1. トップ
  2. ダイエット
  3. 健康な1年を送る秘訣は「見方を変える」こと!

健康な1年を送る秘訣は「見方を変える」こと!

  • 2022.2.19
  • 13882 views

新年の目標の代表格はダイエット。でも、体重のことばかり気にしていると、体重が減らないばかりか、太ったり痩せたりを繰り返してしまうヨーヨーダイエットにつながってしまうこともある。そうならないために、体重を減らすことではなく、フィットネスをして健康に生活を送ることに重点を置くことが重要。今回は、その運動・健康重視の目標の立て方と目標が必要な理由を見ていこう。

科学専門誌『iScience』に掲載された論文の筆者、グレン・ガエザー博士は、体重を減らした場合と運動をした場合で、死亡リスクがどのくらい下がるかを調査した(低下率は運動をしたときのほうが高かった)。その研究結果は、体重の増減が続くと心血管系の健康などに悪影響が出ることを示している。

ヨーヨーダイエットが高血圧、内臓脂肪の蓄積、インスリン耐性などに影響を及ぼし、結果的に心血管系疾患の罹患率を高くすることは、過去の論文も指摘している。だからガエザー博士がいうように、新年の目標を立てるなら、ただ体重を減らすことより、健康全般を改善することに重点を置いたほうがいい。

これは理にかなった話。「体重を減らすのには時間がかかりますし、人間は概して我慢が苦手です」と話すのは、スポーツ&パフォーマンス心理学者のハーレイ・パールス博士。「思ったほど早く体重が減らないと、モチベーションが下がってフラストレーションがたまります。その結果、アイスクリームを食べすぎたり、ワークアウトを1週間サボったり、健康的な取り組みを丸ごと放棄したりして、せっかくの努力を無駄にすることも珍しくありません」

これだけでもメンタルヘルスは甚大な被害を受ける。「感情的にアップダウンを繰り返すことになりますからね」と話すのは、アメリカの応用スポーツ心理学会の理事でメンタルヘルスクリニック『Texas Optimal Performance & Psychological Services』コ・オーナーのヒラリー・カウセン博士。「体重が予定通りに減れば、自尊心が高まります。自分に対する自信だけでなく、生理学的な反応もよくなります。逆に体重が増えてしまうと、気分が落ち込み、自信がなくなり、自虐的なコメントやうつ症状が増えてきます」

また、著書に『Survival of the Fit: How Physical Education Ensures Academic Achievement and a Healthy Life』を持つスポーツ心理学者で整形外科医のダニエル・フルハム・オニール医学博士によると、人々の「体重を減らしたい」という言葉の裏には、「フィットかつヘルシーに感じたい」という気持ちがある。「みんなシャワーを浴びながら、自分の筋肉に触れたいわけです。2本の足で力強く、バランスよく立ち、前向きな気持ちで朝を迎えたいと思っています」

フィットネスに重点を置けば、寿命が長くなり、生活の質も高くなる。だからこそ新年の目標は意図的に決めるべき。そのためにはなにが必要? 素晴らしい1年を送る秘訣が運動・健康重視の目標にある理由ともに、スポーツ心理学者が教えてくれた。

1.理由を探す

とりあえずフィットネス関連の目標を立てればいいというわけじゃない。カウセン博士いわくポイントは、その目標が自分にとって大事な理由を探すこと。「その理由にフォーカスすれば、目標達成に必要なモチベーションが下がりません。そのうえで大きな目標を小さなゴールに分けてあげれば、プロセスが明確になり、目標を達成するのが楽になります」

2.SMARTになる

理由や目的を特定したら、目標達成に必要なアクションプランを策定しよう。その際はSMART(スマート)の法則が役に立つ。これは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Attainable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-Based(タイムライン)の頭文字を取ったもの。でも、カウセン博士の話では、評価とリセットを盛り込むことで、SMART(賢い)を通り越し、SMARTERに(より賢く)なれる。「その目標を立てる理由と、その目標を達成する方法が分かっていれば、目標が効率よく達成できます。自分をいたわり、心の声に耳を傾ける必要もあるので、日頃から内省し、意図的に変化を起こして、自分自身を適応させることが大切です」

例えば、体を動かしてフィットネスレベルを高めたいなら、そのためのロードマップが必要になる。1日30分の運動を意図的にすることがロードマップの一部なら、どんな運動をすればいい? 犬と一緒に毎日30分歩こうか? それとも30分走ろうか?

