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固定概念を覆す!ドレッシーなデニムアイテムが流行中

  • 2022.1.14
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かつては、最もファッション感度が高い人でも、ゴワついて冴えない普段着のデニムを目にするのが耐えられない時期があった。パンデミックの影響で、定番だったタイトでかっちりめのデニムは、Z世代ならではのルーズなスタイルに置き換わってしまった。

さらには、多くの人がデニムをまったくはかなくなり、スウェットや、「サックスポッツ」「パロマウール」といったブランドの、ウエスト部分にゴムが入ったプリントパンツばかりに足を通すように。

しかし今シーズンは、パリ在住のあるアメリカ人によって、アメリカの定番であるデニムに真新しいアイデアがもたらされている――その人物とは、ダラス生まれのデザイナー、ダニエル・ローズベリー。

「スキャパレリ」のアーティスティック・ディレクターである彼は、アップサイクルなデニムジャケットとデニムパンツという意外な組み合わせに、ブランドのシュールレアリスムのDNAを吹き込んだ。

2021年秋冬のオートクチュールコレクションで彼は、解剖学にインスパイアされたという(耳や目、花などの)刺繍やゴールドのジュエリーを披露し、“デニムはクチュールとしてみなされない”という長年の既成概念を覆した。

このコレクションについて、彼はこう語っている。

「パリのマーケットが再開すると、私たちは80年代の「リーバイス」のデニムを12本買い、それを解体して再構築しました」
「極端なアメリカ主義に、バロックゴールドなどの極端な挑発的な要素が組み合わさると、人々はそれに反応するということがわかりました。私は体とクチュールの解剖学をフェチ化したといえるほど、喜びに身を委ねるようなことをしたかったのです」

さらに、デニムが鮮烈な印象をもたらした「バレンシアガ」のクチュールへのカムバックは、忘れがたいものとなった。

クリエイティブ・ディレクターのデムナ・ヴァザリアは、2021年秋冬のオートクチュールコレクションで、デニムを高く、長く、丸くカットし、フーディーやVネックニットと組み合わせてみせた。

また、いわゆる「カナディアン・タキシード(=デニム on デニム)」のルックは、ジャケットの襟を肩よりも高く持ち上げて開き、サイドに大きく角度をつけ、フロント部分に重なりを作ることで彫刻的な仕上がりにしています。

デニムに再注目するための材料はオートクチュールに限ったことではなく、プレタポルテのデザイナーたちも、新たなレンズを通してデニムに着目しています。

例えば「クロエ」のクリエイティブ・ディレクターであるガブリエラ・ハーストは、デニムのノースリーブトップス、トレンチコート、ミディドレスを発表している。そのうちのいくつかは、しなやかなレザーのディテールにより相乗効果を生み出し、2022年のリゾートにふさわしい、爽やかでフレッシュなムードを放っている。

彼女はさらに、デッドストックの生地と、金属のかわりにリサイクル木材を使用したボタンを組み合わせたり、生地には水のかわりにレーザーで加工を施したりして、サステナビリティを意識した画期的なアイデアも盛り込んでいる。

このところ、環境に配慮したデニムへの需要は非常に高く、多くのブランドがゼロから出発してアップサイクルや生地の再開発を進めている。

たとえば、デンマークブランドの「ガニー」は、2021年秋にサステナブルなデニムの新ラインを発表。ラインの半分以上は、2019年にエレン・マッカーサー財団によって立ち上げられた「ジーンズ・リデザイン」プロジェクトの一環となっている。

これは、デニムの専門家80人が集結し、廃棄物を減らして再生可能性やトレーサビリティを向上させるために考案されたプロジェクト。

「ガニー」のクリエイティブ・ディレクターを務めるディッテ・レフストラップは、「デニムは、着用した人がどんなことでも成し遂げられると思えるような素晴らしさを秘めています。こうした考えは、間違いなくアメリカ人女性の心に響くでしょう」と述べている。

新しいドレスアップのあり方について考えるとき、普段はゴージャスなドレスやハイクオリティなアイテムを好むデザイナーたちが、デニムに活路を見出すことは理にかなっている。

たとえば、「キャロリーナ ヘレラ」の2022年のリゾートコレクションでは、フリルのついたパフスリーブのブラウスや、ハイウエストのワイドパンツ、Aラインのミニスカートなど、デニムをふんだんに取り入れたアイテムが見受けられた。

同じく、「エトロ」の2022年リゾートコレクションでも、万華鏡のようなパッチワークが施されたアイテムや、旅慣れたヴィンテージデニムを彩るような刺しゅうで、“やりすぎ感”を強調するアプローチが採用されている。

ストリートで人気のバッグブランド「ワンドラー」のデザイナー、エルザ・ワンドラーは、昨秋に初のデニムラインを立ち上げた。彼女はこのデニムラインを「仕事からディナーまで、どんなシーンでも簡単にドレスアップできる、万能なスタイリングアイテム」と表現している。

また、NYのコンセプトショップ「t.a.」のオーナーであるテルシャ・アンダーソンは、ショップ限定の「ディーゼル」のピンクのセットアップのように、主張できるデニムアイテムは必ず売り切れると見込んでいる。

「生産方法や色のチョイス、そしてデニムというカテゴリーにとらわれないスカートやドレス」はどれも目新しく、「人々は今、目立つイテムを求めています」と語っている。

新たな潮流を生み出しているファッショナブルなデニムに多くの人が魅力を感じている理由は、人々がデニムを恋しがっていたという点に尽きる。

それを踏まえたうえで、思い出してほしい――目立つデニムや、装飾が施されたデニム、またはデニムスカートのようにシンプルなものをまとって、プロポーションやその他の部分を自分が最後に大胆に主張したのはいつだったのかを。

インディーズブティック兼ブランドの「リサ セイズ ガー」の創業者兼CEOのリサ・ビューラーは、「私は最近、デニムが自分のスタイルの中核をなすアイデンティティのひとつであるということを知りました。コロナ禍で2歳未満の子どもを2人育てていることもあり、2年近くデニムを履いていなかったことに気付いたのです」と語る。

昨秋に自社のデニムラインを発表したばかりの彼女は、「またデニムを履くことができて嬉しいんです」と述べている。

※この翻訳は抄訳です。

Translation: Masayo Fukaya

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