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新年恒例「大発会」とはどのような行事か 晴れ着姿の女性、なぜ目立つ?

  • 2022.1.3
東京証券取引所の大発会に参加した晴れ着姿の女性(2020年1月、時事)
東京証券取引所の大発会に参加した晴れ着姿の女性(2020年1月、時事)

新年、仕事始めの日にニュースでよく見る「大発会」という行事。株取引に関わる人には恒例の行事ですが、その他の人にとっては、ニュースで流れる女性の晴れ着姿だけが印象にあるケースも多いのではないでしょうか。大発会とは、そもそも何なのでしょうか。なぜ、女性の晴れ着姿が目立つのでしょうか。東京証券取引所などを統括する日本取引所グループ(東京都中央区)広報・IR部の担当者に聞きました。

自然発生的に「絵になる」光景へ

Q.そもそも、大発会とは何でしょうか。かつては大発会を行った後、その場で株式の売買をしていたのでしょうか。

担当者「大発会は証券取引所での、年始の取引開始のことを指します。元々は催事をさす言葉ではありません。年始の取引開始日には株券売買立会場で手締めを行い、『それでは、今年も取引を始めましょう』と株の売買を始めていたのです。それが大発会です」

Q.証券取引は完全システム化され、株券売買立会場は1999年4月に閉場されたと聞いています。「1999年1月4日が最後の大発会」だったとも、日本取引所のホームページに出ています。その後の大発会とは。

担当者「東京証券取引所では、1999年に立会場が廃止となり、その跡に(株式市場の情報提供などを行う施設)東証アローズができました。それまで、年始の取引開始日に立会場でしていたことをセレモニーという形で行うようになりました。今では、そのセレモニーを大発会と呼んでいます。元々はただの取引開始であったものが、いつの間にか、手締めなどが年始の風物詩のようになり、今はセレモニーが続いている形になったということでしょうか」

Q.コロナ禍前は、一般の人も大発会に入場できたのでしょうか。

担当者「入場できました。事前申込制で、応募が多いと抽選する形でした。大発会のセレモニーをしている場所は普段は見学コースで、一般の人も入れる場所です。ただ、新型コロナの影響で、現在は一般の見学も休止しています。昨年から、大発会のセレモニーは一般入場者なしで開催しています」

Q.大発会というと、晴れ着姿の女性という印象があるのですが、参加しているのは証券会社の社員の人たちですか。なぜ、晴れ着姿なのでしょうか。

担当者「その年の取引開始ということは、イコール年始です。歴史をさかのぼると、証券会社の皆さんや私ども(日本取引所グループや東京証券取引所)の社員の中で、年始ということで、和服で来場する人が男女問わずおられました。新入社員や若手社員の女性だと、成人式のために仕立てた晴れ着を着てくる人も多かったのです。

大発会では取引を始める前に手締めをするのですが、立会場にはおよそ2000人が入ることもあり、かなり混雑します。晴れ着だと動きにくいということや、新入社員に手締めの様子を見せたいということから、証券会社の先輩たちが『前に行って見てごらんよ』と促して、自然と前に晴れ着の女性が集まることになったようです。当社の新入社員も同様です。そうすると、メディアの皆さんも、正月らしい華やかな絵が撮れるということで、写真や映像に晴れ着姿の女性が収まるようになっていきます。

『晴れ着姿の女性という印象がある』との質問ですが、和服姿の男性もかなりおられます。つまり、元々は証券会社の皆さんも当社社員も男女問わず、和服姿の人がいて、自然発生的に前に集まったことから、正月の風物詩的な感じで定着していったようです。メディアで使われるのは晴れ着の写真や映像が多いので『大発会といえば晴れ着』という印象ができたのではないでしょうか。

なお、立会場がなくなって、その場での取引がなくなり、大発会がセレモニーだけになってからは、主に当社の新入社員が晴れ着で参加するようになっています。証券会社の皆さんも参加しておられるのですが、基本的に代表の人になっており、晴れ着を着る世代の参加はあまりないようです」

Q.男女平等が強調される中で、女性の晴れ着姿が目立つことに違和感を持つ人もいるようです。

担当者「ご意見は真摯(しんし)に受け止めております。ただ、先ほど説明しましたように、男性で和服の人もおられます。また、私たちは新入社員に『晴れ着で来るように』とは強制しておりません。証券会社でも同様だと思います。なお、2021年1月の大発会は新型コロナウイルスの影響があり、規模を縮小して行いました。会場に入る人数を制限する中で、当社も新入社員の入場を見合わせました。

そのため、晴れ着を着る世代の参加はなく、晴れ着姿が並ぶ風物詩的な光景はなくなりました。2022年1月4日の大発会も規模縮小で行うため、2021年と同様だと思います」

Q.では、コロナ禍が収束したら、大発会は以前通りになるのでしょうか。

担当者「今後どうするかはまだ決めておりません。晴れ着についてのご意見も踏まえた上で検討することになると思います」

証券取引所グループのホームページによると、2022年の大発会は1月4日、東京会場(東証アローズ)は午前8時40分から、大阪会場(大阪証券取引所ビル)は午前8時30分から開始です。コロナ対策のため、ともに一般入場不可ですが、日本取引所グループYouTube公式チャンネルでライブ配信する予定です。

オトナンサー編集部

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