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足が細い=キレイ・美脚じゃない!?筋肉量にも要注意。メタボより気になるサルコペニア肥満

  • 2022.2.24
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メタボリックシンドローム(メタボ)については、皆さんTVや新聞、雑誌などでもよく目にされるのではないでしょうか。
平成20年より健康診断などに腹囲(ウエスト周囲径)の測定が検査項目に加わったこともあり、『中年太り=メタボ』というイメージを持たれている方も多いかと思います。
しかし、内臓脂肪や肥満を気にするだけでは、QOL(Quality Of Life:生活の質)の維持にはちょっと足りません!
今回は、いつまでも健康で、質の高い生活を送るうえでしっかり考えたい「サルコペニア」についてご説明したいと思います。

既に20代から始まっている?! サルコペニアについて

サルコペニアとは、ギリシャ語のsarx:肉・筋肉とpenia:不足・欠乏を合わせてつくられた言葉で、主に加齢などによる骨格筋量の低下と、筋力もしくは身体能力(歩行速度など)の低下により定義されています。
運動不足や栄養不足などが原因で起こると考えられていますが、そのメカニズムはまだ判明していません。
サルコペニアの診断に関しては、統一された診断コンセンサスはまだありませんが、老年医学や栄養学に取り組む欧州の組織した機関であるEWGSOP ( European Working Group on Sarcopenia in Older People)の作成した基準があり、それをもとに、欧米人とは体格や生活習慣に違いがある日本人高齢者を鑑みて、国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)が作成した簡易基準があります。


※出典:日老医誌 2012;49:195-198(一部改変)

ここで提示されている『歩く速さ』は、横断歩道が青のうちに渡り切ることができる速度といわれています。
あなたは横断歩道を渡りきる自信はありますか?
「青信号が渡り切れない」なんていわれても、「高齢者の話でしょ? 自分にはまだまだ無関係」と思われるかもしれませんが、実はサルコペニアは25~30歳あたりから始まり、生涯を通じて進行するといわれています。

サルコペニアは対岸の火事ではなく、誰もが気を付けるべき問題なのです!!

特に、無理なダイエットに勤しみ、栄養不足となり、脂肪だけでなく筋肉量を減らしてしまっている若い女性は、すでにプレ・サルコペニアに陥っている可能性があります。
最近は『足が細い=キレイ・美脚』ともてはやされていますが、細すぎる足にも要注意!
下腿囲30cmといわれてもピンと来ないかもしれませんが、両手の人差し指と親指でつくった輪っかが、ふくらはぎをスルスル通ってしまう方は、脚の筋肉量が不足しているかもしれません。
他にも、よく躓く・立ち上がるときにふらつく・何かにつかまらないと立ち上がりにくい・片足立ちをするとふらつく・・・などに当てはまる方は、早めにサルコペニア対策を開始しましょう。
スクワットやプランク(腕立て伏せの体制を維持するトレーニング)といった筋力をアップするトレーニングと、速足でのウォーキングや水泳などの有酸素運度を組み合わせると効果的。
また、食事では筋肉のもととなる良質なたんぱく質や、骨の形成に必要なカルシウムやビタミンDをしっかり摂ることも忘れずに!!

メタボより怖い!! サルコペニア肥満とは?

サルコペニア肥満とは、文字通りサルコペニアの進行と、肥満(体脂肪の増加)が同時に起こることで、以下3つの点により生活習慣病や要介護などのリスクを高めるといわれています。

●身体機能が低下し、転倒や歩行機能障害が起こり、寝たきりになるリスクが高くなる。
●動脈硬化が起こりやすくなり、心血管リスクが高くなる。
●代謝系へ影響が起こり、インスリン抵抗性やメタボリックシンドロームのリスクが高くなる。

サルコペニア肥満は、ひとつに当てはまってしまうと、負のスパイラルにはまり、どんどん悪化してしまうのが怖いところ。このスパイラルから抜け出せないと、若いうちは気にならなくても、将来は寝たきりへ一直線かもしれません。

サルコペニア診療ガイドライン2017年版では、
○栄養:適正体重1kgあたりたんぱく質1gの摂取がサルコペニア発症予防に有効である可能性あり。
○運動:運動習慣並びに豊富な身体活動量はサルコペニア発症を予防する可能性あり。
との記載があり、まだ実例が少なくエビデンスレベルは低いものの、たんぱく質の摂取と体を動かすことが強く推奨されています。
体調管理はもちろん、適度な運動と適切な栄養の摂取で、スパイラルから抜け出しましょう。
また、「若いころから体重が変わってない自分には、肥満なんて関係ない」なんて油断している方は、実はとても危険!
サルコペニアは、いわば筋肉が脂肪に置き換わっているような状態です。
体重だけに着目していると、いわゆる「かくれ肥満」になっていることを見落としてしまうかもしれません。


サルコペニア肥満は、男性よりもともと筋肉の量が少ない女性の割合が高いということがわかっています。特に閉経後の女性は脂肪量の増加と骨密度の低下が起こりやすい時期であるため、積極的に体を動かしましょう。
いつまでも健康で快適に暮らすためにも、一度自分の筋肉量や筋力・身体能力を見直すことが大切。
「よっこらしょ」が口癖のあなたは、今日からLet’sトレーニングです!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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