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"俳優"デヴィッド・ボウイの知られざる魅力を1冊に。表現者としての美意識に迫る。

  • 2022.2.11
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ロックスターのデヴィッド・ボウイは、名俳優としての一面も持つ。『地球に落ちて来た男』『戦場のメリークリスマス』などの有名映画で彼の演技に魅了された方も多い。今回は、長年パフォーマーに徹して多くの人々を熱狂させてきた表現方法の秘密に迫る1冊を紹介する。

2022年2月19日『デヴィッド・ボウイ:美しきアクター』(リットーミュージック)が発売された。

本書では、デヴィッド・ボウイの映画や映像作品、音楽作品の中で彼が演じたキャラクターを時代ごとに徹底検証していく。以下、本書から一部を紹介しよう。

1972年1月、<ジギー・スターダスト>として初めて取材を受けるボウイ。すでに新しいキャラクターになり切って応答するボウイは、この取材中「僕はゲイだ」と発言し物議を呼ぶことに。

前年に<ジギー・スターダスト>のキャラクターを捨て去ったボウイは、新作「Diamond Dogs」に登場する新キャラクター<ハロウィーン・ジャック>を演じる。ただしこのキャラクターを演じたのは74年2月にシングル「Rebel Rebel」を初披露した時のみのとのこと。

映画『地球に落ちてきた男』でボウイは、ベッド・シーンのみならず、宇宙人である自分の正体を明かす際には股間に特殊メイクを施して全裸をさらすという奇怪なシーンも披露。にもかかわらず下品さとは無縁の、SF的な恐怖感を表現した。まさにボウイと言うキャラクターのなせる業でもある。

1980年、舞台『エレファント・マン』にて主人公のジェフ・エメリックを特殊メイクを一切使わずに生身の身体で演じる。セリフのみならず身体表現で役を演じ切るが、過去パントマイムを習得したこともあるボウイならではの怪演だろう。

その後「三文オペラ」「肝っ玉母さんとその子供たち」「ガリレイの生涯」等の戯曲で名声を得たブレヒトの「BAAAL」は1923年初演、ブレヒトが最初に作った戯曲である。英BBCが同作を製作するにあたり、ドイツ滞在時と前後してブレヒトやドイツ文学、ベルリン・カルチャーに親しんでいるボウイが主役に抜擢されたのは必然とも言えるだろう。

ビートたけし、坂本龍一との共演でも話題になった映画『戦場のメリークリスマス』。そのクライマックス・シーンとも言える日本人将校とボウイのキスシーンは、偶然のカメラ・トラブルも功を奏してあのような印象的なカメラ割となったという。

日本において「俳優・デヴィッドボウイ」の評価を決定づけたと言っても過言ではないのが、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』における怪演だろう。心に闇を抱えながらも、その闇を克服せんと凛々しく美しく生きる理念を貫くジャック・セリアズを演じるのは、やはりボウイ以外にはありえなかった。

映画『ブルース・ブラザーズ』や、マイケル・ジャクソン「Thriller」のPVを手掛けたことでも知られる映画監督ジョン・ランディスの85年作『眠れぬ夜のために』にてカメオ出演。刑事コリン・モリス役を担当した。

『ダーククリスタル』で知られるジム・ヘンソン監督、そしてジョージ・ルーカスのルーカス・フィルムによって製作された、ファンタジー映画『ラビリンス魔法の迷宮』に出演。ボウイのファンタジックな一面を惜しげもなく炸裂させた、80年代ボウイ映画のクラシック。

時代ごとに様々な姿を見せてくれた、デヴィッド・ボウイ。昔からのファンの方なら「懐かしい!」と感じるページも多いのではないだろうか。

本書の主なコンテンツは以下の通り。

Photographs 1970-1976
Photographs 1976-1983
Photographs 1983-1986
Photographs 1992-2015

第1章 演劇に目覚め、パントマイムを駆使
The Image
Love You Till Tuesday
Pierrot In Turquoise
第2章 「トランスジェンダー」の先駆者
『世界を売った男』『ハンキー・ドリー』のジャケット考察
第3章 異星から来た予言者:ジギー・スターダスト
Ziggy Stardust : The Motion Picture
1980 Floor Show
第4章 舞台表現への開眼~ハロウィーン・ジャック
第5章 ハリウッドへの決別:シン・ホワイト・デューク
『地球に落ちてきた男』
第6章 ベルリンから世界へ、そして新時代へ
『ジャスト・ア・ジゴロ』
『エレファント・マン』
『クリスチーネ・F ~麻薬と売春の日々~』
『バール』
『ハンガー』
第7章 スターのふるまい
Serious Moonlight
『戦場のメリークリスマス』
『スノーマン』
Jazzin' For Blue Jean
第8章 映画産業への参入
『ビギナーズ』
『ラビリンス 魔王の迷宮』
『ニューヨーク恋泥棒』
第9章 カメオのカリスマ
『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』
『バスキア』
『ズーランダー』
『プレステージ』
『エキストラ:スターに近づけ!』
第10章 最期の演出
演劇/衣装/映像/デザイン 関連人物
特別インタビュー:ヴィヴィアン佐藤

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