1. トップ
  2. お仕事
  3. iDeCo利用率、公務員は会社員の約2倍!? 差を生み出した「意外な理由」

iDeCo利用率、公務員は会社員の約2倍!? 差を生み出した「意外な理由」

  • 2022.1.14
  • 3815 views

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は、現役世代の皆さまが、原則、毎月一定金額を積み立てて、自分で運用した資産を60歳以降に受け取る制度です。そもそも、2002年1月から始まったこの制度、歴史は長いものの、それこそ長い間“知る人ぞ知る”的な存在でした。日の目を見るようになったのは、ちょうど5年前の2017年1月と言えるでしょう。iDeCoという愛称が決まり、公務員にもiDeCoが解禁されたのです。

そして今やiDeCoも飛ぶ鳥を落とす勢い、現役世代の資産形成ツールとして、つみたてNISAと双璧をなす存在ですね(言い過ぎでしょうか?)。公務員のiDeCo解禁前夜を知る者としては感慨深く、隔世の感すらありますが、公務員にiDeCoが解禁されて早5年、どれくらいの皆さまがiDeCoを利用されているのでしょうか? 今回はそんなことを改めて確認したいと思います。

公務員はiDeCo利用率ナンバーワン!

まずは、公務員のiDeCo加入者数。2021年11月で48.5万人※1の公務員がiDeCoを利用されています。職業別でみると、お勤め先に企業年金制度のない会社員(iDeCo利用者は114.5万人※1)に次いでiDeCo利用者が多い、それが公務員なのです。

※1 出所:国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2021年11月時点)」

ところで、公務員の数は450万人ですから、利用率を計算すると約10.8%。つまり、公務員はおよそ10人に1人の割合で、老後資金準備をiDeCoで始めているのです。公務員の皆さまからすると、同じ部署には必ずiDeCo仲間がいたり、iDeCo先輩がいたりするわけです。職場での何気ない会話でもiDeCoのことが話題になる、そんな感じではないでしょうか。ちなみに、企業年金制度のない会社員の数は2300万人ほどですから、iDeCo利用率は5%程度にしかなりません。したがって、今や公務員は、iDeCo利用が一番普及している、そんな職業だと言えるのです。

公務員は勤め先でのiDeCoの利用準備が整っている!

なぜ、これほどまでに公務員の皆さまにiDeCoが普及しているのでしょうか? 公務員の退職金や年金の制度が改正されたから、だとか、定年の引上げで若いうちから老後のことを考えるようになったから等、いろいろと理由はあるかと思います。でも、公務員の場合、お勤め先でiDeCoを利用するための準備が整っている、そんな側面があるかと思います。どういうことなのか、ご説明しましょう。

まず基本的なことではありますが、iDeCoの積立方法は、本人名義の預貯金口座から掛金を引き落とす「個人払込」と、iDeCoを利用する社員の掛金をお勤め先がまとめて払い込む「給与天引き」の2パターンがあります。どちらの方法にしても、お勤め先ではiDeCoの事業所登録という手続きが必要になります。その事業所登録、民間企業だと「iDeCoをやりたい!」と最初に手を挙げた社員のiDeCo加入時に行うのが一般的です※2。

※2 iDeCo+(イデコプラス、社員のiDeCo掛金に会社が掛金を上乗せする制度)を利用する場合、民間企業でもiDeCoの事業所登録を前もって行うケースがあります。

一方、官公庁や地方公共団体、国公立の学校等では、公務員が「iDeCoをやりたい!」と手を挙げる前に、iDeCoの事業所登録という手続きを完了しておかなければなりません。「公務員はお勤め先でiDeCoの利用準備が整っている」というのは、こういうことなのです。実際、公務員のお勤め先では、iDeCoが解禁された2017年1月には、5000を超える事業所がその手続きを終えていました。

また、2021年12月末時点で、iDeCoの利用準備が整っている公務員のお勤め先は9458まで増えています。そのうち「個人払込」のみが6189(65%、9458の事業所に占める割合、以下同じ)、「給与天引き」のみが277(3%)、「個人払込も給与天引きも、どちらでもOK」が2992(32%)です。つまり、「給与天引き」でiDeCoが利用できる公務員のお勤め先が4割弱、これは民間企業に比べてかなり高い水準だと思います。勤め人にとって「給与天引き」は最強の貯蓄法だと言われますので、公務員のiDeCo利用率が高いのは、こんなところにも理由があるのだと思います。

公務員は夏休みにiDeCoのことを考える!

最後に、iDeCo加入者が多い月を確認してみましょう。解禁当初の2017年は、マーケティング理論で言うところのイノベーター(新商品や新サービスの利用に積極的な人)が多かったと思います。ですから、傾向を見る上で2017年を参照することはやめにして、2018年から2021年の4年間で月別の加入者数をチェックしてみました。傾向を比較する上で、公務員以外でも同じ数字を確認しています。以下、ご覧ください。

■iDeCo加入者が多い月(トップ3)※3

・公務員 8月、2月、3月

・公務員以外 4月、3月、2月

■iDeCo加入者が少ない月(ワースト3)※3

・公務員 5月、11月、6月

・公務員以外 5月、11月、1月

※3 国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」を基に筆者が集計

興味深いのはiDeCo加入者のピーク月が、公務員と公務員以外で違っている点ですね。公務員は8月、つまり、夏休みにiDeCoのことを考えるのです。コロナ前は特にそうでしたが、夏休みのこの時期は、公務員向けのライフプランセミナーに、講師としてお呼ばれする機会がとても多いですね。公務員にとって、夏休みはご自身のライフプランを見つめ直す、そんな季節なのだと思います。

一方、公務員以外の人は4月の年度替わりにiDeCo加入者がピークを迎えます。共通点は2、3月の盛り上がり。公務員も公務員以外の人も、年末調整や確定申告で、iDeCoの所得控除の税制メリットを自分事(じぶんごと)として考える人が増えるのだと思います。

なお、iDeCo加入者の月別推移を見ると、金融マーケティングの定石、6月前後や12月前後のボーナスキャンペーンは有効だとは言い切れませんね(苦笑)。そもそもiDeCoは、給料の一部を積み立てる制度ですから、当然と言えば当然かもしれません。金融機関に勤める者としては、その常識にとらわれずに、もっともっと考えられることがあるかもしれないですね(反省……)。そして、iDeCoを通じた「貯蓄から資産形成へ」もまだまだ道半ば。私も微力ながら、今後ともiDeCoの普及に努めたい、そんなふうに思っています。

小出 昌平/大和証券 ライフプランビジネス部 担当部長

1993年4月大和証券入社。投資信託の開発や富裕層ビジネスの企画・運営業務などを経て、2015年より確定拠出年金業務に従事。現在は、iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金の周知・普及活動に携わりながら、自治体や事業会社の職場における金融・投資教育、ライフプラン教育の支援活動に取り組み中。

元記事で読む
の記事をもっとみる