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フランスのパン屋の妄想が巻き起こす、ミステリーなコメディドラマ映画『ボヴァリー夫人とパン屋』

  • 2015.9.11
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フランスが舞台の映画には、パリをメインにした作品が多いですよね。でも、今回紹介するフランス映画『ボヴァリー夫人とパン屋』は、“西洋の驚異”と呼ばれる世界遺産のモン・サン・ミッシェルや、ジャンヌダルク終焉の地である古都ルーアンなどで有名なノルマンディー地方が舞台です。 この映画、最近観た中で一番面白かったので、ぜひお薦めしたいと思います。

小説の登場人物とそっくり(?)の夫婦が隣に引っ越してくる

12年間、パリの出版社で働いたマルタン(ファブリス・ルキーニ)は、故郷のノルマンディー地方に戻り、家業のパン屋を継ぐことに。そこは美しい田園風景が広がる小さな村で、パリでの生活とは一転、マルタンには単調な毎日が待っていました。

そんな中、文学好きのマルタンは、本を読んでは空想の世界に浸っていました。とりわけ何度も繰り返し読んでいるのは、ギュスターヴ・フローベールの最高傑作『ボヴァリー夫人』です。

ある日、マルタンの家の向かいにイギリス人の夫婦が引っ越してきます。彼らの名前は、なんとチャーリー(ジェイソン・フレミング)&ジェマ・ボヴァリー(ジェマ・アータートン)。マルタンの愛読書の登場人物と名前がそっくり(『ボヴァリー夫人』ではシャルル&エマ・ボヴァリー。シャルルの英語読みはチャールズ)だったため、彼は早速妄想を膨らませ始めます。

隣のボヴァリー夫人の言動が気になるマルタン

マルタンの妄想など知る由もないジェマは、彼が焼くパンを気に入り、店の常連になります。マルタンは、チャーミングでやや奔放なジェマから目が離せなくなりつつ、ジェマにパンのこね方を教えたり、彼女とお喋りしたりする時間を幸せに感じます。

そんなマルタンを見て、彼の妻は「しょうがない夫」だとあきれ気味です。

ますますマルタンはジェマと小説のボヴァリー夫人を重ねていく

その後も、マルタンは勝手に妄想を膨らませながら、ジェマが小説の中のエマ・ボヴァリーと同じ運命をたどらないかと一喜一憂していました。

そんなある日、マルタンは、ジェマが近所に暮らす年下の美青年エルヴェ(ニールス・シュナイダー)と急接近するのを目撃してしまいます。

妄想か現実か、混乱するマルタン

マルタンの頭の中は、もう小説と現実が入り交じって大混乱。既婚者であるジェマを心配する彼は、思わぬ行動に出ます…。

本作は、イギリスの絵本作家ポージー・シモンズのグラフィック・ノベルの映画化ですが、原作とは違う驚きのラストが待っています。

マルタンのおかしな行動に大笑いしつつ、クライマックスに大満足できる映画です。

映画の魅力の一つとなっているノルマンディー地方

本作のアンヌ・フォンテーヌ監督は、ヒロインのジェマを生き生きと魅力的に映し出しており、彼女のキュートな田園ファッションも、心引かれる要素の一つになっています。

また監督は、「ジェマもだけれど、舞台となっているノルマンディーも、魅力的で行きたくなる場所だと思わせるように、美しく撮りたかった」と語っています。

「土地の魅力もカメラに収めるのが大切だと思った」と言うフォンテーヌ監督による『ボヴァリー夫人とパン屋』は、マルタンの作るおいしそうなパンと、ヒロインの愛らしさに魅了されます。面白いストーリーをたっぷり楽しんだ後、ノルマンディー地方を旅行してみたくなる、今一番のお薦め映画です。

『ボヴァリー夫人とパン屋』

全国順次ロードショー

(C) 2014-Albertine Productions-Ciné-@-Gaumont-Cinéfrance 1888-France 2 Cinéma-British Film Institute

配給:コムストック・グループ

公式サイト:http://www.boverytopanya.com/

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