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「このままではマズい…」働かないおじさんもつい焦り出す"納得の評価制度"

  • 2022.4.10
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「働かないおじさん」を生まないためにはどうすればいいのか。企業を成長させる組織論を展開する識学の安藤広大社長は「『働かないおじさん』を生み出さないためには、方法は1つ。それは『マイナス評価』を取り入れることです」という――。

※本稿は、安藤広大『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

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「働かないおじさん」を生まないための仕組みづくり

「働かないおじさん」を生まないためには、どうすればいいのでしょうか。

個人の責任にするのではなく、仕組みとして解決できることを考えていきましょう。

あなたなら、どのような制度を取り入れますか。ちょっと考えてみてください。

「インセンティブ制度を取り入れる」という答えが思い浮かんだかもしれません。

成果を出せば出すほど給料が上がるのであれば、全員やる気に満ち溢れるような気がします。しかし、インセンティブ制度は、非常に要注意な考えなのです。

「インセンティブ制度」の弊害

インセンティブ制度を丸ごと否定しているのではなく、注意して扱う必要があるという話です。インセンティブを取り入れると、社内で競争が生まれます。そのこと自体は、活性化につながるので短期的なメリットではあります。

しかし、長期的にデメリットが存在します。

インセンティブ制度があると、全員が目先のことだけを考えるようになり、気持ちは期ごとに区切られ、帰属意識が少なくなります。

まず、インセンティブ制度だと、トップの経営者だけで全員の評価を下せるようになります。社長、部長、一般社員という3つの階層があるとすると、真ん中に部長が存在する意味がなくなります。

この現象は、外資系の保険会社などに多く見られます。営業のプレーヤーが数字をガンガンあげて、トップの経営者がそれに応じた給料を支払います。すると、プレーヤーは経営者のことを見て仕事をするので、上司である部長との関係が機能しません。

こういうプレーヤーは、さらに稼げる環境があれば、すぐに転職をします。

組織全体に貢献するほうのインセンティブがまったく無いからです。

これは、芸能事務所を見てみればよいでしょう。

芸能事務所は、個人の集まりで、チームプレーがほとんどありません。そうすると、看板タレントが偉くなります。有名タレントが経営陣よりも発言権が強くなります。「気に入らないことがあればいつでも辞めるからね」という力関係が生まれてしまうのです。

こうなってしまうと、他の所属タレントにとってメリットもありません。

ということで、長期的に会社をよりよくしていきたいのなら、インセンティブ制度だけではうまくいかないのです。

評価すべきは「連続性」

インセンティブには、個人の給料だけでなく、そこに居続けるメリットが必要です。

たとえば、先ほどの保険営業の場合を考えてみます。営業成績に応じて給料を決めるという条件であっても、調子のいい月もあれば、悪い月もあります。

すると、成績と給料が乱高下するようになってしまいます。「今月は気合いを入れよう」「今月は調子が悪いから手を抜いて、来月は一気に頑張ろう」と、意識が1カ月ごとに途切れるようになります。

株を損切りするときのように「諦めるクセ」がついてしまうんですよね。

その先にあるのが、「この会社ではもうダメだ」と早々に離職してしまうことです。

大事なのは、平常心で毎日、毎週、毎月の業務に取り組むことです。つまり、「積み重ね」です。

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とはいえ、いたずらに「長く働けばいい」わけではありません。連続性も、行きすぎると弊害を生みます。「完全な年齢給」というのが典型例です。

年齢によって給料が100%決まる。すると、若いときは安い給料で我慢して、歳を重ねてから元を取るような思考になります。つまり、できるだけ会社にしがみつき、長く居ることがメリットになります。

長く居ることが「最大の目的」にすり替わってしまいます。

これによっても、「働かないおじさん」は生み出されます。そうならないために評価の「連続性」が必要です。継続していることを正しく評価に入れるようにします。

「働かないおじさん」を生み出さないたった一つの方法

では、評価に「連続性」を持たせるには、どうすればいいのでしょうか。メンバー全員が成長を目指し、「働かないおじさん」を1人でも生み出さないためには、方法は1つです。それは、「マイナス評価」を取り入れることです。

日本の多くの会社では、一度上がった給料が下がることはありません。

しかし、私たちの考えでは、これが成長を止める元凶だと思っています。

多くの企業では、評価制度は「加算方式」です。現状維持の人は「0点」、頑張った人にはその度合いに応じて「1〜4点」をプラスする。そういう制度がほとんどでしょう。

安藤広大『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)
安藤広大『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)

ただ、現実には、評価には「良い」と「悪い」しかないと思うのです。たとえば、おなかが空いたとしましょう。たまたま入った定食屋が「おいしければ、また行く」「そうでなければ、もう行かない」と、2つしか選択肢はありません。

つまり、評価に「ゼロ」はなく、「プラスか、マイナスか」に分けないといけないのです。そして、マイナス評価だった場合は、給料にも反映されるべきです。

この制度を取り入れると、「現状維持はヤバい」ということが個人にも認識できます。

「このままだとうちの会社はマズいよね……」そう思っていながら、自分たちの給料がそのままだとしたら、きっと危機感は訪れません。だって、自分の生活は現状維持ができているのですから。

ゼロ評価がないと人はどう考えるのか

評価にはゼロがない。これを徹底しないと、成長しない言い訳が成立します。

たとえば、次のように年に4回の評価を部下に下すとします。

・1回目「結果が出たから『プラス3』です」
・2回目「未達だったので、『マイナス2』です」
・3回目「あと一息だったので『マイナス1』です」
・4回目「大きな成果を出したので『プラス4』です」

すると、1年間でトータルは「プラス4」という点数になります。しかし、評価にゼロがあると思っている部下は、次のような誤解をします。

・1回目「今回は『プラス3』だな」
・2回目「全然ダメだったから『ゼロ』だ」
・3回目「今回も良くなかったから『ゼロ』だな……」
・4回目「よし、大きな成果が出たから『プラス4』だ!」

こうすると、トータルで「プラス7」になります。ここにお互いの意識のギャップが生じます。

「ダメだった=ゼロ」としてしまうと、ダメで当たり前であり、現状維持してもいい感覚になる。これはとても危険な考えです。

本人が危機感を感じる仕組みを

マイナスの人にマイナス評価をつけて、「このままではマズい」ことを認識してもらいます。その認識の瞬間は、まさに「数値化の鬼」になってもらうのです。

別に、その人の人格や人間性がマイナスなわけではありません。この先の成長を信じているからこそマイナス評価を与えられるのです。

マイナスの人の給料を下げるぶん、貢献してくれた人にはプラスの給料を与えることができます。

その原資にしたほうが、組織全体はうまくいきます。経営者から見ても、極めて健全な状態だと思います。

安藤 広大(あんどう・こうだい)
識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングスを経て、ジェイコム(現:ライク)にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11カ月でマザーズ上場を果たす。

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