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居酒屋でお酒やソフトドリンクの「注文なし」は許されないのか?専門家の見解

  • 2022.4.11
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お酒やソフトドリンクの注文は必須?
お酒やソフトドリンクの注文は必須?

一般的に居酒屋は、「お酒をメインに料理を楽しむ店」というイメージが強く、「お酒やソフトドリンクは必ず注文するもの」という“暗黙の了解”があります。しかし、中には「料理とご飯物だけ注文し、飲み物は無料の水だけでもいいのでは?」と考える人もいるようです。ネット上では、「居酒屋に何しに来ているんだ」という声もあれば、「食べ物を注文しているのだから問題ない」という声もあるなど、賛否両論です。居酒屋では、お酒やソフトドリンクを必ず注文しないといけないのでしょうか。料理とご飯物、無料の水だけでは駄目なのでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

料理に重点を置いた居酒屋、増加

Q.「居酒屋はお酒で利益を出している」とよく聞きます。一般的に、お酒の利益率と料理の利益率は、どれくらい異なるのでしょうか。

成田さん「居酒屋チェーン店などは、まとまった仕入れで価格が安くなることがありますが、そういったメリットを無視して、単純に粗利(売り上げから原価を引いたもの)だけで算出した場合、一般的な居酒屋のお酒の原価率は10~30%、料理の原価率は30~50%程度です。

一般的な売上比率は、『お酒:料理=2:8』ほどの場合が多いのですが、健全な居酒屋経営をするためには、店全体の原価率を25~35%ほどにする必要があり、お酒の売上比率が少なく、料理の売上比率が高い居酒屋では、この原価率の基準を超えるため利益が出ません」

Q.居酒屋では、お酒やソフトドリンクを必ず注文しないといけないのでしょうか。

成田さん「そもそも『居酒屋』のルーツは、酒店で買ったお酒を持ち帰って家で飲むのが主流だった時代から、持ち帰らずにその酒店で飲む客が増えたことで、徐々に椅子を置いたり、つまみを出したりするようになったことが始まりといわれています。

まさに、『酒店に居座る』から『居酒屋』と呼ばれるようになったわけです。ルーツから見て分かるように、居酒屋はもともと酒を売る店なので、『お酒を注文しなくてはいけないだろう』という風習が残っていますが、時代の流れとともに居酒屋を名乗りながらも料理に重きを置く店も増えており、必ずしもお酒やソフトドリンクを注文しなくてもよいと思います。

お酒を注文しないお客さまを好ましく思わず、制限を設ける居酒屋もあるでしょうが、居酒屋業態も時代のニーズに順応していくべきと私は考えます」

Q.「その店独自の料理を食べたい」という目的で訪れ、料理とご飯物、無料の水だけで、お酒やソフトドリンクを注文しなくても大丈夫ということですね。

成田さん「料理などを注文していれば、お酒やソフトドリンクを注文しなくても大丈夫です。しかし、ワインと料理を組み合わせることで料理をより一層おいしくしたり、脂っこい料理の後にウーロン茶で口の中をすっきりさせ、次の料理をおいしく食べてもらったりするなど、お客さまにさらに満足してもらうために、店側が配慮してお勧めする飲み物もあります。それを分かった上で、店側とコミュニケーションが取れていれば問題ないはずです」

Q.居酒屋の中には、昼の営業で定食メニューを提供している店があります。夜の営業でも同じように提供してもらえる店が増えると、気兼ねなく料理を中心に楽しむことができるのですが、難しいのでしょうか。

成田さん「店の規模やメニューにもよりますが、今後は昼の定食メニューを少し工夫し、夜の営業でも提供する店が増えてくると考えます。

居酒屋で昼の営業をしている店は、夜の営業への導線と考えている店が多いです。そのため、昼の定食メニューはとてもお得な金額設定にしており、そのまま夜の営業で提供しても利益は出ないでしょう。

しかし、少しの手直しで、実際に昼のメニューを夜に提供して利益をアップさせた居酒屋を、私は幾つも知っています。居酒屋もアフターコロナに順応し、料理に重点を置いた店が増えてくると私は考えます」

Q.居酒屋は客に、「お酒やソフトドリンクを必ず注文して」と強く求めるのは難しいと思います。一方、客も居酒屋に配慮をする必要はあると思います。「居酒屋で飲み物を注文しない問題」は、どういう解決法があると思われますか。

成田さん「新型コロナの影響で、居酒屋業態は今、大きく生まれ変わろうとしていますが、さまざまな理由で順応できない居酒屋も多いです。旧来の居酒屋経営では、ドリンクで利益の多くを得る店も多く、お酒やソフトドリンクを注文しない客を良しとしない風習もあります。

お気に入りの店を長く利用したいのであれば、利用する側もお酒やソフトドリンクの1杯でも注文する配慮や、客が少ない時間帯に利用する、店の迷惑にならないで利用する方法をスタッフに聞くなど、店側への気遣いやコミュニケーションがあれば、お互いに気持ちよく過ごせるのではないでしょうか」

オトナンサー編集部

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