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メンタルヘルスを守るために必要な6つの習慣とは?

  • 2022.3.13

メンタルヘルスの問題と闘っているのは、あなただけじゃない。イギリスでは毎年4人に1人がメンタルヘルスの問題に直面するそう。そこに家計や仕事の不安が加われば、対処するのが一段と困難に。今回は、毎日を元気に乗り切るための6つの習慣を見ていこう。

イギリスの国民医療サービスNHSによると、ここでいうメンタルヘルスの問題には、不安神経症(5.9%)、うつ病(3.3%)、心的外傷後ストレス障害(4.4%)などが含まれる。

その状況を脱するために人の手を借りることは、もちろん可能。でも、気分が落ち込み、なにか元気が出ることをする必要が出てきたら、いくつかのことにトライして、自分で自分のメンタルヘルスの状態をよくしてみよう。

イギリスのメンタルケアプロバイダー『Priory Group』の顧問精神科医、ナターシャ・ビジラーニ医師によると、1日をパワフルに乗り切りたいなら、この6つの項目に毎日チェックを入れるといい。

1.食べる

理想のスタイルを維持するうえで健康的な食生活が大切なのは当たり前。でも、栄養は、私たちが健全な心理状態を維持するうえでも重要な役割を果たす。昔から、メンタルヘルス疾患の原因は感情にあるといわれるけれど、最近になって、うつ病の発症および重症度や期間には食生活も関係していることが分かってきた。

落ち込んでいる人は、食事を抜くことや、気分の低下につながる砂糖たっぷりのジャンクフードを食べることが多い。「健康な食生活は、脳のプロセスやパフォーマンスといった身体機能の最適化を促します」とビジラーニ医師。「食事を抜いたり、しっかり食べなかったりすると気分や熱意、活力が落ち込むのは、自分でも分かるはずですよ」

精神医学専門誌『The Indian Journal of Psychiatry』によると、複合糖質、必須脂肪、アミノ酸、ビタミン、ミネラルが豊富な食生活を送り、水をたっぷり飲んでいれば、気分が安定しやすくなる。だから毎日欠かさず、しっかり食べて。

2.話す

落ち込んでいるときは、友達に助けを求めるよりも、自分ひとりで引きこもっているほうがよいように思えてしまう。友達や家族との連絡を絶つ人もいるかもしれない。

「孤独は、かなり深刻なメンタルヘルス疾患の一因です」とビジラーニ医師。でも「話せば感情と経験を共有し、お互いに助け合うことができます。コミュニティの一員であるという実感が湧き、人とのつながりも感じられます」

情動障害専門誌『The Journal of Affective Disorders』掲載の研究結果も、社会交流をすると脳の活動が変化するため、ストレスや不安、うつ症状が軽減し、心が落ち着き、幸せな気分になれることを示している。気分が上がらないときは、友達に連絡したり、新しい友達を作ったり、人に囲まれる状況に自分を置いたりするといい。友達に会えないときは、電話やビデオ通話をしてみて。

3.寝る

いまや快眠の重要性は一般常識。でも、睡眠関連の問題を抱えているイギリス人(全体の3分の2)は、寝不足がメンタルヘルスに影響を及ぼすことを知らずにいるのかもしれない。

一般的に不眠症は“うつ病の症状”として扱われているけれど、ウェルネス慈善団体『Wellcome』は、逆に寝不足が“うつ病の一因”である可能性を指摘している。「寝不足や寝すぎは、体に多くの悪影響を与えるだけでなく、気分や活力、集中力も奪います」とビジラーニ医師。

幸いにも、認知行動療法で不眠症の治療をすれば、不安、うつ、パラノイア(妄想性障害)といったメンタルヘルスの問題が改善することもある。規則正しい生活で十分な睡眠時間を確保して、メンタルヘルス問題を未然に防ごう。

4.動く

適度な運動を30分すれば、フィットネスがメンタルヘルスの基礎的な構成要素であることが分かるはず。精神医学専門誌『Current Opinion in Psychiatry』掲載の論文によると、エクササイズと身体活動は、生活の質だけでなくメンタルヘルスも向上させる。

「メンタルヘルスは体の健康と密接に関連しています。『心の健康は体の健康から』という古い格言は、科学的論拠に基づいて生まれたものではないかもしれません。でも、これが真実であることは今日までに何度も実証されています」とビジラーニ医師。

「エクササイズやなんらかの身体活動は、体だけでなく心の健康にも欠かせません」とビジラーニ医師は続ける。「体を動かすとエンドルフィン(ご機嫌ホルモン)が分泌されますし、定期的な運動は気分の改善や幸福感の維持に役立ちます。動けば血行がよくなって、スタミナがつき、身体的な健康状態が改善します」

体が元気になることで改善するのは気分だけじゃない。「運動を習慣にすれば、1日を構造化しやすくなりますし、仕事などのプレッシャーからも解放されます」とビジラーニ医師。「チームスポーツには、仲間ができる、チームワークが楽しめるなどのボーナスメリットがありますよ」

5.外に出る

外で新鮮な空気を吸うのは、メンタルヘルスに驚くほど効果的。環境科学専門誌『Environmental Science & Technology』掲載の研究結果は、森のなかを歩くと、不安が減って気分がよくなることを示している。別の実験では、屋外のウォーキングで大うつ病性障害の症状が緩和した。

「体は、建物に囲まれた都市空間よりも外、とくに“自然”のなかで動かしたほうが圧倒的に有利という理解が広まりつつあります」とビジラーニ医師。「緑豊かな環境や自然のなかに身を置くと、とくに心が落ち着くといわれています」

情動障害専門誌『The Journal of Affective Disorders』によると、自然のなかを歩いたときは、都市のなかを歩いたときより記憶力が向上しやすい。また、『日本衛生学雑誌』掲載の実験では、都市ではなく、自然のなかで時間を過ごした被験者の心拍数とコルチゾール値が両方下がった。この週末は、ハイキングシューズを引っ張り出して山道を歩いてみよう。

気分の改善に必要なビタミンDが補給できるのも、外に出るメリット。食生活で十分なビタミンDが摂れないときは、サプリメントの服用を検討しよう。

6.抱きしめる

ハグが嫌いな人はいない。でも、スキンシップは、食事・睡眠・呼吸と同様、人間の本質的な行為の1つ。マイアミ大学ミラー医学部の調査によると、定期的なスキンシップは、赤ちゃんから高齢者まで、みんなの心を満たしてくれる。また、心理学専門誌『Psychological Science』掲載の論文は、ハグによって体内のコルチゾール(ストレスホルモン)が減ることを示している。

「本来、人間は社交的な生き物です」とビジラーニ医師。「スキンシップの必要性は人によってかなり違いますが、(その人との関係に相応しい形で)話したり、抱きしめたり、触れたりするのは、人間が最適に機能するために満たすべき重要な“ニーズ”です」

落ち込んでいるときは、友達や家族に頼んでハグしてもらおう。それが無理なら、可愛いペットを抱き寄せて。

※この記事は、『Netdoctor』から翻訳されました。Text: Medically reviewed by Dr Louise Wiseman MBBS, BSc (Hons), DRCOG, MRCGP and words by Rhalou Allerhand Translation: Ai Igamoto

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