日本酒特集をつくっていると日本酒が呑みたくなる｜編集長・植野の食日記 2022年2月3日（木）

日本酒特集をつくっていると、当然ながら日本酒を呑みたくなります。寒い日に、鰤刺しや焼き白子、豆腐煮などで熱燗をキューっと。ああ、シアワセ！

毎年、2月発売の3月号は日本酒大特集を掲載しています。今回の「日本酒2022」でも日本各地の“今旨い酒”や、酒が進む家呑みつまみなどをご紹介しています。で、日本酒特集をつくっていると（日々日本酒の話をして、美味しそうな酒やつまみが掲載されたゲラを見ていると）、当然ながら呑みたくなります。

ということで、旨い魚と酒が揃う中野の「第二力酒蔵」へ。最初は軽くビールで喉を潤してから日本酒へ。素敵な銘柄がいろいろ並んでいるのですが、とても寒かったので迷わず「熱燗！」。この店で熱燗といえば、オリジナルの徳利に入ったキンシ正宗のお燗が出てきます。

これをクイッと流し込んで喉を温めて、さて、どうしようか。本日のお薦めは富山湾で上がった鰤（ぶり）とのこと。ではそれを刺身で。せっかくだから、鰤大根もいただきましょう。お、ふぐの白子もありますね。焼いてください。あとは豆腐煮ね。これで幸せなひとときが約束されました。

鰤はとても状態が良く、刺身はもっちりとした歯応えの中から上品な旨味がじわりと広がり、鰤大根はやや甘味を感じるやわらかな味付けで骨の周りの肉や血合いが雑味のない軽やかな旨さ。静かに体が温まっていきます……すみません、熱燗もう一本！

焼き白子は、ふぅふぅしながら香り高い皮を噛み破ると、官能的なとろみが口の中に溢れて来ます。熱い、旨い、まろやか、濃厚、熱燗が溶けていく……。あら煮の出汁が染み通った豆腐煮は、ちょいと七味をふればやさしい味がふっと立ち上がる。しあわせ。

これで締めてさっと帰れば格好良いのですが、未練たらしく、なめこおろしやカニサラダなんかも頼んで、ずるずると呑んでしまいました……。

文・写真：植野広生