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世界に広がるビューティーアイテムのリサイクル

  • 2022.1.28
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ブロンザー(日焼けをしたような肌のように見せるパウダーやクリーム)、イルミネーター(肌の内側から透明感とツヤを引き出すためのコスメ)に保湿液…… 自分に合った美容商品を探す旅には終わりがない。新しい商品が市場に出れば、そのブランドとつながりのあるインフルエンサーが即宣伝を始めるので、1つの商品に固執する暇もない。その結果、いくら買っても、自分だけが取り残されているような感覚に。でも、メイクやスキンケアに傾倒すると、洗面台の棚が使いかけの商品であふれてしまう。“こんまり”こと近藤麻理恵さんなら「ときめかないものは捨てちゃって!」と言うかもしれない。でも、環境への影響を考えると、そうするのも気が引ける。

そんな人々の気持ちをくんで、ある2社が立ち上がった。オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

オーストラリア最大の美容系小売業者『メッカ』と大手百貨店『デビッド・ジョーンズ』の2社は、リサイクルが難しい商品のリサイクルを専門とする『テラサイクル』と提携し、2020年4月22日のアースデイに使用済みの美容商品のリサイクル受付開始を発表した。

これに先立ち『テラサイクル』は2019年10月、一部の『メッカ』店舗で実験的にリサイクルの受付を行った。果たして需要があるのかと思いきや、この画期的な取り組みは環境に配慮しながらエシカル(倫理的)に生きたいと願う顧客から絶大な支持を受け、『メッカ』には14カ月のトライアル期間中だけで計1,024kgのビューティー廃棄物が持ち込まれた。このなかには、通常なら埋め立て地に送られる空容器が推定10,240個も含まれている。

美容商品の空容器のリサイクルは、2021年4月から、オーストラリアとニュージーランドの『メッカ』『メッカ・コスメティカ』『メッカ・マキシマ』の一部の店舗で始まっている。ビューティー廃棄物は、店頭に設置されたリサイクルボックスに自分の手で入れてもいいし、スタッフに渡してもいい。使用後の商品の行く末も考えず、ボトルやチューブ、メイクパレットを量産する時代は終わった。これからは、美容商品の廃棄・処理過程にも顧客の注意がそそがれる。

一方の『デビッド・ジョーンズ』でも、「ビューティーサイクル」というリサイクリング・プログラムが2021年4月22日から始まっている。各店舗にはリサイクルボックスが設置されており、柔らかいプラスチック、硬いプラスチック、ポンプ、ガラス瓶やジャーなどの容器、フェイスマスク、パッケージだけでなく、ファンデーションのボトル、口紅、アイシャドウ、コンパクト、マスカラといったコスメ化粧品のリサイクルも可能。回収されたビューティー廃棄物は分類・裁断・溶解されてプラスチックのペレット(粒状の素材)となり、新しい美容商品の製造に使われる。

『デビッド・ジョーンズ』ビューティー部門のジェネラルマネージャー、レイチェル・ダフィ=パーカーはプレスリリースの中で「私たちはみな地球の脆弱性を痛いほど感じており、それが顧客の購入傾向や各ブランドに寄せられる期待に大きく反映されています」と述べた。

『デビッド・ジョーンズ』は以前から、人間・環境・動物愛護に配慮したサステナブルなブランドの商品のみを販売するプラットフォーム「マインドフリー・メイド(Mindfully Made)」を展開している。「マインドフリー・メイドのオンラインショップも、おかげさまで好評です。これは、顧客の価値観が購買行動に影響を与えているという事実、もっとサステナブルに生きたいという顧客の気持ちの表れです。『テラサイクル』と共に取り組んでいるビューティーサイクルプログラムは、美容業界の廃棄物や無駄の連鎖を断つうえで役立ちます。これからも私たちは、より環境に配慮した将来の創設に貢献するべく、努力を重ねる所存です」

人類最大の危機とも言える気候変動が続くなか、環境フットプリントを減らすこのような取り組みは高く評価されている。小さな一歩かもしれないけれど、その方向は絶対正しい。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。Text: WH Staff Translation: Ai Igamoto

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