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睡眠時間が増えると体重が減る!? 新たな研究結果を専門家が解説

  • 2022.2.9
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減量は複雑なプロセスによって成り立つもので、きちんと食べ、定期的に運動をするなど、いくつかの要素が関与している。しかし、このたび発表された新たな研究で、日々の摂取カロリーを楽に減らすことができる簡単な方法があるということがわかった――それは、「睡眠時間を増やす」ということ。

学術誌『JAMA Internal Medicine』に掲載された今回のランダム化臨床試験(対象者を2つ以上のグループにランダムに分け、治療法などの効果を検証すること)には、日々の睡眠時間が6.5時間未満の過体重に分類される成人80名が参加。

研究者は、通常の生活習慣を続けるグループと、2週間にわたって夜の睡眠時間を増やすよう促したグループをランダムに分け、また睡眠時間を増やしたグループの人々は、平均で1.2時間多く睡眠をとった。

研究期間の終了後、睡眠時間を増やしたグループは、そうでないグループと比較して、摂取カロリーを約270キロカロリーを“有意に”減少させたことが明らかになった。睡眠を増やしたグループ内には、1日の摂取カロリーを最大で500キロカロリー減らした人もいたそう。

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研究者は「この結果により、睡眠時間を適切に改善・維持することは減量につながり、肥満予防や減量プログラムへの有効な介入になり得ることが示唆された」と結論づけている。

もちろん、減量は個人的なことであり、決して減量をプレッシャーに感じてはいけない。しかし、健康のために減量に興味があるなら、睡眠がどのような効果があるのかは気になるところ。ここでは、睡眠時間を増やすとなぜ減量につながるのか、そのメカニズムを解説。

睡眠は減量にどう役立つ?

睡眠が減量への取り組みと関連していると示されたのは、今回が初めてではない。これまでにも、十分な睡眠がとれていないと、よりいっそう食欲がわいてしまい、通常より多くのカロリーを摂取してしまうことが研究で示されている。

睡眠不足に陥ると、空腹感をコントロールするホルモンであるグレリンや、ストレスホルモンであるコルチゾールが増加し、食欲のバランスを乱してしまうことが研究で明らかになった。

この研究の指導的立案者である、米シカゴ大学医療センターの睡眠研究センター長、エスラ・タサリ医学博士は、睡眠不足は脳から送られる食欲の信号を間違いなく妨害すると述べている。「睡眠不足によって脳の領域が変化し、炭水化物や砂糖を欲するようになります」とタサリ博士は語る。が、睡眠時間を増やすと、これらの領域はそれほど活性化されず、脳は食欲と実際のニーズをうまく同期させることができるそう。

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さらにタサリ博士は、睡眠を増やすと食事の時間も変わり、摂取カロリーを減らせる可能性があると言う。『The Small Change Diet』の著者で登録栄養士のケリ・ガンスさんも、これに同意している。

「毎晩早く寝る習慣をつけると、キッチンで過ごす時間が少なくなります」「多くの場合、夜遅くまで起きている時間が長くなるほど空腹になり、必要以上のカロリーを摂取してしまう可能性が高くなるのです」と彼女は指摘。

ガンスさんによると、朝起きたときに疲れを感じず、すっきりと目覚めることができれば、朝食を賢く選ぶことができるという。「多くの場合、朝食でよりよいものを摂取すれば、その日の食事の質を高めることができるでしょう」とコメントしている。

いっぽう、『The Sleep Solution: Why Your Sleep Is Broken and How to Fix It』の著者で、シャーロッツビル・ニューロロジー・スリープ・メディスンの医師であるクリストファー・ウィンター医学博士は、「眠気の残った脳は、基本的に脳を目覚めさせるために食べようしているのです」「また、よく長距離ドライブや勉強中にチップスを食べる人がいるように、眠気のある人は、目を覚ますための手段として『食べる』という行為を行います」と言う。

必要な睡眠時間はどのくらい?

全米睡眠財団は、多くの健康な成人に1日7時間〜9時間の睡眠をとることを推奨しているが、実行に移すのはなかなか難しい場合も。

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また米国保健福祉省は、十分な睡眠が健康的な体重の維持に役立つと指摘しているが、同省は他にも十分な睡眠をとることの利点をたくさん挙げている。その内容には、以下の項目が含まれている。

病気にかかりにくくなる

糖尿病や心臓病など、深刻な健康問題の発生リスクを下げる

ストレスを軽減し、気分が上がる

思考がクリアになり、学校や職場でよりよい成果を出すことができる

他者とうまく付き合えるようになる

よりよい決断ができるようになる

睡眠時間を増やすには?

減量や健康的な体重の維持には、十分な睡眠をとること以上に大切なことがあるが、睡眠が減量を後押しすることは間違いない、と語るのは、キートリー・メディカル・ニュートリション・セラピーの登録栄養士であるスコット・キートリーさん。

「いつもより少し早めに寝ること、自分のニーズに合わせて食事を調整すること、運動をすること、という3つを組み合わせるのが理想的な減量方法です」「しかし、ずっと頑張り続ける必要はありません。できることから取り組んで、小さな変化を起こし、それが習慣になるまで続けることが大切です」とコメント。

ウィンター博士は、もし急に睡眠時間を1時間増やせないというのであれば、徐々に増やすことを勧めている。「私はいつも、1〜2週間かけて、毎晩15分ずつ睡眠時間を増やすよう勧めています」「15分増やせたら、次の日にもう15分といった具合です。何時間も早く寝ようとすると、逆効果になる可能性もあります」

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タサリ博士によると、睡眠を増やしたグループでは、多くの参加者が、長く眠れないのではないか、日中にやるべきことができなかったのではないかと不安になっていたという。しかし、「最終的には、睡眠をうまく調整することでより生産的になり、日中も疲れを感じずに多くのことをこなせるようになったと言ってくれました」「彼らは私のところに来て、感謝の言葉を述べてくれたんです」と振り返る。

タサリ博士はまた、睡眠時間を少し増やすことで、「肥満の急増に歯止めがかかるかもしれない」と語っている。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From Prevention

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