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アート展やバレエ公演を仕掛けるテレビ局社員の働き方! 「嘘をつかない就活」で近づいた夢

  • 2022.1.6
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フジテレビで働く女性社員に、就活やキャリアについて聞いてみる短期集中連載もこれで最終回。今回は、イベント事業部で働く辻 香織さんにインタビュー。就活時代のお話から、昨年話題を呼んだKAWSの日本初大型展覧会やバレエ公演を0から立ち上げたお話まで、根掘り葉掘り聞いてみました。テレビ局やイベントを作る仕事に興味のある方は必見です。

今回お話を伺うのは...

辻 香織さん

早稲田大学(在学中にコロンビア大学留学)卒業後、2015年フジテレビ入社。事業局にてバレエ公演や美術展の制作を担当している。

「縁がなかったらそこまで」潔く覚悟を決めて臨んだ就活

Q. まずテレビ局を志したきっかけを教えてください

幼い頃からずっとクラシックバレエの公演に出演していて、大学に入り就活が近づいてくる中で、踊る方ではなくて公演のプロデュースを出来るようになりたいという思いが強くなりました。ただ、舞台のプロデュースはとても専門的な分野なので、4年制大学に行った人が就ける仕事には選択肢が少なく、すごくハードルが高いんです。

そんなとき、テレビ局にイベントを作る事業部があることを知り、他局ではありますがクラシックバレエのプロデュースをされている方にお話を聞く機会がありました。お話を伺ってみると、まさに私のやりたいことができることに気づいたんです。そこで急遽テレビ局の就活を始め、いま私が所属している部署にピンポイントで絞って対策をしていました。

他の業界も端から端までチェックはしたんです。広告やコンサル、金融まで。それでも自分のなかでやりたいという気持ちが出てこなかったので、最終的にはイベント事業部のあるテレビ局と舞台制作にかかわる企業だけを受験しました。

Q. 業界だけでなく、仕事までピンポイントに絞って就活することに不安はありませんでしたか?

周りを見渡すと、テレビ局に入るためにインターンも含めて長期間準備をしてきた人が多かったので不安になることもありました。就活中考えていたのは、「マイペースに自分のやりたいことだけを伝える」こと。一般的に、私のようにピンポイントに“お目当ての職種”を絞ってしまうと、そもそも選択肢が少なくなってしまうと思うんです。「舞台のプロデューサーになるための仕事ができる場所ってどこだろう」と考えて、やっと見つけた数少ないこの場所を、どうやって手に入れようかと必死だったなと思います。

でも、いくらテレビ局に入りたいからと言って「テレビ番組制作にも興味があります」という言い方はせず、やりたいことをスパッと伝えるよう心がけていました。ご縁がなかったら諦めようと思う気持ちがあったので、「やりたい事は素直に」というのを当時は軸にしていました。危なっかしいですけど(笑)。

Q. やりたいことを正直に面接で伝えたからと言って、必ずしもその部署に配属されるわけではないですよね。

そこは信じて待つしかなかったので、今思えば大きな賭けでした。でもやりたいことだけを伝えたうえでいただいた内定だったので、自分の中で吹っ切れていた部分もあったんです。これでダメならしょうがないっていう気持ちで、不安だったんですけど腹は括れていました。ラッキーでしたね。

イベント事業部は「0から100まで」やる仕事

Q. 現在のお仕事について、詳しく聞かせてください

私の所属する事業局は、展覧会や舞台などのイベント事業の全般を担うため、担当タスクが幅広い部署です。私は、宣伝よりも中身を作る仕事が多く、最近では、KAWSの国内初の大型展覧会を担当しました。数年前に、KAWSがフジテレビ主催の展覧会に来てくれた時、KAWSが好きだった上司と一緒に「いつか機会があったら展覧会をやりましょう!」とお伝えしていたんです。展覧会を開催できる会場も見つかり、「やりましょう」となって昨年実現しました。

KAWS展での私の仕事は、展示内容を完成させる役割。題材や場所を決めて、どんな展示をするのか、どんな作品を誰から借りて、どうやって飛行機で運んで日本で展示するのか、各タスクの専門家を束ねて、企画を形にしていくことでした。同じ部署内でのタスクは他にも、チラシのデザインはどうするのか? チケットはいくらで売って、どのような宣伝・販売戦略を取るのか…。スポンサーを探したり、宣伝方法を考えたり、記者発表を行ったりもします。

私はグッズ製作も担当しました。まず、どういうグッズを作るのかKAWSと話します。例えば、今回は人気ブランドsacaiと一緒にグッズを作ったのですが、「アパレルならこんなブランドとコラボしたいけどどうですか?」と提案します。OKが出たら次はデザインのやり取りをして、値段を決めて、商品が形になっていくまで各メーカーさんとやりとりをして、最後はショップのレイアウトや配置を決める…。とにかくやることが果てしなくたくさんあって、実際にやってみると0から100までやる仕事だと感じました。

Q. 想像以上の仕事量ですね。どれくらいの期間をかけて、ひとつの展覧会を作るのでしょうか?

KAWSは短期集中型で1〜1年半でした。これがクラシックバレエになると海外カンパニーに所属するダンサーたちが冬か夏にしか来日できなかったりするので、3年前とか4年前から話を持ちかけますね。今なら「2024年の夏は空いてますか?」くらいのイメージです。そしてキャスティングが決まったら、劇場を探したり振付家を探し始め、公演まで進行、運営していく。想像以上に長期戦のものも多いと思います。

Q. 仕事の特性上、海外の方と仕事をすることが多いと思います。1日の生活スタイルはどのような感じですか?

時差ありきの生活ですね(笑)。まず朝7時くらいに起床して、まだギリギリ起きているアメリカやヨーロッパの方々とメールのやりとりをします。それから出社して、国内との打ち合わせをしたりメールのやり取りをします。仕事柄、現場に行くことが多いので、イベント直前期には美術館や会場で打ち合わせすることが多いです。そんな感じで夕方までは国内での交渉や打ち合わせの仕事をします。

私の仕事だと、外国が始業する時間帯にもオンライン会議や電話での打ち合わせが入るので、夕方〜夜ご飯の時間帯は休憩を取るようにしています。すべてが落ち着くのは深夜0時〜1時のときも。時差があるので、各国に住むビジネスパートナー同士で互いに歩み寄ることが本当に大切だなと感じます。

Q. 最後に、就活生にアドバイスをお願いします

私は就活中、就活だけの毎日にならないように意識していました。バレエのレッスンを続けたり、Y20という国際会議に参加したり、(現在の仕事とは関係ない)雑誌社でインターンをしていました。就活のことだけを考えてしまった時期は面接も落ちてばかりでしたし、性格上なにかを同時並行している方が集中力も高まるなと感じました。就活で悲しいことがあっても、他にやらないといけないことがあったほうが気分を保つのが楽というのもありました。自分の生活+αの感覚で就活をしてみるのもいいかもしれません。自分らしさを大切に、頑張ってください!

いかがでしたか? 大きなイベントの運営というキラキラした世界の裏側で奮闘する辻さんの姿は、「やりたいことをやっている」という充実感にあふれていました。テレビ局の仕事を紹介してきたこの連載もこれで最終回。ぜひこれまでの記事も振り返って、就活の参考にしてください。

撮影/岡田 健 取材/上戸 智香 編集/岩谷 大

 

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