「目標を立てるだけでなく、目標達成に必要なアクションを日々の生活に組み込んで、毎日どんな工夫をすればモチベーションが維持できて、フィニッシュラインが切れるのかを考える時間も必要です」とカウセン博士。自分の身体能力、感情、活力レベルに対する意識を高めれば、いままでのマインドセットを健康志向のマインドセットに変えやすい。

3.現在地を確認する

体重を減らすこととはまったく関係ないけれど、一貫して続ければ結果的に体重が減るアクティビティはいくらでもある。例えば、5キロ走れるようになる、ハイキングで自己新記録を出す、カラスのポーズをマスターする、プッシュアップを5回増やすなど。

でも、オニール博士の話では「目指すレベルではなく、いまのレベルを把握したうえで、自分を自分でコーチング」しなければならない。「プロ中のプロというより、楽しみながらフィットになりたい“二軍選手”タイプなら、それ以上の仕事を自分に課してはいけません」。つまり、自己新記録を出すために、ケニアの陸上選手やインスタグラムのフィットネススターみたいなトレーニングをする必要もないし、するべきでもないということ。いまの自分が走れるペースや距離を知り、それを改善することにフォーカスしよう。

パールス博士によると、いまの自分のレベルより若干高く考えると少し緊張するような目標は達成しやすい。「その成功体験がモチベーションと自信になって、次の目標に集中しやすくなりますよ」

4.頭のなかで話を変える

“でも”に自分を邪魔させないで。仕事のあとに走るという目標を立てたのに、「走りたいけれど疲れているから」を毎日言い訳にしていては目標が遠ざかるだけ。「“でも”のあとに続く話は必ず勝ちますが、“でも”のあとの構成を変えて目標を後押しするような話にすれば、難関が突破しやすくなって目標達成が近づきます」とパールス博士。

「走りたいけれど疲れている」といいたくなったら、「今日は1日中座っていたから、体は疲れていない。疲れているのは私の心。走れば体がよい意味で疲れて心が休まる」と自分に言い聞かせてみよう。パールス博士によると、目標を後押しするようなストーリーを構成すれば、目標が達成しやすくなる。

5.フィットネスは楽しくなきゃダメ

フィットネスは仕事じゃない。バスケットボールやテニスなどのチームスポーツ、サイクリングやハイキングの愛好会、スキーグループ、そして、もちろんランニングクラブなど、体を動かす時間は、1日のなかで最高の時間であるべき。オニール博士がいうように、私たちがなにかしら楽しくて健康なことを毎日するのは、気分がよくなり、そのおかげで人生のあらゆる側面が楽になり、スムーズに回り出すから。

フィットネスには“トリック”も近道もない。「ゆっくりと丁寧にゴールを引き寄せ、小さな成功を重ねるたびに自分で自分を励ましてあげてください」とオニール博士。カウセン博士によると、「これにフォーカスすればよい気分で1日過ごせる」と思うエリアを毎朝1つ決めるといい。翌日はフォーカスするエリアをリセット。

パールス博士のアドバイスは、毎日自分に「今日はなにを成し遂げた?」「次はなにに取り組める?」という2つの質問をすること。「この質問をしていると、目標、成果、将来の成功に向けた自分の努力がありがたく思えてきて、いつの間にか鏡に移る自分の姿が好きになります。ここまで来れば、気が楽になりますよ」

※この記事は、ランナーズワールドから翻訳されました。Text: Rozalynn S. Frazier Translation: Ai Igamoto

元記事で読む
の記事をもっとみる