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文学 谷川俊太郎:やさしい気持ちになれる、心がふっと温かくなる珠玉の名作選Vol.39

  • 2021.12.31
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文学 谷川俊太郎

悲しみも、喜びも、怒りもぜんぶ私だと肯定してくれる

谷川俊太郎
©つのだよしお/アフロ

キャパオーバーでパニックを起こし、脳が活動を停止していよいよなにもわからなくなった時「この気もちはなんだろう」という言葉が視力検査のランドルト環みたいに遠くに浮かぶ。

すぐには読めなくて、1字ずつ、丁寧に文字を追っていくと、それは私の頭の中であると同時に、谷川俊太郎の「春に」だとわかる。よろこびで、かなしみで、いらだちで、やすらぎで、あこがれで、いかり。私の体を流れる気持ち、その全部が本当で、嘘偽りない私という存在を形作っている。全部ここにあって、全部感じられている。

なぜか今、好きだと叫びたくなる。私は生きることが好きだ。谷川さんの詩は、いつもそれを思い出させてくれる。

文・長井短

Information

谷川俊太郎

たにかわ・しゅんたろう/小・中学校の国語の教科書にも収録されている谷川俊太郎の詩「春に」。作曲家の木下牧子による合唱曲も有名。この詩を収録した主な本に『谷川俊太郎詩集 たったいま』(講談社青い鳥文庫)がある。

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