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『きんぎょが にげた』から考える、何度も読みたくなる絵本の秘密

  • 2021.12.24
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『きんぎょが にげた』五味太郎/著 表紙

参加型絵本が生み出す“インタラクティブ”感。

絵本の中に隠れたキャラクターを探したり、間違い探しをしたりできる“参加型絵本”も人気のジャンル。一度正解がわかったら飽きそうなものだが、ポイントはそこではないらしい。

「コミュニケーションツールという意味で、大人と子供が絵本を通して共同作業をできる“参加型絵本”は理想的。絵を見て、物語を追うだけではなくて、手で指さすなどの動作が加わることで、子供の好奇心をいっそう高めてくれます。記憶能力が発達するにつれて正解を覚えることもありますが、子供にとってはそれも喜び。毎回“できた!”という達成感を大人と共有できるのも、百読の理由でしょう」(今福)

近年は、指さしだけでなく、様々な動作を誘うようなインタラクティブ感がより強い参加型絵本が人気だそう。

「絵本の中にいる蚊を探して叩く、付属のルーペを使ってキャラクターを探すなど、正解うんぬんではなく、アトラクション感覚で楽しめるものも。読み聞かせが苦手でも、ページをめくるだけで自然と盛り上がるエンタメ性の高さも、ハマる要因かも」(磯崎)

『きんぎょが にげた』五味太郎/著

『きんぎょが にげた』五味太郎/著 表紙

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『きんぎょが にげた』五味太郎/著

金魚鉢から逃げ出した一匹のきんぎょ。カーテンの水玉模様の中、キャンディの瓶。隠れたきんぎょを探して楽しむ、絵探し絵本の代表作。1982年刊。福音館書店/¥990。

『むれ』ひろたあきら/著

『むれ』ひろたあきら/著 表紙
『むれ』ひろたあきら/著 中面

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『むれ』ひろたあきら/著

ページにぎっしり描かれた魚や羊の“むれ”。1つだけ紛れた“仲間はずれ”を探すうち、大切なことに気がつく。「みんなと違ってもいい」。多様性の時代を生きる子供へのメッセージが込められた、次世代の探し絵本。2019年刊。KADOKAWA/¥1,100。

『カシュカシュのまちでかくれんぼ』アガット・デモワとヴァンサン・ゴドー/著 うちださやこ/訳

『カシュカシュのまちでかくれんぼ』アガット・デモワとヴァンサン・ゴドー/著 表紙
『カシュカシュのまちでかくれんぼ』アガット・デモワとヴァンサン・ゴドー/著 中面

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『カシュカシュのまちでかくれんぼ』アガット・デモワとヴァンサン・ゴドー/著 うちださやこ/訳

本に付属している赤いルーペを使って街の風景を見てみると、郵便局にパン屋さんに……、かくれんぼしていた人やものが見えてくる。道具を使うことで“探す”面白さを引き出す。フランス人作家によるイラストが美しく、大人も楽しめそう。2019年刊。アノニマ・スタジオ/¥2,090。

『人体ジェットコースター』中垣ゆたか/著 奈良信雄/監修

『人体ジェットコースター』中垣ゆたか/著 表紙
『人体ジェットコースター』中垣ゆたか/著 中面

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『人体ジェットコースター』中垣ゆたか/著 奈良信雄/監修

人体をジェットコースターに見立て、口から胃や腸へ、超高速で駆け巡るアトラクション型図鑑絵本。「ごおおおお!」などの擬音が満載で臨場感たっぷり。細胞などが擬人化されていて、細かいキャラクターを探すのも楽しい。2021年刊。ポプラ社/¥1,650。

『カ どこいった?』鈴木のりたけ/著

『カ どこいった?』鈴木のりたけ/著 表紙
『カ どこいった?』鈴木のりたけ/著 中面

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『カ どこいった?』鈴木のりたけ/著

手の上に蚊がとまった。せーの、パーン!次は積み木の上に、ケーキの上に……。逃げる蚊を叩こうとするたびに、ガッシャーン!色々なものが壊れていく。声に出して、手で叩いて、勢いよくページをめくる、快感と笑いあふれる“アクション絵本”。2018年刊。小学館/¥1,320。

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「絵本ナビ」編集長・磯崎園子 イメージイラスト

磯崎園子(「絵本ナビ」編集長)

いそざき・そのこ/大手書店の絵本担当の経験と自身の子育て体験を生かして、絵本情報サイト「絵本ナビ」のコンテンツ制作を行う。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)。

twitter:@isozakisonoko

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教育学博士・今福理博 イメージイラスト

今福理博(教育学博士)

いまふく・まさひろ/武蔵野大学教育学部准教授。発達科学、発達心理学の専門家として乳幼児の言語獲得やコミュニケーション能力を研究。著書に絵本『どこかな どこかな?』(エンブックス)。

公式サイト:https://note.com/masa_ima/

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