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マスク生活で口臭が気になる!セルフでできる口臭予防を医師が教えます

  • 2022.2.17
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実は、日本人の80%以上が自分の口臭を気にしているとも言われています。マスクをつけるのが当たり前になり、口のニオイが以前より気になるようになった人が多いのではないでしょうか。今回は奥原歯科医院院長の奥原利樹先生に口臭の原因や自分でできる口臭ケアの方法を詳しく聞いてみました。

口臭の原因として考えられることをいくつか教えてください

コロナ禍でマスクを1日中つけていると、本当に息苦しいですよね! その息苦しさが口臭の原因になっているかもしれません。無意識の内に鼻呼吸から口呼吸に変わってないでしょうか? 口呼吸が慢性化してしまうとお口の中が常に乾燥した状態となります。そうなると唾液の量が減り唾液が本来持っている殺菌作用やお口の中の汚れを自動で洗い流す自浄作用の効果が低下してしまいます。健康な成人では1日に1〜1.5リットルの唾液を分泌していると言われています。唾液が減少すると口腔内のバランスが崩れ細菌が増殖します。舌をべーっと出した時に舌の表面についている白っぽい汚れの事を舌苔(ぜったい)と呼びます。ここは剥がれ落ちた粘膜のカスや食物のカスに含まれるたんぱく質の宝庫で、このたんぱく質を細菌が分解し、発酵される過程で出るガスが口臭の主な原因とされています。

また歯肉炎や歯周病にかかっている時も、歯肉から出血があるため、その中に含まれるたんぱく質も細菌の格好の餌になってしまいます。治療が途中で中断している歯、差し歯や銀歯が取れたままになっている歯、何だか差し歯が取れそうな予感がする歯、未治療の虫歯は必ず口臭が出ますので治療が必要です。目に見える位の歯石(しせき)が下の前歯の裏側についている場合もかなりの口臭が出ます。また、最近は糖質制限ダイエットが流行っていますが、過度の糖質制限を続けていると体が飢餓状態であると認識し、中性脂肪がエネルギー源として使われます。

その際、ケトン体という物質が発生しそれが血液内で増えすぎると口臭の原因になるとも言われています。また女性は月経時や妊娠時にホルモンのバランスが崩れ、一時的に口臭がひどくなることもあります。

セルフケアでの口臭予防方法を教えてください

まず舌の上に白く舌苔が多くみられる場合は、普段の歯ブラシ習慣にプラスして舌の清掃を行いましょう。特に就寝時は誰でも唾液が減るため、口臭が最も気になる起床直後に行うのが有効です。

市販の舌ブラシを何種類か試してみて自分に合ったものを探して実践してみましょう。その際には「徹底的に除去しない」「痛みが出ない程度の力で奥から前に優しく行う」の2点を守ってください。

毎日きちんと歯磨きしているのに口臭が気になる方の場合は「デンタルフロス」の使用をおすすめします。デンタルフロスは歯と歯の接触点の汚れを取るのに適しています。ここはどんなに一生懸命歯ブラシしても歯ブラシだけでは絶対にきれいになりません。歯ブラシ以外の掃除アイテムも準備することが口臭予防につながります。初心者の場合、細いフロス(糸)より、スポンジ状に広がる幅広でソフトなフロスをおすすめします。その方が一度の作業で歯垢(細菌の塊)が取れ、歯肉が痛むこともありません。1ヶ月に1回の歯ブラシの交換も重要です。1ヶ月使用した歯ブラシにはトイレのお水の数十倍の菌が繁殖していると言われています。

1週間に1度、日の当たらない洗面所や会社のロッカーの中、バックの中に入れっぱなしの歯ブラシをコップに立てて、窓辺で日光(紫外線)に当ててしっかり乾燥させることも殺菌に有効です。マスクをする前にマウスウォッシュでうがいをするのも有効です。マウスウォッシュを選ぶ際には必ず、粘膜に過度の刺激を与えないアルコールを含まないマイルドなものを選んでください。口に含んで15秒。少し疲れる位頬を大きく動かして強めにぶくぶくうがいをします。その際、歯と歯の間から液を押し出すイメージで行うと非常に効果的です。

歯科医院でできる口臭ケアを教えてください

歯科医院に6ヶ月以上クリーニングに行ってない方は、まずクリーニングをしてもらうことをおすすめします。

歯科医院では口腔ケアのプロである歯科医師または歯科衛生士が普段の歯磨きではクリーニングできない歯石(歯垢の取り残しが石のようにこびりついて硬くなったもの)を、専用の器具で丁寧に除去します。これを「スケーリング」と言います。また歯の表面、歯と歯の間、歯周ポケットの中を専用の軟らかいブラシやラバーカップを低速の機械に付けて回転させながらきれいにするPMTCも行います。

原始的な方法かもしれませんが毛が軟らかい歯ブラシを殺菌作用のあるマウスウォッシュに付けながら徹底的に隅から隅まで歯ブラシし、その後デンタルフロスや歯間ブラシで仕上げをし、さらに最後に着色を浮かして歯のエナメル質の表面にコーティングしてくれる歯磨剤を使って仕上げ磨きをする事も行います。歯石は口臭の大きな要因の一つです。セルフケアで満足できない場合は歯科医院を受診することも検討してみてください。

その他何かアドバイスがございましたら教えてください

20代では3人に1人、日本人の80%以上が自分の口臭を気にしているとも言われています。口臭の原因はさまざまですが、一度歯科医院でお口の中の専門家である歯科医師、歯科衛生士の診断を受けるのがおすすめです。

マスクが外せない特殊な環境の中だからこそ、歯科医院での専門家による定期的なクリーニングが重要です。コロナ不安が完全にはまだ拭いきれず、意味のないストレスが続いていることも口臭の要因になります。唾液の量を増やすために、食事の際はよく噛んでゆっくり食べる! 副交感神経を優位にするために夜はゆっくり湯船につかる! ぜひ、お口の中だけでなく全身も意識した生活を送ってもらえたらと思います。

教えてくれたのは

奥原歯科医院院長 奥原利樹先生

出典: 美人百花.com

医療法人社団光志会理事長。1963年長野県松本市生まれ、平成元年広島大学歯学部卒。埼玉県所沢市にて奥原歯科医院を開業し現在院長として診療中。精神科や老人施設への在宅往診も積極的に行っている。著書に「歯科医志望者が絶対に知っておくべき32のこと」(幻冬舎)。

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