1. トップ
  2. 広瀬アリスさんが語る体形コンプレックス「気持ちがわかるからこそ、悩む人に優しく寄り添える」

広瀬アリスさんが語る体形コンプレックス「気持ちがわかるからこそ、悩む人に優しく寄り添える」

  • 2022.1.16
  • 658 views

映画やドラマ、バラエティー番組など幅広く活躍する女優・広瀬アリスさん(27)。14日からAmazon Prime Videoで独占配信されるドラマ「失恋めし」では、主人公の漫画家・キミマルミキを演じています。昔から自身の体形に悩み、芸能の仕事を「辞めたい」とまで思っていたという広瀬さん。仕事への気持ちが変わったきっかけや、コンプレックスとの付き合い方を聞きました。

食べることは好き。でも体形維持のために工夫も

――「失恋めし」は失恋時に元気をくれた“味”がテーマ。広瀬さんは失恋した時、どのように立ち直りますか?

広瀬アリスさん: なんでしょう……。食べて、飲んで、歌って、テレビ見て、寝る――みたいな感じかな。友達と会って気を紛らわせることもあります。

――失恋した時に食べたもので印象に残っているものはありますか?

広瀬: ラーメン!超こってりの豚骨ラーメンを食べました。太るのが怖いので、普段はあんまり食べないようにしてるんですけど、「もう、行っちゃえ!」って(笑)。

――食べるのが好きなんですね。

広瀬: おいしいと感じてる瞬間って、不幸から一番遠い気がするんですよね。人それぞれに趣味や好きなことがあって、それをやっている時って嫌なことを忘れられるじゃないですか。それが私にとっては食べることなんだと思います。「おいしいなー」ってお腹いっぱいになって寝れば、大体のことはなんとかなる(笑)。

失恋した時もいっぱい食べるけど、「今日は仕事やり切った」って時なんかも、普段は夜に食べないようにしているお米を食べます。

朝日新聞telling,(テリング)

――体形維持のために、食事にはかなり気を遣っているそうですね。

広瀬: お米は基本的に玄米を食べていて、忙しい時でも作り置きした料理を現場に持っていくようにしています。本当に時間がない時は宅配で頼んだサラダを持って行くことも。1食を少なめにして、何回かに分けて食べるといった工夫もしてます。

芸能の仕事「辞めたい」と思ってた

――自身の体形のコンプレックスについて、Twitterで発信されています。

広瀬: 昔から体形について悩んできたんです。スポーツ一家で育ったので、小さい頃からバスケットボールをやっていました。その時は腹筋はシックスパックになるくらいバキバキで、ご飯もめちゃくちゃたくさん食べてたんです。どんぶり5杯も普通なくらい(笑)。
バスケをやめて、芸能のお仕事を始めることになっても、食事の量を変えられなくて……。そのままブクブクと太っていきました。
10代後半の女の子って太りやすいと思うのですが、バスケをやめたタイミングが、その時期にちょうど被っちゃったんですよね。

雑誌の専属モデルとして撮影に行って、自分以外のモデルさんたちを目の当たりにした時、その細さに驚きました。みんな、体の大きさは私の半分くらい。他のモデルさんが着られる衣装が、私の体には全然入らなかった。「何これ、やばいやばい」って思ったけど……。気づいたら食べてました(笑)。

仕事関係の人に痩せるよう言われて、この頃からダイエットをするようになりました。痩せるのに10年くらいかかりましたね。ここ2年は体重が落ち着いています。

朝日新聞telling,(テリング)

――芸能の仕事を辞める選択肢はなかったのですか?

広瀬: 「私はここにいていい人間じゃないから、辞めたい」ってずっと思ってました。10年以上経った今もこのお仕事を続けているなんて、当時は考えていなかったし、仲良い友達からも驚かれますね。根性で続いた部分もあるし、「辞める」なんてビビって言い出せなかった面もあります。

太っているのに人よりたくさん食べていたから、一時期は事務所の中で「一生怒られてる女の子」って感じでした。今思えば、年齢的に食べ盛りだし、太りやすいのは仕方ないんですけどね。

朝日新聞telling,(テリング)

転機は朝ドラ「わろてんか」

――芸能の仕事に対する気持ちが変わったのは、いつだったのでしょう。
広瀬: 連続テレビ小説「わろてんか」に出た時です。人生で一番悔しい気持ちになって、一番頑張った時期でした。
大阪でのロケに行く前、「アリスは地方に行ったら確実に太って帰ってくる」って事務所の人から言われて、すごく悔しかった。「太るから食うな」って言われて東京では普段は食べていないから、東京を離れてちょっと食べたら全部吸収してどんどん太っていくんですよ。それを何年も繰り返している自分も、本当に嫌で。
「大阪にいる半年で、本気で痩せてお芝居も頑張ってやる」と思って、向こうで毎日、スポーツジムに通いました。撮影が朝8時からの日は5時半に起きて6時にジム行って、シャワーを浴びてから現場に行く。仕事の空き時間もよくジムに通いました。そんな生活を繰り返したら、体もいい感じに引き締まっていきました。

「わろてんか」で演じていた漫才師・リリコはパンチの効いた印象的な役。お芝居もすごく頑張って、その時から仕事の波が変わったような気がします。

朝日新聞telling,(テリング)

――漫才師を演じて、広瀬さんなりの“持ち味”のようなものを見つけたのでしょうか。

広瀬: 「わろてんか」をきっかけに一皮むけたというか……。“強み”ができたからこそ、今があると思います。

Twitterでふざけたことを発信したり、バラエティー番組でみんなが引くようなバイオレンスな漫画について語ったり。漫画好きに関してはたまたまだし、他の人が読まないような作品まで読んでいただけなんですけどね。
モデルや女優ってキラキラしたイメージがあるかもしれませんが、私はオシャレな生活をしているわけじゃないんです。人に見せられないような組み合わせの洋服やパジャマを着て、家で変わった漫画を一日中読んで過ごすこともある。“普通”だからこそ、親近感を持ってもらえるんじゃないかなと思っています。
バラエティー番組では自分のキャラを出してふざける一方で、本業は女優だからお芝居もしっかりやる。その振り幅が、自分ならではの面白さじゃないかな、と。

朝日新聞telling,(テリング)

おすすめは“無心になれるもの”を見つけること

――telling,読者は20~30代女性。人と比べてコンプレックスを感じることもあります。

広瀬: 人と比べることって当たり前だから、やめるのは難しいと思います。私は自分のコンプレックスを完全に受け入れて、「もうどうでもいいや」となっていますけど、そんな人はあんまりいない。
だけど比べる時間があるなら、“無心になれるもの”を見つけた方がいいと思います。私でいう漫画やアニメや乗馬みたいなもの。「この人すごいな、自分なんて……」って落ち込んだとしても、「帰ったら、あれがあるから大丈夫」って明るい気持ちになれるんです。

それに芸能の仕事をしている私でさえも、人前に出て自慢できるような体つきではありません。
生まれ持った骨格が人よりちょっと大きくて、肩幅や腰幅が広いから日本のブランドだと入らないこともあるんです。
でも、つらい気持ちがわかるからこそ、体形について悩んでる人に優しく寄り添えます。どうしたって気になっちゃうだろうから、「気にするな」とは言えないけど、「みんな仲間だし頑張ろう!」って発信できるのは、悩んだ経験があるからこそですね。

■奥 令のプロフィール
1989年、東京生まれ。香川・滋賀で新聞記者、紙面編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理、銭湯。

■齋藤大輔のプロフィール
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

元記事で読む
の記事をもっとみる