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離婚で貧乏ルートも!? 結婚前に見るべき“パートナーの人間性”3項目

  • 2015.8.26
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【女性からのご相談】

20代で飲食店のアルバイトをしています。同い年の彼と年内に入籍する予定です。二人とも非正規雇用で、子どもが生まれたら経済的にやっていけるのか不安ですが、結婚に踏み切ることにしました。彼も私も子どもが嫌いではないので、 そのうち親になるんだろうと思います。ただ、非正規夫婦のため、一歩間違えば子どももろとも貧乏に苦しむことになりそうで恐いです。そうならないためには、結婚前に相手の人間性のどんな部分をチェックすればいいでしょうか。

●A. 暴力性の有無と倫理観の有無。そして究極的な人生観が一致しているかを要チェック!

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

現代、結婚に踏み切ろうとする非正規雇用のカップルにとって、とても切実な問題であると感じました。とはいえ、結婚する直前に確認しておくべき“相手の人間性におけるチェック項目”というものはそんなに多くはないでしょう。私は次の3つではないか思っています。

・暴力性を持っていない

・根底に倫理観があって、相手を裏切らない

・相手の人生観が究極的には自分と一致している

この3点の最終チェックを怠ったままで結婚生活に突入してしまうと、DVや不和、うつ病などを誘因とした経済的苦境など、離婚という“貧困に陥るきっかけ”が自分の身に迫ってくる確率を高めてしまうのです。

ここでは、“両親の不仲や離婚と子どもの貧困”という問題についてライフワークとして研究をつづけている、都内でメンタルクリニックを開業する精神科医のお話を参考にしながら、一緒に考えてみたいと思います。

●結婚前にチェックすべき“パートナーの人間性”3項目

●(1)“暴力”を振るったり言葉の暴力を振るう相手との入籍は、「ちょっと待った!」

『“性別離婚申し立ての動機別割合の推移”という司法統計によれば、2013年に女性の方から離婚を申し立てたケースにおける離婚理由のうち、「彼が暴力を振るう」は24.7%で上位に入っています。普通に考えれば、暴力を振るうような男性との結婚生活が困難であることは明らかなのに、そういった傾向のある男性と結婚してしまう。そんな女性には、精神科の医師から見ると共通点があります。それは、お付き合いしていた時代から既に暴力の兆候を察しているにもかかわらず、「結婚して、子どもができたら彼も変わるだろう」といった根拠のない期待感をもって、安易に結婚や出産に踏み切ってしまっていることです。

どのような理由にせよ、恋人に平気で暴力を振るっていた男性が、結婚して子どもができたからといって暴力を振るわなくなるでしょうか。私の臨床経験からすれば、その可能性は極めて低いと言えます。ご相談者様には、これまでのお付き合いを振り返って、もし彼にわずかでも“暴力の危険”を感じたことがあるようでしたら、ぜひとも今の段階で立ち止まって、もう一度入籍について熟慮されることをお勧めいたします。

当然ながら、相手に暴力を振るうのは男性だけではないことも申し上げておきたいと思います。特に、経済的に女性の方が優位に立っているカップルにしばしば見られるケースですが、彼に対して“ヒモ”という表現に代表されるような侮辱の言葉を容赦なく浴びせる人がいます。これは紛れもなく“言葉の暴力”です。言葉の暴力による被害を日常的に受けてきた男性の方は、「こんなんで結婚して本当に大丈夫か」ということを、入籍する前に今一度よく考えてみる必要があります』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・精神科医)

●(2)“倫理感”が希薄な相手との安易な結婚は離婚につながるおそれ大。貧困に陥る第一歩です

『厚生労働省の“平成25年国民生活基礎調査”によれば、わが国の相対的貧困率は2012年には16.1%にまで上昇しており、国民の6人に1人が貧困状態にあることが明らかになっています。なかでも、一人親の世帯(主に母子家庭)の貧困率は54.6%と半数を超えており、離婚によって一人親(主にシングルマザー)になることがいかに子どもを貧困に陥れる直接的な原因になっているかが見て取れます。

