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どこからがパワハラ? 正社員が知っておくべき「お仕事六法」

  • 2022.3.10
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残業代未払い、給与未払い、産休、パワハラ、セクハラ、労災、内定取消、退職、転職、定年後再雇用......。正社員として働くなかで、疑問に思ったり、問題を抱えていたりすることはないだろうか。

弁護士・横山佳枝(よこやま よしえ)さんの『法律はあなたの味方 お仕事六法 正社員ver.』(あさ出版)は、労働全般のトラブルに正しく賢く対応するために、正社員が「知っておくと役立つ六法」をまとめた1冊。

有休取得、残業代請求、ハラスメント対応、労災申請など、正社員として当たり前に保障されている権利であるにもかかわらず、会社によっては社員の権利を剥奪しているケースも少なくないという。

相談の多い42の質問

本書は、正社員が働くうえで知っておいたほうがいい法律や裁判例をできるだけわかりやすく伝えることを目的としたもの。「働き方改革関連法」や最近の労働法関連法規の改正を踏まえて、具体的に何が変わったのか、将来どんな影響があるのかについて、重点的に取り上げている。

「未払いの賃金は請求できるの?」「テレワークにおける残業代は請求できるの?」「男性社員は育休をとれるの?」「生理休暇はどうすればとれるの?」「性的マイノリティを守る法律はあるの?」「精神障害と認定されたら労災申請できるの?」......。

相談の多い42の質問について、それぞれ「よくある相談内容」「相談内容に関する答え」「相談内容に関する法律や解釈」「相談内容にまつわる判例」「相談内容に関して知っておいたほうがよいこと」を紹介している。

副業を禁止・制限できる場合

Q 副業には会社の許可が必要?

A 会社が副業を許可制としており、無許可の副業が懲戒事由とされている場合、懲戒処分されるリスクがあります。

ただ、昨今、政府が副業を促進する姿勢を示していることからも、副業を禁止する就業規則の拘束力は、本業への支障や勤務先に対するその他の義務違反がない限り、比較的ゆるやかに解釈されると考えられる。

「裁判例における副業の考え方」は、原則として、社員が労働時間以外の時間をどのように利用するのかは、社員の自由。

一方、例外として、「労務提供上の支障がある場合」「業務上の秘密が漏洩する場合」「競業により自社の利益が害される場合」「自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合」には、会社は社員の副業を禁止・制限することができる。

パワハラ行為の定義

Q どこからがパワハラになるの?

A 業務上の指導・監督の目的や必要性があったとしても、相手の人格や名誉を傷つける言動をした場合、「パワハラ防止法」に違反したとされる場合があります。相手との関係性や回数、業務上の指示・指導の必要性、業務の内容などを考慮し、判断されます。

パワハラに対する法規制を求める声が高まり、2020年6月に「パワハラ防止法」が施行された。これに伴って厚生労働省が定めた「パワハラ指針」では、「優越的な関係に基づいてなされること」「業務の適正な範囲を超えていること」「身体的・精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること」に該当する行為をパワハラとしている。

■パワハラの具体例

身体的な攻撃(暴行・傷害など)/精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、暴言など)/人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視など)/業務上明らかに不可能なことを強制すること/プライバシーに過度に立ち入ること など

人から言われたり・されたり(自分が言ったり・したり)していることが、じつはハラスメントかも......と、ドキッとする人もいるだろう。

本書を読んで、法律を知らずに働くことはリスキーだと思った。「法律はあなたの味方」。理不尽な目にあったときに自分を守るためにも、「お仕事六法」をぜひ知っておいてほしい。

■目次(一部抜粋)

プロローグ 正社員として気持ちよく働くために
第1章 労働契約の内容に関する法律 働く人と雇う人との約束
労働条件/就業規則/副業/配置転換/出向・転籍/転勤/懲戒処分/健康診断/プライバシー
第2章 賃金に関する法律
賃金/手当/残業代/未払い/管理監督者/賞与/退職金
第3章 ワーク・ライフ・バランスに関する法律
有休/休職/産休・育休/介護休業/生理休暇
第4章 ハラスメント・労災に関する法律
パワハラ/セクハラ/マタハラ/性的マイノリティ/労災
第5章 解雇・退職・再雇用に関する法律
内定取り消し/試用期間/退職/転職/解雇/再雇用
付録 会社とのトラブルが生じたら
裁判所を利用しない手続き 労働関係のトラブルの解決支援制度
裁判所を利用した手続き 労働関係のトラブルの解決方法

※本書で紹介している法令は、2022年1月現在の内容に基づく。

■横山佳枝さんプロフィール

弁護士(原後綜合法律事務所)。2001年に名古屋大学法学部を卒業し、04年に弁護士登録(第二東京弁護士会)。10年に南カリフォルニア大学ロースクール(LL.M)へ留学し、14年にニューヨーク州弁護士登録。18年から東京都労働局紛争調整委員会委員。第二東京弁護士会両性の平等に関する委員会に所属。著書に『ハラスメント事件の基本と実務』(共著、日本加除出版)などがある。

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