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【ニューヨーク旅学事典11】ニューヨークの知性「ニューヨーク公共図書館」

  • 2022.2.11
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アメリカのニューヨーク。訪れたことがなくても、聞いたことがあるでしょう。でも、実際どこにあるの? どんなところ? 「ニューヨーク旅学事典」は、ニューヨーク市在住の筆者が名所や歴史、雑学、小話などを綴っていく連載です。今回は「ニューヨーク公共図書館」について。

2017年5月16日 ニューヨーク公共図書館 ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)

 

ニューヨーク公共図書館とは

2022年2月1日 ニューヨーク公共図書館 雪を冠ったライオン像

年間1千8百万人以上が利用し、オンライン・サービスを数百万人に提供している図書館であり、5,600万以上の書籍、電子書籍、DVD、世界中の学者が使用する有名な研究コレクションがあります。トーマスジェファーソンの手書きの独立宣言草案、グーテンベルク聖書(世界初の活版印刷された聖書)、ウィリアム・シェイクスピア、バージニア・ウルフ、ジェイムズ・ボールドウィン、チャールズ・ディケンズなどオリジナルの作品、原稿、手紙など、価値が高い歴史 的コレクションも。

建築様式は、グランドセントラル・ターミナル、NY中央郵便局やNY証券取引所と同様のボザール様式で、天井の細工やシャンデリアの一つひとつが美しく、世界で最も有名な図書館の一つと言われます。

ニューヨーク公共図書館はどこにある

2007年3月21日 ニューヨーク公共図書館

ミッドタウンの5番街42丁目にあり、ブライアント・パークに隣接しています。グランド・セントラル・ターミナルやタイムズスクエアから徒歩5分ほどの、訪れやすい場所にあります。

ニューヨーク公共図書館(The New York Public Library)

住所:Fifth Avenue and 42nd Street, New York, NY 10018

入場:無料 マスク着用要

開館:月、木〜土曜日 10:00〜18:00、火〜水曜日 10:00〜20:00、日曜日 休館

コロナ感染予防対策のため状況が変わることがあります。公式サイトにてご確認ください。

無料ツアー:15分間の無料ツアー(Stephen A. Schwarzman Building Tours)

 

ニューヨーク公共図書館の歴史

2016年12月27日 ニューヨーク公共図書館

1895年 アスター図書館とレノックス図書館、ティルデン財団が統合して、ニューヨーク公立図書館が設立

1901年 鉄鋼王アンドリュー・カーネギー氏が、520万ドルを寄付。ニューヨーク公立図書館はニューヨーク市と契約を結び、ブロンクス、マンハッタン、スタテンアイランドで39のカーネギー支部(分館)を運営

1911年 開館。開館初日には、3万〜5万人が訪れた

1930年代 入り口のライオンにPatience(忍耐 図書館に向かって左)とFortitude(不屈 図書館に向かって右)と命名

2019年 ライオンを修復。修繕費用の25万ドルは、ニューヨーク生命財団(New York Life Foundation)からの助成金及び多くのニューヨーカーからの寄付

2022年 ニューヨーク公共図書館には約1,800万人の訪問者、オンライン利用は年間200か国以上、3,200万回のアクセスがある

ニューヨーク公共図書館のトリビア

2022年2月1日 ブライアント・パークの凍った噴水からニューヨーク公共図書館を後方に望む

ニューヨーク公共図書館はニューヨーク公立ではない

2007年3月21日 ニューヨーク公共図書館

ニューヨーク公共図書館は誰でも訪れることができる「パブリック(公共)」ですが、ニューヨーク市立ではなく個人財団(アスター、 レノックス、 ティルデン)と寄付によって運営される「私立」の図書館です。この大規模な図書館が私立であるというところに、アメリカ人富豪の財力を感じますね。

ニューヨーク公共図書館前にいるライオンには名前がある

2022年2月1日 ニューヨーク公共図書館 2頭のライオン Patience(忍耐)とFortitude(不屈)

ニューヨーク公共図書館のマスコットは、大理石で出来た2頭のライオン。旅行者が写真を撮るスポットとしても有名。

名前は、写真手前が「Patience(忍耐)」、写真奥が「Fortitude(不屈)」。当初はニューヨーク公立図書館の創設者であるジョン・ジェイコブ・アスター氏とジェームズ・レノックス氏にちなんで、「アスター」と「レノックス」と呼ばれていました。1930年代の大恐慌の際に、当時のラガーディアNY市長が「ニューヨーカーがこの時代を乗り切るのには、忍耐(patience)と不屈の精神(fortitude)が必要だ」と名前を変更したそうです。良い話ですね。ペアですが、2頭ともオスですよ。

彼らは1911年5月生まれの110歳で、雨や雪に耐え、大恐慌に耐え、コロナ禍に耐え、一世紀以上ニューヨーク公共図書館を守ってきました。

2017年5月16日 ニューヨーク公共図書館 Fortitude(不屈)

ライオンは季節によりコスプレする

2013年12月28日 ニューヨーク公共図書館 クリスマスリースを被ったライオン像

季節により、NYヤンキースやメッツ(野球チーム)のキャップや卒業帽をかぶったり、クリスマスリースが飾られます。ライオンは読書家のようで、本を読んでいることもありますよ。新型コロナウイルスの感染拡大が酷い時は、マスクをつけていました。

世界一美しいと言われる読書室

2017年5月16日 ニューヨーク公共図書館 ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)

ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)の名前は、1990年代部屋の修復費用を寄付したローズ家に謝意を表して名付けたそうで、ローズはバラの花ではなく、個人名に由来しています。

2017年5月16日 ニューヨーク公共図書館 ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)

豪華な大理石の壁にゴールドのスタンドランプ。ずらりと並んだ蔵書。見事な天井画。雰囲気に圧倒されます。

2017年5月16日 ニューヨーク公共図書館 ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)の天井画

ローズ・メイン・リーディングルーム(Rose Main Reading Room)は、2014年5月から2016年10月まで2年間以上の歳月をかけて天井などの修復工事を行い、2016年10月に再オープン。修復の工事費は$12ミリオン(当時換算約13億円)かかったと言われています。

ニューヨーク公共図書館 17年前へタイムスリップ

2005年6月23日 ニューヨーク公共図書館

2005年6月23日 ニューヨーク公共図書館

コロナ禍前までは観光客や近隣のオフィス勤めの人が集まり、図書館前の階段で日向ぼっこをしながら、持参のランチを楽しむ光景が見られたものです。リモートワークのせいか、近辺のオフィスワーカーはずいぶん減ってしまいました。ニューヨーク公共図書館は観光客でも無料で入場できますが、観光地ではなく学びの場ですので、静かに利用しましょうね。また、公式サイトのデジタルライブラリーは、日本からも無料で閲覧可能ですよ。

ニューヨーク市の景色は進化し続けています。次回のニューヨーク旅学事典は「メトロポリタン美術館」を予定。続けて読んでいただくとうれしいです。

[All Photos by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission.

参照

ニューヨーク公共図書館(The New York Public Library) 公式サイト

History of The New York Public Library

Patience & Fortitude: NYPL's Lions Through the Years

Deborah, Jonathan F. P., Samuel Priest, and Adam R. Rose Main Reading Room

 

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