前述の司法統計の離婚理由では、「(主に夫の)異性関係」が19.5%と上位に位置しており、夫の浮気が原因となる離婚の多さを物語っています。

ご相談者様も今一度、彼に“倫理観”の面でおかしなところがなかったかどうか、振り返ってみてください。特に精神科の医師として注意を喚起したい男性のタイプは、「悪気はなかった」などと言いながら浮気相手の女性のペースにずるずると引きずり込まれて行く、いわゆる“優柔不断”型の男性です。このタイプの男性には、“一線を引く”という、言わば当然の倫理観が欠如している場合が比較的多くみられます。ですから、「そういえばあのとき……」と思い当たる節があるのでしたら、入籍するのはいったん待ってみることをお勧めいたします』(50代女性/前出・精神科医)

●(3)根本的な“人生観”さえ一致していれば、夫婦は大抵の難局を乗り越えて行くことができます

『最後のチェック項目は、相手の人生観が究極的に自分と一致しているかどうかです。前述の司法統計によれば、女性が離婚を申し立てた理由の第1位は、「性格の不一致」で、44.4%にものぼりました。ただ、これに関して、私は当事者の方たちとは若干違った考えでいます。というのは、私が常日ごろ接している既婚の女性たちをみていると、旦那様とは性格が全く違うのにとても良好な夫婦関係を維持されている方の多さが目立つのです。“のんびり屋”の奥様と“せっかち”な旦那様。“神経質”な彼女と“楽天的”な彼。このように性格が180度違う素敵なご夫婦やカップルはけっして少なくありません。そこで思いついたのは、離婚当事者の女性たちが言う“性格の不一致”という言葉を“人生観の不一致”に置き換えてみることでした。すると、夫婦生活を維持できないくらい深い亀裂が入ってしまったご夫婦のほとんどが、この“人生観が一致していない”パターンに当てはまったのです。

ほんの一例を挙げてみましょう。とても困っている人がすぐ側にいたとします。その人をみていたある夫婦の妻は、「理由はどうあれ、気の毒だわ。自分にできることくらいはしてあげたいし、こういう人たちを支援する社会システムも必要なんじゃないかな」と感じました。ところが夫の方は、「みんな厳しい状況の中で精一杯努力しながら生きているのに、こういう人は自分を甘やかして努力をしていないんだ。俺たちが必死に働いて稼いだお金から納めてる税金で、こういう人達を救済することなんかないさ」と感じたのです。

この夫婦のそれぞれの感じ方は、どちらが“正しい”とかどちらが“間違っている”とかいう類いのものではありません。ある意味で両方とも一理あります。多くの人は、この例に該当するような夫婦を“性格の不一致”と捉えがちですが、実は“人生観が一致していない”夫婦だと言うことができるのです。うまくいっている間はこのままでも問題ありません。とはいえ、ひとたび歯車が狂うと修復できずに離婚してしまう夫婦には、こういう傾向がみられる場合が少なくありません』(50代女性/前出・精神科医)

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3つ目にお話しした“夫婦の人生観が一致していない”という問題は、暴力や倫理観の欠如といった問題と並んで深刻な離婚理由になり得るものです。ですので、ご相談者様も、お相手の暴力性と倫理性について“問題なし”と確認できたならば、最後に人生観が一致しているかどうかを確認してみてください。それさえ問題なければ、結婚をしてお子さんが生まれてからも、きっと、大抵のことは乗り越えて行けるはずです。

「結婚して子どもが生まれてから、夫が“離婚せざるを得ない相手”だと気づく。ママはたった一人でパートやアルバイトを掛け持ちしながら、昼夜を問わずに働き詰め。それでも貧困から抜け出せず、子どもに学用品さえ買ってやれない」、そんな状況は、できる限り回避するべきです。

そのためには、結婚・出産に関して一定の慎重さがやはり必要です。今回お話ししたような3つの項目について、多少なりとも気に留めていただけたらと思います。生まれてくる子どもたちを貧困に陥れないためにも、ぜひ活用してみてください。

【参考リンク】

・平成25年国民生活基礎調査の概況 | 厚生労働省

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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