち向かいます。ストーリーは王道のアクション・ヒーローものですが、本作の楽しさはやっぱりこのピースメイカーの天然ぶり。また彼を取り巻く人物も曲者ぞろいで、その掛け合いが面白い。

ここでちょっとコミックにおけるピースメイカーというキャラについて説明しましょう。実は彼には極めてユニークな背景があります。もともとDCではないチャールトン・コミックスという出版社から、1966年にデビューしたヒーローものなのです。後にチャールトン・コミックスをDCが買収。DCユニバースの一員となりました。1988年にDCコミック版の『ピースメイカー』のシリーズが刊行され、以後ちょくちょく他のヒーローコミックにゲスト出演しています。今回のドラマの中に「(背中に背負う)ジェットパックが欲しい」というセリフがありますが、コミックでは確かにそれを使って空を飛んだりします。(ちょっとボバ・フェットみたいです)。

“バタフライ計画”と聞いて、ピースメイカーは今度の敵は「モスラみたいな怪物!?」と言います。そう日本のモスラです(笑)。『ザ・スーサイド・スクワッド』では“スターフィッシュ=ヒトデ計画”と聞いて巨大なヒトデ型エイリアン(スターロ大王)が出てきたのでそう思ったのかも。ガン監督は日本の怪獣映画のファンもあるので、このセリフにしたのでしょうね。ピースメイカーが鷲に「ワッシー」という安直な名前を付けて相棒にしていますが、原語では鷲=イーグルを「イーグリー」と呼んでいます。

ノリノリで楽しいヒーローコメディですが、かなりお下劣な会話やアダルトな描写もあるのでご視聴注意です(よくあるアメコミヒーローものだと思って、お子様と一緒に観てはダメですよ!)。一方、アクションシーンやほとんどホラーな敵の怖さなどは見ごたえあり。ギャグとアクションのバランスが絶妙です。ヘルメットごとに様々なパワーを発揮するという設定もユニーク。このヘルメットを作る、主人公の狂った父親オーガストを演じるのは、『ターミネーター2』のT-1000こと演じたことで知られるロバート・パトリック。だから彼が“銀色の物体”を持つとワクワクしてしまいます。

また、『ザ・スーサイド・スクワッド』が『ジャスティス・リーグ』とか『アクアマン』の世界とリンクしているので、バットマンやアクアマンの名前が出てきます。第1話のアクアマンのディスりネタは大笑いしてしまいましたが、怒られないのか心配です。とはいえ、こういうイジリを次回以降も期待したいですね!(杉山すぴ豊)

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