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藤津亮太の「2021年 年間ベストアニメTOP10」 キーワードは音楽、仕事と私、ロボットアニメ

  • 2021.12.26
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『フラ・フラダンス』(c)BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ

リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2021年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、アニメの場合は、2021年に日本で劇場公開・放送・配信されたアニメーションから、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第9回の選者は、アニメ評論家の藤津亮太。(編集部)

・『竜とそばかすの姫』
・『アイの歌声を聴かせて』
・『Sonny Boy -サニーボーイ-』
・『オッドタクシー』
・『白い砂のアクアトープ』
・『フラ・フラダンス』
・『映画大好きポンポさん』
・『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
・『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
・『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』
※順不同

2021年の印象に残った作品を紹介するにあたり、3つのキーワードをもとに選んだ。『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』など、10本の縛りの中に入り切らない力作も多かった。

●音楽

最初のキーワードは「音楽」。『竜とそばかすの姫』と『アイの歌声を聴かせて』はともに、歌を通じて関係性を築いていく登場人物の姿を描き出した。『竜とそばかすの姫』はネット世界でのアバター、『アイの歌声を聴かせて』はAIが入った人間そっくりのロボットボディと、どちらも身体性の問題に触れているのも興味深い。

続く『Sonny Boy』と『オッドタクシー』は、どちらも野心的なオリジナル企画で、ほかに類例のない作品だった。『Sonny Boy』は音楽を使う局面をストイックに絞り込み、その分、その回で流れる楽曲の印象を鮮烈にした。第1話で「少年少女」(銀杏BOYZ)の流れるラストは特に印象深い。『オッドタクシー』はHIPHOPレーベル・SUMMITが全面的にコミットし、動物キャラクターの犯罪ものという独自のジャンルを印象深いものにした。『Sonny Boy』『オッドタクシー』ともに音楽を使って、そのオリジナルな世界観を強く印象づけることに成功していた。

●仕事と私

2つめのキーワードは「仕事と私」。それぞれ『白い砂のアクアトープ』は水族館スタッフ、『フラ・フラダンス』はスパリゾートハワイアンズのフラガール、『映画大好きポンポさん』は映画監督を題材にしている。

『フラ・フラダンス』は新人フラ・ガールの試行錯誤の日々を優しい眼差しで点描していく。一方『映画大好きポンポさん』は、編集作業を通じてクリエイティブの深淵と厳しさを描いた。仕事の持つ「社会との接点」と「自らの生き方」というそれぞれの側面にスポットがあてた2作に対し、その両面を持ち込んだのが『白い砂のアクアトープ』で、「ゆりかごの中の夢」を描いた第1クールから、その外に出た後の「夢」のあり方を問う第2クールへの転換が「仕事と私」というテーマを深堀りしていた。

●ロボットアニメ

3つ目は「ロボットアニメ」。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、『エヴァンゲリオン』シリーズ全体を包含するような内容でシリーズの掉尾を飾った。内容も「圧倒的なスペクタクル」「映像の快感」「広く共感を受ける成長物語」と三拍子揃って、TVシリーズ開始から25年の間に増えたさまざまなファンを納得させる内容になっていた。

『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』もまた、2005年に始まったTVシリーズも念頭においた上での、シリーズ完結編。ただしこちらは、ヒロイン・エウレカが自らの人生を発見していくという物語を中心に据えており、キャラクターの人生に立ち会った感動を味わうことができた。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の夜間の市街戦シーンは、“おなじみ”になってしまった「ガンダムの世界」の世界の戦闘シーン描写を大幅に刷新するものだった。また富野由悠季による原作小説のとっつきにくい部分を、うまく映像化して、キャラクターのドラマがより身近なものになっていた。(藤津亮太)

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