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清澄白河の新しいギャラリーショップ〈FAAR〉。隅々まで行き渡る〈SEEALL〉デザイナー・瀬川誠人の美意識

  • 2022.4.14
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FAAR店内

住宅地にひっそりと佇む白い箱

「僕の頭の中を表現したかったんです」と語るのはショップオーナーの瀬川誠人さん。ファッションブランド〈SEEALL〉を手がけるデザイナーでありながら、その興味はアート、家具、器、植物、レコードから、温泉巡り、畑、鉱物と多岐にわたり、知識は広く深い。店で扱うのはすべて、彼の審美眼でセレクトされたものたちだ。

FAAR店内
店は材木倉庫さんだった建物を改装。場所の記憶を階段に残した。
作家もの器が並ぶ個室
1階奥の個室には器やヴィンテージの雑貨が。山田隆太郎、鎌田奈穂など人気作家の作品が並ぶ。

材木倉庫だった建物をリノベーションした店舗は、吹き抜け2層+1階奥に個室という間取り。もともとのコンクリート床や剥き出しの鉄骨を生かし、壁は白でペイント。角材を積み上げて作った階段も目を引く。様々な質感で構成されたギャラリーのような内装は〈DAIKEI MILLS〉が手がけた。

「都心の喧騒から離れた、静かで文化的な背景のある場所でやりたかった。わざわざ足を運んでいただけるような店にできればいいなと思っています」

ピート・ヘインの机
個室のテーブルはピート・ヘインのごく初期の作品。巨大な一枚の木材を折り曲げて作られている。継ぎ目の美しさに驚く。

コンセプトをショップ名に込めて

〈FAAR〉はFunction And Alternative Researchの頭文字。「様々な機能を持ちつつ、モノとコトに対して新たなアプローチとリサーチをして、一つ先にある新しいクリエイティビティを取り上げていく、というコンセプトを店名にしたんです。FARにもう1つAが加わることで、“さらに先へ”という想いも込めています」。

品揃えは〈SEEALL〉とセレクトブランドの洋服と小物、家具、器、ヴィンテージ雑貨、アートブック。

「子供の頃から家にいるのが大好きで、自分の空間をとても大切にしていました。身の回りに置くのは好きなものだけ。学生時代は音楽に夢中だったり、年齢を経てアートや家具、器へと視野は広がってきましたが、『なんでこれがかっこいいのか?』という理由を深掘りしないと気が済まない性格は、昔から全然変わっていません(笑)」

それが内装にも品揃えにも反映しているのである。

盛永省治の器
鹿児島の木工作家、盛永省治の器。美しい木目は生木を削り出して制作されたもの。日本の作家物には裏側に作家名が記されている。
彫刻家コルネリス・ジットマンがデザインしたベンチ
木製のベンチはオランダ出身の彫刻家コルネリス・ジットマンがUMS Pastoe社のために作った1960年代の作品「FM50 sofa」。
1930年代ドイツ製のテーブルライト
オランダのフィリップス社から1960年代に発表された、ルイ・カルフがデザインしたテーブルライト。インダストリアルでありながら、どこかキッチュでユーモラス。
ヴィンテージのアクセサリー
ヴィンテージのシルバージュエリー。手前のバンブーバングルはグッチ、奥のスタッズバングルはエルメスのもの。

ライフスタイルに驚きと発見を

ミニマル、インダストリアル、ネイティブ、クラフトとデザインやもの作りの方向性もさまざま、一つ一つ全てが個性的でストーリーのあるものばかり。だが、それらは一貫した美意識に支えられている。「海外のアート作品や家具については、おそらく僕しか説明ができないので(笑)、しっかりとプロフィールを記したカードを置いています。

アートブックは「twelvebooks」の濱中敦史さんと一緒に選んでいます。お客さんには滞在時間を長く、自由にいろいろ眺めながら過ごしてほしいですね。今後はギャラリーとしても使っていきたいなと計画中です」

アートブックと帽子
帽子とアートブックと雑貨が同じ棚に並ぶ。洋書には内容を要約した解説カードが挟まれている。
2階のアート作品展示スペース
ガラスで仕切られた吹き抜け2階のスペースにはアート作品が。手前はアンドレ・カズナヴの「ムーンロックランプ」。奥はサビーヌ・マルセリスの「キャンディキューブ」。

Information

FAARの入口

FAAR

住所:東京都江東区平野2-3-34 1F
TEL:03-5875-9085
営:12時〜19時
休:月曜・火曜

公式Instagram:@faar_tokyo

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