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服で遊び、服を楽しむ。世界のファッショニスタに聞いた「服の楽しみ方」

  • 2022.3.15
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ブルータス Fun Fashion People 服で遊び、服を楽しむ。

Louis Rubi(ファッションコンサルタント、〈LR3〉デザイナー)

ルールや先入観は不要。
本能で楽しむファッション。

ルイス・ルビ ブランド〈LR3〉のデザイナー
ルイス・ルビ/バルセロナを拠点に活躍するファッションコンサルタント。オーダーを受けてから製造する自身のブランド〈LR3〉のデザイナーも務める。SNSで発信する彼の独創的なサイジングとジェンダーレスなスタイリングが人気。Instagram:@louisrubi

ファッションは、子供の頃からの趣味。私の実家には仮装用の衣装箱があったんです。そこにはマントや帽子など、想像を超えるようなアイテムがたくさんあって、まるでファンタジーの世界でした!私はよくその箱を開けて、自分の世界を作って遊んでいました。その時感じたファッションに対する幸せな気持ちは、今も変わりません。自分がハッピーになれるものを身に着けることは、本当に素敵なことだと思うのです。

私は16年以上、ファッションの世界で働いてきました。4年前にイメージディレクターの仕事を辞め、自分のコンサルティングスタジオを開きました。そしてその1年後、〈LR3〉というブランドを設立したのです。私たちが作る服は、どれもワンサイズオンリー。ジェンダーフリーでサイズフリー。これは、すべての人が服を制限するルールから解放されて、もっと自由にファッションを楽しんでほしいという私たちからのメッセージです。

ファッションはもっと本能的なもので、考えて工夫するものではありません。ルールがあっては楽しくない。〈LR3〉の服を着た人は、自分の年齢、性別、人種、サイズ、体形、文化すらも忘れて、笑顔で踊り、回転し、ファッションで遊ぶようになるのです。似合うとか似合わないとか、そんな先入観すらなくなります。私は自身のブランドと自分のファッションを通して、ルールや常識にとらわれない洋服の楽しさを感じてもらいたいのです。

Young Emperors(ビジュアルアーティスト)

ファッションで愛を表現!
人三脚のスタイル作り。

ヤング・エンペラーズ/イザベル・チャプットとネルソン・ティベルギエン
ヤング・エンペラーズ/イザベル・チャプット(左)とネルソン・ティベルギエン(右)のカップルで活動。〈Cesar Love Alexandre〉名義でフォトグラファーとしても活躍。2人ともフランス出身で、6年前からNY在住。Instagram:@young_emperors

私たちは7年前から、毎日お揃いの服を着ています。互いにパリの写真学校で学んでいる時に出会い、2人ともファッションフォトの道に進み、人生でも仕事でもデュオになることを決めました。カップルコーデを始めた当初は、あくまで自分たちのためのものでした。個人的なアートや愛の表現としてのね。

でも数年前に、SNSで〈Young Emperors〉として活動を始めたことで、クリエイションの可能性を強く感じ、世界が広がったのです。SNSは普段の仕事に生かせないアイデアを、よりカジュアルに発表できる有意義な場です。さらに、ポストに対するフォロワーのポジティブな反応は、新しいスタイルに挑戦することを後押ししてくれます。

私たちにとってファッションは表現であり、アートであり、毎日を楽しく過ごすための手段だと考えています。私たちはすべてのワードローブをシェアしていて、その中から毎日好きなものを選び、着ています。それはまるで画家が絵の具や筆を見るような感覚です。ファッションにしてもクリエイションにしても、2人で楽しんでやることに意味がありますし、これ以外のやり方は考えられません。

また2人でいることは、生産性やモチベーションの面だけでなく、精神的な面でも支えになっています。私たちは、ともに一つの“アイランド”なのです。愛を示す方法として、あるいはチームであることの象徴として、ファッションは欠かせないツールです。

Lucien Clarke(プロスケーター、〈DCV’87〉ディレクター)

母から始まり環境が育んだ
最高峰のスケータースタイル。

ルシアン・クラーク
ルシアン・クラーク/ジャマイカ出身ロンドン育ち。〈パレス スケートボード〉で活躍。自身のブランド〈DCV’87〉はカルト的人気を誇る。〈ルイ・ヴィトン〉がメゾン初となるシグネチャーモデルのスケートシューズを発売し話題に。Instagram:@lucienclarke

当然なんだけど〈パレス Xケートボード〉〈ルイ・ヴィトン〉〈ヴェンチャー〉のプロスケーターとして活動する俺にとって、スケートカルチャーが与えてくれた影響は大きい。『411 Video Magazine』のようなスケートビデオで観ていた世界のスケーターのスタイルとかね。そこにはパンクやヒップホップ、グランジのスタイルが必ず含まれていて、どれも刺激的だった。

でも、ファッションの始まりは? と聞かれたら「母が着せてくれたもの」と答えるね。俺のスタイルは母親譲りなんだ。ファッションに対する興味の種を母が埋めてくれて、スケートボードがその根に水を与えてくれたのさ。

正直なところ、20年ほど前からファッションスタイルは変わっていないんだ。半分はシンプルに、半分はエモーショナルな部分で着こなしたい。ファッションには、必ずその人の個性や見てきたカルチャーが表れる。変化はないと言ったけど、インスピレーションはいろいろなところから、日々受けているよ。それはライフサイクルのようなものなんだ。

例えばヴァージル(・アブロー)と一緒に作った、〈ルイ・ヴィトン〉で初めてのスケートシューズとかね。『Thrasher Magazine』の広告をSNSにポストしたらスゴい反応で驚いたよ。モデルとしてランウェイを歩いたり、一緒にスニーカーを作ったり、メゾン初のプロスケーターに選んでもらったり、ヴァージルには本当に感謝している。R.I.P. VIRGIL.

Teki Latex(DJ)

ロボフィギュアが着想源⁉
大男のアウターへの美学。

テキ・ラテックス
テキ・ラテックス/パリ在住のDJ。過去にTTCというラップグループで活動していた経歴を持ち、ダンスミュージックレーベル〈サウンド・ペッレグリーノ〉も主宰。最近はファッションコンサルタントとしての活動に注力している。Instagram:@tekilatex

ゴーストフェイス・キラ、アウトキャスト、グランド・プーバたちが僕のスタイルアイコン。ヒップホップカルチャーに多分な影響を受けています。音楽以外では“アクションフィギュア”からのインスピレーションも大きいですね。最近でいうと、80年代の「岩石超人」という岩に変身するメカがたまらない。テクノロジーと自然を融合させた、究極のアウトドア系メカだと思います!

それらのフィギュアのデザインが、私のアウターウェアへの愛着につながっています。友人たちと「Outerwear Enthusiasts」というインスタアカウントをやっていて、そこでアウトドアウェアやテックウェアなどについて話したりルックをまとめたりするほど、アウターウェアに目がないのです。

最近はSNSで毎日コーディネートを投稿していますが、「着こなしが好きな大男」と言ってくれる人もいて誇らしく思っています。体の大きな人たちのスタイルアイコンになれたら嬉しいです。


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