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アナタが“社内初”に! パパが育休を取得する手順4STEP

  • 2015.9.17
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【パパからのご相談】

妻の妊娠が発覚したばかりのプレパパです。男性でも育休が取得できると知りました。会社で、まだ誰も育休を取った男性がいないため、アドバイスを聞くこともできません。実際にはどのように話を進めていけばよいのでしょうか。

●A. 早め早めの準備・行動を心がけましょう。

ご相談ありがとうございます。今まさに育休中の新米パパライター、矢山ユースケです。

政府が取得率アップを目標の一つに掲げているとはいえ、男性の育休取得率が2.03%(厚生労働省調べ・平成25年度)のご時世です。同じ会社に育休パパの経験者がいる可能性は、とても低いと言わざるを得ません。「育休を取得したいけれど、どうしてよいのかわからない」という悩みや不安は、同じように育休取得を考え始めたプレパパたちみんなが思っている感情、と思って差し支えないでしょう。みんな、気持ちは一緒なのです。

何を隠そう、私自身、所属している会社の“育休パパ第1号”でした。すべてが初めてのことだったので、いろいろと戸惑ったことを覚えています。一人ひとり状況が違うので、参考になるかどうかわかりませんが、私が実際に育児休業を取得するにあたって注意したことなどを、時系列でご紹介していきます。

●パパの育休取得までの道のり4STEP

●(1)周囲の人に相談する(予定日の5〜4か月前)

まず最初に、同じチームで仕事をしているメンバーに対して、育休取得のつもりがあるということを、それとなく相談しました。ママが安定期に入ったすぐ後だったと思います。飲み会の席で、「子どもができました!」の報告と共に伝えました。

感想はバラバラで、「無理じゃないかな?」「いいと思う!」と、ほぼ真っ二つでした。ただ、チームの中でも最も長い時間一緒に過ごしているメンバーが、「せっかくだから、取りなよ! 権利なんだし!」と言ってくれたことが、とても後押しになりました。

この段階での賛否両論は、取得したい本人に対するものというより、“パパの育休”という(残念ながら)まれな出来事に対しての意見や所感である可能性が高いので、あまり気にする必要はないと、私は考えます。それよりも、早い段階で意向を示すことによって、周囲の人の認知や理解を得ることが大切なのです。

●(2)上司に報告し、育児休職の申請をする(予定日の4〜3か月前)

同じチームのメンバーへの相談を終えたら、続いて、上司への報告と育休の申請を行いました。育休の申請方法については、それぞれの会社で異なりますので、報告の際に上司へ確認してください。上司も諸手続きについて不明であれば、総務部などへ確認しておくよう促されます。自分でハローワークのウェブサイトを確認し、ある程度の流れを把握しておくのもよいでしょう。

パパ・ママに関わらず、部下から育休の申請があった際に上司が考えなくてはならないことは、“あなたが抜けた後のチーム運営”です。「いつ出産予定で、いつから育児休暇に入るため、逆算していつごろから引き継ぎが必要だと考えています。戻りの希望はいつごろです」と、「自分のことだけではなく会社のことも考えている」という姿勢が大切です。自分の希望ばかりを前面に押し出すと、通るものも通らなくなってしまうのは、他のものごとと一緒です。

ここで注意するべきことは、チームメンバーに先に話をしていることを上司に告げるかどうかです。これはもう上司の性格次第なので、「なんで俺に真っ先に報告しなかったんだ!」となってしまうようなタイプの上司であれば、同僚に先に話をしたことは伏せましょう(口裏を合わせてもらう必要もあります)。そうでなければ、すでにチームに報告し状況を共有していることを伝えることで、話がよりスムーズに進むことでしょう。

直属の上司がパパの育休取得に理解を示さなかったり、一方的な都合や頭ごなしな態度で拒むようなことがあれば、さらに上の上司を巻き込むことも有効です。実際、私の場合がまさにこのパターンでしたので、同僚の次には直属の上司よりも上の人へ相談し、先に道筋を作っておきました。

●(3)引継計画を練り、引継書を作成する(3〜2か月前)

育児休業の申請が完了して、次に考えたのは“引き継ぎ”でした。まず、自分の仕事をどうやって引き継ぐのか、工数はどのくらいあるのか、日数はどのくらい必要なのかを算出しました。その後、チームのメンバーの意見を取り入れて修正し、完成したら上司に提出し、後任者の選定をしてもらいました。

引継作業は“面倒なこと”“本来であれば不要なこと”と捉えられがちですが、“担当業務のブラッシュアップ”という側面から考えると、会社にとってもとても有用なことです。私自身も体験しましたが、これまでずっと、「この作業は自分にしかできない」と思ってやってきた作業でも、“引き継ぎ”を考えたとき、“誰にでもできる仕事”に変換しなくてはなりません。手引書や、場合によっては簡単なシステムを組むことが必要になることもあるでしょう。

引き継ぎは時間も手間もかかる作業ですが、こうして一度“誰にでもできる”ようになった仕事は、また別の機会に違う人への引き継ぎを可能にします。すると、人材の育成や配置転換が容易となり、それは会社側へのメリットとなるのです。

私の場合、後任人事が遅々として進まず、引継計画の練り直しが発生しました。前出の直属の上司が余分な口出しをしてきたせいです。このときばかりは少々焦りましたが、さらに上の上司にすでに話を通してあったことが幸いし、最終的にはほぼ当初の想定通りの人選で後任が決まりました。

●(4)取引先や常駐先へのあいさつを行い、引き継ぎを開始する(2〜1か月前)

引継計画が固まり、後任者が決定したところで、満を持して取引先や常駐先のクライアントへあいさつを行いました。ここで、「育休に入ります!」ときちんと宣言することで、そのクライアントの担当を外れることに対するマイナスの印象が軽減されます。「育休が取れる会社なんだ!」と認知されることで、会社の印象がアップすることも。この印象付けにより、チームのメンバーや後任者、また自分の第二子以降の出産の際、育児休暇が取得しやすくなるという追加効果もあります。

私の場合は、育休開始の1か月半前にあいさつを行いました。後任もすでに決定してからのあいさつで、引き継ぎの計画もバッチリだったので、クライアントの方々には快くご理解いただくことができました。普段の関係も大切ですが、早め早めの準備が鍵だったのかな、と思います。

●パイオニアになることを恐れないで!

以上が、私が育休に入るまでの流れです。ご参考になりましたでしょうか?

別段、特別なことをしたから、育休が取得できたわけでもありません。記事を書いていて、転勤や転職の際の行程に似ているな、とも思いました。“早めの準備”“下調べ”“先手を打つ”ことがポイントです。

“最初のひとり”になることは、勇気のいることかもしれません。ですが、“子どもの誕生”は、人生にそう何度も訪れることのない、大きな出来事です。ここは一歩踏み出して、あなたが育休パパのパイオニアになってください。あなた自身にとっても、会社にとっても、そして日本社会にとっても、大きな一歩になっていくのですから。

【参考リンク】

・育児休業取得率(平成25年度雇用均等基本調査(確報)−事業所調査 結果概要) | 厚生労働省(PDF)

・育児休業給付の内容及び支給申請手続について | ハローワークインターネットサービス(PDF)

●ライター/矢山ユースケ(IT系パパライター)

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