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G’s BOOK REVIEW 各地のお菓子を集めた図鑑『にっぽん全国おみやげおやつ』etc.

  • 2022.1.31
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1月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。

『冬』
アリ・スミス

(木原善彦訳/新潮社/¥2,530)

イギリス郊外で暮らすソフィアのもとへ息子と恋人役のラックスが帰省するクリスマス。伯母も合流して四者四様の思弁が交わり浮遊するなか、ラックスの《地上に平和を、すべての人に善意を、楽しさ、幸福を願うのはいいんだけど、どうして今日だけ、というか一年のうちでこの数日だけなの?》とたずねる率直さが、冷えた愛と関係に差し込まれ周囲を溶かしてゆく。EU離脱、環境問題など、社会を取り巻く出来事をまっすぐに見つめる長篇。

『畏れ入谷の彼女の柘榴』
舞城王太郎

(講談社/¥1,650)

幼子が目撃した《三つの赤い光》が母の腹に入って命を増やす。息子の指と妻が隠していたもうひとつの顔が家族の関係を変容させる表題作。人語を操る猿のアドバイスで暗い水路に光が刺しこむ「裏山の凄い猿」。人の形をとった《心残り》が訪う家を出、正しさに向き合おうとする兄姉弟を描く「うちの玄関に座るため息」の3篇を収める。兄姉弟を描く『林檎』、家族愛に迫る『檸檬』に続く果物シリーズ最新刊にして井上奈奈の装画も美しい作品集。

『にっぽん全国おみやげおやつ』
甲斐みのり

(白泉社/¥1,650)

「街の文化」たる各地のお菓子を、その美味やデザインにとどまらず、作り、守り続けてきた人々や店の歴史まで見つめて、愛おしさの真髄を探求する。47都道府県をめぐり、180軒もの店でお菓子に出合い、味わってきた文筆家の鮮やかな記憶に導かれる鉄板お土産図鑑。「わざわざ寄りたい」「思い立ったら立ち寄れる」「パッケージ採集」などのテーマを辿るうち、食べたい、行きたい気持ちが募って本が付箋だらけに。お取り寄せデータもうれしい一冊。

GINZA2022年1月号掲載

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