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身体ナビゲーションVol.69「体内の化学工場・肝臓」

  • 2015.9.18
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こんにちは。健康管理士のSAYURIです。

肝腎要(かんじんかなめ)とも言われる、肝臓・腎臓・腰ですが、今回からは肝臓についてご案内させていただきたいと思います。

日常の生活の中で肝臓の働きと言ってピンとくるのはアルコールの代謝をするところ。 そんなイメージくらいでしょうか。実は、肝臓は500以上の化学反応を起こして私たちの生命を支えてくれる重要な臓器で、生体の化学工場と例えられているほどです。

今回は、そんな肝臓の構成とその働きについてご紹介したいと思います。

●肝臓の構成

肝臓は体内で最大の臓器です。450〜500万個の肝小葉と呼ばれる幹細胞が集まって形づくられ、重さは1.2kg〜1.5kgもあります。その大きさに比例して、肝臓へと流れ込む血液量も非常に多く、1分間に1〜1.8Lにもおよびます。肝臓に流れ込む血管には冠動脈と門脈があり、肝臓に流れる血液の70〜80%が門脈から、残りの20〜30%が冠動脈から流れ込んでいます。

門脈は脾臓(ひぞう)、膵臓(すいぞう)などの臓器から流れ出る静脈が集まった血管であり、主に消化管から吸収された栄養素を肝臓に送り込んでいます。また、冠動脈は心臓の大動脈から分かれて肝臓へとつながり、肝臓が働くための酸素や栄養素を送り込む血管です。このように肝臓に運び込まれた栄養素は体内で利用できるエネルギーに変換され、私たちの生命を支えています。

●肝臓の働き〜解毒〜

肝臓の働きは大きく分けて代謝、解毒、胆汁の生産の3つに分けることができます。まずは解毒。

肝臓は体にとって有害な物質を分解して、無毒なものに変えてくれます。例えば、アルコールの適度な摂取は爽快感を感じたり、ストレス発散にもなります。ただし、過剰に摂取すると深い症状を引き起こし、さらには意識障害から昏睡(こんすい)に至ります。

アルコールは、肝臓の幹細胞でアルコール脱水素酵素(ADH)の働きによりアセトアルデヒドに分解されます。さらに、アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きによって酢酸に分解・無毒化されます。しかし、酵素がきちんと働かないと分解が不完全となり、頭痛や吐き気などの不快症状を引き起こします。

例えば、個人差はあるものの、“日本酒1〜2合、ビール1〜2本”を超える量を飲むと吐き気が起こる場合があります。ALDH2を遺伝的に欠損している人は、少し飲んだだけでアセトアルデヒドが体内に蓄積します。すぐに顔が赤くなったり、不快症状を引き起こすので飲酒できません。そのためALDH2を欠損している人はアルコール性肝障害にはなりません。

また、私たちが魚や肉から動物性のタンパク質を摂取すると、腸内の悪玉菌によって分解され、有害なアンモニアが発生します。アンモニアが体内に増えると脳に悪影響をおよぼし、意識障害が出たり、ひどい場合には昏睡状態に陥ってしまいます。肝臓にはこのアンモニアを素早く解毒し無毒な尿素に変え、尿として排せつする働きがあります。

●胆汁の生産

脂質の消化に重要な役割を持つ胆汁は、肝臓で古い赤血球を材料として作られます。胆汁には胆汁酸、胆汁色素(ビリルビン)、コレステロールなどが含まれています。

胆汁は脂肪の消化吸収に重要な乳化作用、酸の中和作用、老廃物の排せつ作用などの機能を持っています。膵臓と違って消化酵素を含みませんが、膵液(すいえき)に含まれるアミラーゼやリパーゼなどの消化酵素の働きを高めます。

【参考文献】

・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行

●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)

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