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750万人突破。会社が従業員の資産形成をサポートする節税効果のある制度とは?

  • 2022.3.14
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加入者のための教育、それは事業主に課せられる法的責務

以前別のコラムで少し触れましたが、私とDCの関係は、以前在籍していた運営管理機関である某大手保険会社時代から今に至ります。その経験から、私は企業(事業主)・従業員(加入者)双方から見えるDC運用の実態と課題を、現場を通じて間近に見てきました。今回のコラムでは、日頃から私が密に接している企業型DCから見える運用の実情を通じてお話します。

自社の年金制度としてDCを導入している事業主には、税制メリットの恩恵があるだけでなく、所属する加入者全員に対して提供しなければならないことがあります。それが加入者への投資教育の実施です。

本来DCは、自分の年金づくりを加入者自身で行う制度ですが、企業型DCは事業主が全加入者に対して一人ひとりが適切な運用を行えるよう定期的なサポートを行う必要があります。

一般的に企業がDCを導入する場合、それは福利厚生の一環として従業員へ提供されています。福利厚生とは「給与・賞与以外の報酬、サービス」と位置づけられており、従業員が健康で安定した生活を送れること、従業員が働きやすい環境を整備するという目的がありますので、福利厚生という点から見ても、事業主は加入者に対して、平等かつ適切な教育を提供する必要があり、DC担当者は、加入者の皆さんの定年後の人生が豊かになるよう、日々試行錯誤されています。

企業が従業員へ提供する投資教育の種類と目的

まず、企業型DCを導入する事業主は、法的責務として従業員である加入者の皆さんに対して実施すべき教育が2つあります。「導入時(加入時)教育」と「継続投資教育」です。あなたが企業型DCを導入している企業に入社(新卒・転職等問わず)した時、企業があなたに対して最初に実施する教育が「導入時教育」、その後事業主がDC制度運用にあたり独自に定めたプログラムに則り、あなたを含めすでに在籍する他の加入者全員を対象として定期的に実施するのが「継続投資教育」です。

この導入時教育と継続投資教育でどんな教育が行われるかというと、導入時教育は『DC制度における運用の指図の意味を理解すること、具体的な資産の配分が自らできること及び運用による収益状況の把握ができること』を主たる目的として実施する教育です。

簡単に言うと、この教育の受講者は運用に初めて取り組む人が対象と位置づけられており、制度の概要や目的、運用に必要な行動を自分で行えるようになることを理解・行動・把握できるようになることをゴールとしており、運用にあたり知っておくべき必要最低限の情報が提供されます。

継続投資教育は、加入者が導入時教育を通じて得た知識と理解をさらに深めてもらうことを主たる目的として実施する教育で、その内容も導入時教育と比べると、運用に関係する全ての要素に対して、より踏み込んだ内容となっています。

また、この継続投資教育には、一度きりの導入時教育で習得したことを100%理解できていない人や、受講はしたが運用に興味が沸かず消極的な加入者への再教育・行動促進の場として活用するケースも非常に多く、この継続投資教育受講に臨む意識の違いで、同じ加入者同士でも運用において色々な差が生じてくるのが一般的です。

汎用と複雑が混在!? 継続投資教育の難しさ

多忙な日々を送る加入者の皆さんは、DCはご自身が将来受け取る年金のための運用だと理解していても、常にDCを意識しておくことは難しいのが現実です。またDCは長期運用ですので、日々変動する金融動向に応じて即行動しなければいけないというものでもありません。こうした時間という視点でDCをみた時、加入者自身の興味や意識がどうしても薄れてしまうのは仕方のないことです。

そうした現実の中で、事業主が提供する定期的な継続投資教育の実施は、企業型DC加入者にとっては非常に有効な情報収集・学習の場となっています。しかし一方で、私の元には自社の継続投資教育実施に関して、事業主ご担当者様から数多くの相談が寄せられます。

ご相談いただく内容を大きく分類すると、圧倒的に多いのが「社員が自分に見合った運用行動を起こしてくれない」というご相談です。これは自社で継続投資教育を実施した結果、その効果が出なかったことを踏まえてのご相談なのですが、課題のポイントとしては、やはり加入者自身のDCへの関心(認識)と理解レベルが大きく起因しています。

ひとくちにDC加入者と言っても、個々の運用に関する経験や理解、DCに対して抱く印象は異なります。前述の通り、事業主は全従業員に対して、DC運用を通じて定年後の人生が豊かになるよう、少しでも理解と自立性を持てるよう、教育メニューを考案・教育を実施していますが、自社の加入者の多くがDC運用に興味関心が薄い、あるいは運用に消極的であった場合、事業主としては教育のレベルをどうしても低い方に合わせざるを得ず、教育の内容が汎用的とならざるを得ない実情があったりします。

そしてその内容が汎用的であるが故に、加入者から見ると毎年同じ内容をやらされていると感じてしまい、教育に臨む意識も低下しますので、結果としてDCへの興味関心が薄れ、誤った投資行動を行ってしまうというマイナスのループが、企業型DCの現場で発生しているケースが多く見受けられます。

どこまで加入者に寄り添えるか、企業が取り組む教育とは

こうした課題をご相談くださる方は、従業員の幸せを本気で考えていらっしゃるDC担当者だと私は思いますし、こうした方がいらっしゃる会社で働く従業員の皆さんは幸せだと思います。ただ、DC運用という観点で見ると残念ながら結果が出ていないため、その思いが結果として表れる改善を行う必要があるのも事実です。

こうした課題を解決する施策としては「どこまで加入者一人ひとりに寄り添った教育を提供するか」をいかに実行できるかであると私は常日頃より考えています。非常に極端に聞こえるかもしれませんが、加入者の「行動」の部分に対して、その人にカスタマイズされたサポートを提供するということです。

事業主が課題として挙げている『見合った投資行動ができていない』に対する、改善すべきポイントは加入者の運用行動です。企業が採用する教育コンテンツは初心者でも理解できる大変わかりやすい内容ですので、この内容が理解できていないことが原因というのは誤りです。問題は実際の投資行動で本当に必要とされる具体的な行動サポートは座学で得られていないことですので、事業主はこの『行動』をサポートするアプローチを併用することが解決のヒントであると強く感じています。

教育と行動、この両輪での加入者教育を提供することで、加入者は安心して運用を行うことができると思いますし、事業主もDCにおける業務負荷を低減させ、新たな教育メニューの考案や他業務に専従する時間を創出することができるはずです。

繰り返しとなりますが、事業主が提供する投資教育は、加入者の皆さんが正しい運用行動を行う上で必要な知識や情報を得られる場であり、企業型DCを運用されている加入者の皆さんにとって非常に大切な機会です。しかし、その教育を活かすのは加入者である皆さん一人ひとりです。

この春から晴れて会社員となる方の中には、ご自身が勤務する企業でDCを導入しているかもしれません。もしいらっしゃいましたら、会社が提供してくれる投資教育を有効に活用いただき、素晴らしいDC運用をスタートできることを願っています。

板山 康男/未来貯金株式会社 代表取締役社長

大手運営管理機関の出身であり、国内でDC制度の運用が始まる以前から、企業年金や企業型DCを導入する企業・社員向け投資教育の講師として約1,000社経験。現在はその経験を活かし、自社開発アプリ「みらいナビ®」提供はじめ、確定拠出年の運用について中立的な立場から、500社以上、約15万人の加入者のDC支援をおこなっている。

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