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【京都観光】壮絶なシベリア抑留記録☆歴史から未来を読み解く世界遺産「舞鶴引揚記念館」

  • 2022.3.29
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汁物大好きな三杯目 J Soup Brothersです!FU~FU~☆彡今回は京都府舞鶴市にある史跡公園。その敷地内にある世界記憶遺産にも登録される資料を所蔵する施設。

世界情勢の不安定な今こそ知っておきたい戦後の日本史

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京都府舞鶴市、舞鶴東港。周辺には海上自衛隊基地や軍艦も停泊する場所。そんな入江の一角にある舞鶴引揚記念公園。その公園内にある施設『舞鶴引揚記念館』があります。

第二次大戦後の満洲やシベリア抑留からの引揚者をむかえたまち、舞鶴。ここはその当時の記録や資料を所蔵する記念館で、平成27年には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「ユネスコ世界記憶遺産」にも登録。以前から気になっていた施設ですが、現在の世界情勢、ロシアによるウクライナ侵攻をテレビの報道などでその悲惨さを目の当たりにし、かつて第二次世界大戦に敗戦し、ソ連領に抑留された日本人がどんな様子だったかを知ることで、今後のウクライナの未来にどんなことが起こりうるのか。歴史から未来を示唆できるのではないか、と。そして、まったく戦争を知らない若い世代の人にとって、こんな史実があったことすら知らない人も多いのでは?と。現在ウクライナで起こっていることを、かつての日本に重ね合わせ、より深く歴史を理解しようとやってきました。

ちなみに私も戦争を知らない世代ではありますが、かつて放映され人気を博した作家・山崎豊子原作のテレビドラマ『不毛地帯』に描かれた様子で、シベリア抑留がどんなに過酷であったかということをずっと記憶していました。

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「世界記憶遺産」とは、文書や書物、楽譜や絵画、映画などの資料のうち、後世に伝える価値のある記録物を、登録・保護することを目的とされています。ユネスコ三大遺産事業(他には、自然や建造物などの世界遺産、無形文化遺産)の一つで、1992(平成4)年に創設。現在、2年ごとに登録事業が行われています。

京都では他、東寺(教王護国寺)に伝来した文書『東寺文書』も記憶遺産登録されています。

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第2次世界大戦後、国内で唯一最後まで13年間にわたり、大陸から約66万人の引揚者と1万6千269柱の遺骨を迎え入れた、引揚げのまち舞鶴。

しかし、戦後70年近く経ち、戦争を知らない世代の増加とともに、引揚げの史実は過去の出来事として、年々薄れつつあります。

こうした引揚げの史実を末永く後世に継承し、また平和の尊さを一人でも多くの方に発信していくことを目的に、引揚げやシベリア抑留に関する貴重な資料『舞鶴への生還 1945-1956 シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録』が展示。

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館内には、シベリアの地で使用されたコートなどの防寒着をはじめ「引揚證明書」の文書類など全国から約1万6千点の貴重な資料の寄贈を受け、常設展示には1000点超。そのうち570点がユネスコ世界記憶遺産に登録。

とくにシベリア抑留の記録が目を引き、その抑留者の多くは日本軍捕虜でしたが、中には医療従事者や民間人も含まれました。その抑留地も広範囲にわたり、中にはウクライナなどかなり西域にまで及んでいました。

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労働力として移送隔離され、11年という長期にわたる抑留生活と土木作業などの奴隷的強制労働に従事させられ、極寒の中の重労働と満足な食事が与えられない飢えから、抑留された日本人約57万5千人のうち、約5万8千人が死亡したと伝わっています。実際当時の丸太運び体験ができますが、かなりの重量でした。

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抑留中、命を落とした日本人墓地もあります。

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北海道の札幌より高緯度に位置するシベリアの寒さが過酷であることは、現在ウクライナに侵攻するロシア軍兵が凍傷のより死亡するケースが多い、という話からも察することができます。

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歌謡曲『岸壁の母』は、ここ舞鶴を舞台に抑留から解放され引揚船で帰ってくる息子の帰りを待つ母親の心情を描いた曲。実際、そのモデルとなる方も存在したそうです。そして、そんな岸壁の母は当時の舞鶴港に数多く存在し、引揚船が寄港するたびに遠方から通うのが困難であった人の中には舞鶴に移住する人もいたそうです。

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現代の平和な日本の暮らしを考えると、信じられないような史実。戦中戦後という特殊な環境下では、そんな人権すら考慮されず多くの自由や命を奪われた人がいた、ということを知る重要な施設。そして、現代のロシアによるウクライナ侵攻でも同じようなことが起こりうる現状。今だからこそ知っておきたい歴史ですね。

詳細情報

名称:舞鶴引揚記念館
場所:京都府舞鶴市字平1584番地 引揚記念公園内
電話:0773-68-0836
開館時間:9時00分~17時00分
休館日:第3木曜日(8月を除く) 12月29日~1月1日
公式サイト:https://m-hikiage-museum.jp/

入館料:大人400円 学生(小学生-大学生)150円
※ただし、市内在住か在学の学生は無料

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