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小栗旬、“主役”らしくない主役として登場 『鎌倉殿の13人』緩急織り交ぜた物語の始まり

  • 2022.1.10
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『鎌倉殿の13人』写真提供=NHK

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)は、源平合戦と鎌倉幕府誕生を背景に、権力の座を巡る男たち女たちの駆け引きと、その勝者であり二代目執権の北条義時(小栗旬)を主人公に描くドラマである。

1月9日に放送された記念すべき第1回では、義時が源頼朝(大泉洋)と出会い、運命の歯車が回り出す。

1175年、平清盛(松平健)が大権力者として君臨していた頃、伊豆の地では義時が兄・宗時(片岡愛之助)、姉・政子(小池栄子)らとのんびり暮らしていた。帝を警護する大番役のつとめを終え、父・時政(坂東彌十郎)も3年ぶりに京から戻ってきている。時政を労う宴の最中、義時は三浦義村(山本耕史)から、流罪人・源頼朝が義時の幼なじみの八重(新垣結衣)と恋仲になり、男児が生まれたことを聞かされる。そして清盛から頼朝の監視を任されていた義時の祖父で八重の父・伊東祐親(浅野和之)がそのことに激怒し、姿をくらました頼朝の行方を追っていることも。八重を想っていた義時は、頼朝ではなく八重の身を案じ「八重さんが不憫だ」と口にした。

蔵で一人物思いに沈む義時の前に、宗時がやってくる。宗時は「俺は佐殿(頼朝)に手を貸す」と宣言する。行方知らずの頼朝に手を貸すなど……と訝しがる義時に、宗時は揚々と「(頼朝は)今、この館にいる」と言った。その言葉に、義時は思わず目を剥く。

義時演じる小栗旬の、八重の現況を知って少し戸惑う演技や「(八重は)俺のこと好きなのかと思ってた」というぼやき、宗時の発言に驚く時の間がコミカルで面白い。第1回の義時はとにかく周囲の人間に振り回される。流罪人を匿うのみならず、平家打倒を訴える熱血漢の宗時や、頼朝に興味津々で「ゾッコン」な政子など力強い登場人物たちに挟まれ、義時は終始タジタジしている。しかし彼は決して頼りないわけではない。慎重で実直な義時は、たじろぎながらも冷静に行動する。コントのようなワンシーンだが、頼朝を匿っていることが時政にバレないようにうまく立ち回るし、宗時に任されたことが面倒事のように感じられても結局はうまくこなしていく。そしてもとより頼朝には用心深く接しているのも印象的だ。頼朝は義時の用心深さに感心しているようだった。

北条家が頼朝を匿っていることは祐親に知られ、祐親の下人・善児(梶原善)によって頼朝の息子・千鶴丸(太田恵晴)が殺された。頼朝は千鶴丸の死を義時から伝えられる。落ち着いた様子で「それがあれの運命であったのだ」と返す頼朝だが、義時が去った後、頼朝は祐親を恨む伊豆武士・工藤祐経(坪倉由幸)に「祐親を殺せ」と命じるほどに祐親への怒りに燃えていた。

第1回は義時が頼朝とともに馬に乗り、追っ手から逃れる場面で幕を閉じた。頼朝を逃すため、彼を馬に乗せたのは義時だが、ここでの彼はまだ受け身でしかない。小栗は公式サイトのインタビューで「自分が演じている北条義時というのは、“主役、主役”しているキャラクターじゃない」と答えている。頼朝絡みのいざこざに巻き込まれ、その流れに身を任せることになってしまった“主役、主役”していない義時が、今後どのようにして権力の座を巡る争いに身を投じていくのか楽しみだ。

また、北条家の個性的な人物像からも目が離せない。大体のことを弟任せにする宗時や、雅なシティボーイに一目惚れする政子、右往左往する兄弟の様子を面白がって眺める実衣(宮澤エマ)のちょっとした一言にクスリと笑ってしまう。特に、坂東彌十郎演じる時政はなんだかお茶目だ。家族の前で三度目の妻を迎える報告をするシーンではデレデレした顔が愛らしい。かと思えば、頼朝の前でキリッとする。が、頼朝がいる離れをあとにするやいなや「わりといいやつだったな」とのんびりした声で言う。コロコロ変わる表情がとても面白い。

公式サイトのインタビューでは、頼朝を演じる大泉洋が「大河ドラマでこんなに笑えるってことはないと思います」と発言している。血なまぐさい展開も待ち受けているであろう本作だが、ファミリードラマのような和気あいあいとした雰囲気もあって、観ていてとても楽しい。歴史に詳しくない人でも楽しめる、物語の始まりである。(片山香帆)

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