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六本木〈国立新美術館〉でダミアン・ハーストの大規模個展『桜』が開幕。

  • 2022.3.7
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桜の季節まであとわずか。ダミアン・ハーストの個展『桜』が、六本木の〈国立新美術館〉で始まりました。ダミアン・ハーストは英国を代表する現代美術家のひとりで、今回が日本初となる大規模個展です。24点の絵画作品が作るダイナミックな展示に足を運びました。

30年以上に渡り世界のアート界で注目されてきたダミアン・ハースト。

スタジオでのダミアン・ハースト 2019年 Photographed by Prudence Cuming Associates Ltd © Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS 2022

ダミアン・ハーストは1965年英国ブリストル生まれ。1995年には、イギリスで現代美術のアーティストへ贈られる『ターナー賞』を受賞。「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)」の1人として国際的な注目を集めました。30年以上にわたるキャリアで、死と生、芸術、宗教、科学をテーマに深く考察した作品が多く、衝撃的な作風が話題をさらってきました。

そのダミアン・ハーストの最新シリーズが今回展示されている『桜』です。2018年から3年をかけて全部で107点の大画面ばかりの連作を完成させました。シリーズのうち29点が昨年7月からパリのカルティエ現代美術財団で開催された個展で初披露され、今回の〈国立新美術館〉での展示はその巡回展です。ダミアン・ハースト自身が選んだ24点の作品で構成されています。

広い展示室に大きなキャンパスに描かれた桜の絵。

『儚い桜』(2018年)。
『山桜』(2018年)。
『素晴らしい世界の桜』(2018年)。
『生命の桜』(2019年)。

〈国立新美術館〉2階での展示は、3つの展示室に分かれています。作品はどれもその大きさに圧倒されます。

最初の展示室では、4つの作品が展示されています。1つ目は『儚い桜』、2つ目は二連画の『山桜』、3つ目が『素晴らしい世界の桜』、そして4つ目が三連画の『生命の桜』という作品です。今回展示されている作品は、展覧会のタイトルの通り、すべて桜をモチーフとした作品で、タイトルにも桜が入れ込まれたものばかりです。

本展覧会で最大の作品『この桜より大きな愛はない』(2019年)。

今回の展示の中で一番大きな作品は3つ目の展示室の奥にある『この桜より大きな愛はない』。縦5メートル、横7メートルという巨大なものです。画面一面、左右から伸びた枝に咲く桜で覆われていて、桜のトンネルを寝転がって見上げたときのようにも見えます。

作品を見比べると、桜が画面を埋めるようなものや、空の面積が多く、枝も細く描かれたものなど、様々。桜が咲く状況や時間帯が違うのかもしれません。花びらの色も様々で、どんな方法や考えで描かれたのか興味が湧くはずです。

『早咲きの桜』(2018年)。
『帝国の桜』(2018年)。
『叫んでいる新しい桜』(2018年)。

展示室の奥にある部屋では、2021年パリのカルティエ財団で開催された展覧会のために作られたドキュメンタリーが上映されています。その中でダミアン・ハーストは桜の花を描こうと思ったきっかけを尋ねられ、ベール・ペインティングという色彩の幕が画面上で下りているようにみえる絵画を描いていたときにそれが木に見えたのが始まりと話します。

その木が桜になっていったのはダミアン・ハーストが5歳の頃、母が油絵具で桜の絵を描いていたことと関係があったとのこと。「母の桜の絵に背中を押されたんだな」とダミアン・ハーストはドキュメンタリーの中で語ります。

約25分のドキュメンタリーには、ダミアン・ハーストがこれらの大きな絵画をどのように描いたか、広いスタジオでの制作風景も映し出されています。色使いの秘密についても語っているので、作品を身近に感じられるかもしれません。

〈国立新美術館〉での桜の絵をたっぷり見てから桜の季節を迎えると、毎年見ていたはずの桜の景色が違ったものに見えてくるかもしれませんね。

ダミアン・ハースト『桜』
東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館 企画展示室2E
~5月23日(月)
10:00~18:00、金土~20:00 入場は閉館の30分前まで
火休 ※ただし5月3日(火祝)は開館
1,500円(一般)、1,200円(大学生)、600円(高校生)
公式サイト

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