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【フランスからの報告】フランスにはお年玉はない? お小遣いも少数派

  • 2022.1.6
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今年のお正月。日本の子ども達は、お年玉をたくさん貰えたのでしょうか?
「お年玉」に似た風習があるのは、中国やベトナム、インドなどアジアが主流。
フランスにはなく、それでも10代後半になると、クリスマスプレゼントに祖父母や親戚からお金を貰う子も多々。
つまり、日仏問わず、子ども達の懐(ふところ)が潤うのは、年末年始の時期なのかもしれませんね
今回はフランスっ子達のお財布事情。主に「お小遣い」について調べてみました(データ:Pixpay 2021 &; Sondage opinion way pour fortuneo2021)。

第37回 フランスの子ども達のお小遣い事情

村の小学生52人のうち、お小遣いをもらっているのは1人だけ

まずは、私が勤務している村の小学校で、6〜10歳の子ども達52人に尋ねてみたところ、毎月、お小遣いを貰っている子は、たった1人。9歳のイギリス人の男の子だけだった。
彼が貰っているのは、毎月5ユーロ(約650円)。主にボンボン(キャンディやチョコ)など駄菓子に使い、残ると貯金箱に入れているそう。

でもこれは、村に1軒だけしか駄菓子を売る店がない居住地ならでは、の事情。
通学途中も、あちこちに売店やファーストフード店がある都市部になると、状況は全く違う。
全国調査では、フランスの小学生(6〜10歳)の25%が親から毎月お小遣いを貰っている。

「中学入学の9月」が、お小遣いスタート時期

それでも、お小遣いを貰っていない都市在住の小学生もかなりいる。
お小遣い開始時期についての全国調査では11歳が最多。ちょうど中学入学の年で、中学生(11〜14歳)になると51%がお小遣いを貰っている。

また「高校(15〜17歳)からお小遣いをあげる」という親も多く、「親元を離れ、寮生活になったから」「カフェや映画など、友達との付き合いが始まり、事前に予測できない出費機会も増えるから」というのが主な理由。

相場はいくら?

都市部では、「毎月のお小遣いの目安や相場は、年齢と比例」という説も強い。
7歳ならば7ユーロ(910円)。11歳(中学1年生)ならば11ユーロ(1430円)。15歳(高校1年生)ならば15ユーロ(1950円)。
「高校生からは年齢の倍」、15歳(高校1年生)は30ユーロ(3900円)。17歳(高校3年生)は34ユーロ(4420円)という風に、やはり年齢を目処にしている親も多いという。

また「ご褒美」や「お駄賃」制度がある家も多く、「ゴミ出しや皿洗い。洗車や庭仕事。暖炉の薪割や雪かきなどの家事手伝い」「学期末の成績が20点満点中、平均14点以上だった場合」などが、その具体例。
しかしこれについては、児童教育学者達は「それをすることにより、親は即効性を感じられるかもしれない。しかし長期的データによれば、褒美がなければ手伝わなかったり、ボランティア精神や貢献心も育まず、探究心や好奇心からの自発的勉強をしない思春期を迎えやすい」と、雑誌などで懸念&指摘もしている。

国や地域(温暖)による違い

ヨーロッパ内での国による違いは上の表の通り。

別のデータ(AXA IM)では、ヨーロッパ諸国よりもシンガポールや香港の方が、額は高いという(8〜15歳が毎週もらうお小遣い額・平均:フランス1010円 スペイン1480円 イタリア1540円 イギリス1880円 シンガポール2050円 香港2530円)。

フランス国内でも、北部ほどお小遣いの額は低く、南に行くほど高いという傾向が強い。
暑い地域ほど、ジュースやアイスクリームなど外で買い食いする機会が多いからだろうか。パリよりもニースやマルセイユなど南の街の方が、お小遣いの額は高くなっている。

未成年者向けクレジットカード

銀行では一定額以上は使えず、親がネットバンクで使用明細を随時確認&管理できる「未成年者向けのクレジットカード」も発行。それを利用している親子も多い。

我が家も小遣い制にしたことは皆無。子ども達が寮生活を始める高校入学時から、カードを持たせ、常に一定額を入金しておくようにしていた。

また村の小学生達にも「お小遣いは貰っていないけれど、銀行に自分の口座はあって、そこにパパとママは毎月貯金をしてくれてる」と言う子が多かった。

中学からは携帯電話などにお金がかかることは確実なので、子どもが小学生の頃からそれに備え「小遣いではなく貯金」という親も明確に増えている。

ネズミがくれる臨時収入

日本では乳歯が抜けると、上の歯なら縁の下に。下の歯なら屋根の上に投げるけれど(今もこの風習は続いているのでしょうか?)、フランスには「枕の下や、専用の小箱に入れておくと、夜、ネズミがきて、その歯を運び去り、替わりにコインを置いていってくれる」という言い伝えがある。
そのため、給食中に歯が抜けると、子ども達はその歯をナフキンに包み、大事にポケットに入れて家に持ち帰っている。

そして翌日「ネズミ、いくらくれた?」と尋ねると、「綺麗な歯だったから2ユーロくれた」「虫歯だったから5サンチームだけだった」などという答えもよく聴く。
そんな風に「歯磨き教育」の一環にしている家庭も多いらしい。

日本で屋根の上や縁の下に乳歯を投げる古くからの風習も「ネズミのように丈夫な永久歯が生えますように」と願うためだとか。
英国などでは妖精がコインに替えてくれるけれど、フランスやスペインは日本と同様にネズミ。 遠く離れた国同士でも、こんな風に意外な共通点があるなんて、なんだか楽しいですよね

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