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激しい腹痛に要注意!急性腹膜炎がどんな病気なのか医師に聞きました

  • 2021.12.24
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急性腹膜炎は命に関わることもある怖い病気。急に激しい腹痛に襲われた時は注意が必要です。今回は急性腹膜炎の症状や原因にについて城西内科クリニック院長の髙橋聡美さんに話を伺いました。

急性腹膜炎とはどのような症状か教えて下さい

腹膜とは、横隔膜の下〜骨盤内部までの、いわゆるお腹の内側を覆っている膜。そして腹部の臓器(胃や肝臓、小腸大腸、子宮や卵巣、膀胱など)の外側の膜のことを言います。広げると畳1枚分にもなり、腹膜で囲まれた空間は腹腔と呼ばれ、無菌の空洞となっています。この腹膜に何らかの原因で炎症が生じることを腹膜炎といいます。腹膜炎には急性腹膜炎と慢性腹膜炎の2種類があります。

急性腹膜炎の場合は、通常は歩けないほどの痛みが急激に起き、吐き気や嘔吐、発熱、寒気、頻脈を伴うことがあります。ほとんどの場合、非常に重篤な病気または生命を脅かす病気の徴候といえます。

一方、慢性腹膜炎は、急激な腹痛に襲われることはほとんどありませんが、2~3ヵ月の間、腹痛と微熱、全身の倦怠感、食欲不振といった症状が悪化したり、治まったりを繰り返します。また腹膜炎は、炎症の範囲が広くなると痛みも強くなり、無意識にお腹を守ろうとするので腹部が板のように硬くなることもあります。

急性腹膜炎の原因を教えて下さい

腹部に問題があり、臓器が炎症や感染を起すことで起こります。細菌感染因子と、物理的・化学的刺激因子炎症があげられます。

(1)細菌感染因子

急性虫垂炎、急性胆嚢炎、急性膵炎などの腹腔内の臓器の炎症が腹膜へ広がることによって生じます。一般には急性虫垂炎が最も頻度が高くみられますが、女性の場合、骨盤腹膜炎を考える必要があります。

骨盤腹膜炎は、腟や子宮頸管にいる微生物が、子宮内膜、卵管卵巣に連続して感染し、その周辺組織や腹膜にまで広がってしまった状態を指します。腹膜炎にまでならないまでも、子宮、卵管、卵巣の感染症は35歳未満の女性で起こりやすいです。性交渉で感染します。症状は、一般に月経の終わるころから2~3日後に起こります。最初のうちは、片方の下腹部に痛みを感じたり、不規則な性器出血、おりもの等がみられます。悪化する前に婦人科を受診して治療することをおすすめします。

(2)物理的・化学的刺激因子

外傷や消化管疾患などによって、消化管に穴が空いて、血液や腸管の内容物などが腹腔に漏れ出して強い刺激を生じ、腹膜炎を引き起こすことがあります。

その原因には、胃・十二指腸潰瘍、虫垂炎、腸閉塞、胆嚢炎などがありますが、妊娠可能な女性においては他に、「異所性妊娠の破裂」について注意が必要です。異所性妊娠とは、子宮ではなく、卵管など異常な部位に受精卵が着床することです。胎児は子宮以外の場所では生存できないので多くの場合6〜16週間後に、胎児を含む構造が自然に破裂します。破裂すると出血多量で、生命が脅かされることもあります。

急性腹膜炎の治療法を教えて下さい

消化管に穴が空いているのならふさぐ手術、虫垂炎なら虫垂切除術というように、原因を取り除く治療が優先的に行われます。消化管に穴が空いているわけではなく、腹膜炎の部位が限られている場合は、補液、抗生剤の投与にる治療で治ることもあります。

しかし、基本的には早期の緊急手術を必要とすることがほとんどです。急性腹膜炎は、原因となる疾患にもよりますが、早期に治療すれば病気が治ることが多いです。夜間であっても、緊急に治療を受けてください。

急性腹膜炎の危険性を教えて下さい

腹腔内は本来なら無菌なため、菌が入り込むと増殖が急激に進んでしまいます。消化管が破れて腹膜炎になると、敗血症が起こりやすく、さらに、腹膜炎が数時間に及ぶと、腹腔へ体液が漏れ出てしまい脱水を起こし、ショック状態に陥ることもあります。

また、炎症性物質が血液中に放出されることで、さまざまな臓器が影響を受け、重度の肺炎、腎不全、肝不全などの多臓器不全を起こすことがあるなど、急性腹膜炎は早くに治療しなければ死亡する危険のある病気といえます。

その他何かアドバイスがございましたら教えて下さい

腹痛は腹膜炎の徴候の1つです。女性で下腹部の痛みを感じる場合は、発熱やおりものの異常、不正出血、性行痛、排尿時違和感などの、女性器の炎症や病気を疑う他の症状がないか気にかけることが大切です。

そして、もしこのような症状があった場合は、かかりつけの産婦人科、もしくは産婦人科がある総合病院へ、早めの受診をおすすめいたします。

教えてくれたのは

城西内科クリニック 院長 髙橋聡美さん

順天堂大学練馬病院糖尿病内分泌内科助教、医学博士、糖尿病療養指導医、臨床栄養学会指導医、内科認定医、米国マハリシ国際大学アーユルヴェーダ臨床医学ドクターベーシックコース終了、日本ホリスティック医学協会専門会員、肉体面への西洋医学による治療に加え、アーユルヴェーダの診断や量子理論、自然栄養療法、運動療法などを組み合わせた治療を、個々の体質とライフスタイルに合わせて実施。なるべく薬に頼らないホリスティックな診療を展開している。

城西内科クリニック公式サイト

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