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『いないいないばあ』から考える、何度も読みたくなる絵本の秘密

  • 2021.12.22
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『いないいないばあ』松谷みよ子/文、瀬川康男/絵 表紙

フリとオチが作る“間”が爆笑を誘うトリガー。

絵本の定番と言えるのが“フリ”と“オチ”。最初に「いないいない……」とためを作り、「ばあ!」で勢いよく落とす。それを繰り返す構成だ。

「これはもっとシンプルに大人と子供が一緒に遊べる形。生後間もない赤ちゃんは記憶能力が発達しておらず、徐々に一時的に物事を覚えていく記憶能力が発達します。最初は“フリ”と“オチ”に気づかず、大人のアクションを見て喜んでいますが、記憶能力が発達するにつれて、なんとなく次の展開を予測できるようになります。オチが来るぞ……と期待するのです。

お笑いでもそうですが、わかっているからこそ笑っちゃう。その間の取り方が上手な絵本ほど、繰り返し読みたくなるのかもしれません」(今福)

磯崎さんは“フリ”と“オチ”のバリエーションの多様化に注目する。
「動物が脱皮したり、お相撲さんが乗っかってきたり、構成は定番でもユニークなシチュエーションを設定する絵本が目立ちます。大人も思わず笑っちゃうようなユーモアがあると、いっそう盛り上がりそうです」

『いないいないばあ』松谷みよ子/文 瀬川康男/絵

『いないいないばあ』松谷みよ子/文、瀬川康男/絵 表紙

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『いないいないばあ』松谷みよ子/文 瀬川康男/絵

あやし遊び「いないいないばあ」を、動物たちと一緒に楽しめる本。累計発行部数700万部超という日本一のロングセラー絵本。1967年改版。童心社/¥770。

『みたらみられた』たけがみたえ/著

『みたらみられた』たけがみたえ/著 表紙
『みたらみられた』たけがみたえ/著 中面
『みたらみられた』たけがみたえ/著 中面

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『みたらみられた』たけがみたえ/著

野で、山で、いつもの散歩道でふと目が合った生き物たち。こちらが見ていたはずが、気づけば向こうがこっちをじっと見ていた!ドキッとしつつも、生き物と通じ合ったような心躍る瞬間を迫力ある木版画で描く。生き物たちの目ヂカラがすごい!2021年刊。アリス館/¥1,650。

『だっぴ!』北村直子/著

『だっぴ!』北村直子/著 表紙
『だっぴ!』北村直子/著 中面
『だっぴ!』北村直子/著 中面

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『だっぴ!』北村直子/著

ダンゴムシやヘビ、ザリガニなどが、もぞもぞ……もぞもぞ……。ページをめくると脱皮して大変身!見開きごとのテンポがよく、脱皮した後の生き物たちの姿、表情から、その爽快感が伝わる。子供も一緒になって服を脱ぎながら、全身で楽しめる一冊。2019年刊。こぐま社/¥990。

『たぷの里』藤岡拓太郎/著

『たぷの里』藤岡拓太郎/著 表紙
『たぷの里』藤岡拓太郎/著 中面
『たぷの里』藤岡拓太郎/著 中面

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『たぷの里』藤岡拓太郎/著

とぼとぼ歩いていると……“たぷ”。きこきこ一輪車をこいでいると……“たぷ”。何をしていても必ず力士・たぷの里が肉感満載で乗っかってくる、相撲フリ・オチ絵本。ギャグ漫画家・藤岡拓太郎のシュールな絵と絶妙な“間”に、子供も大人もハマる。2019年刊。ナナロク社/¥1,320。

『じゃない!』チョーヒカル/著

『じゃない!』チョーヒカル/著 表紙
『じゃない!』チョーヒカル/著 中面
『じゃない!』チョーヒカル/著 中面

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『じゃない!』チョーヒカル/著

きゅうり……じゃなくてバナナ!みかん……じゃなくてトマト⁉目の錯覚か、新種の食べ物か?既成概念を覆す、不思議な食べ物の姿を画像で見せる、新感覚の写真絵本。さらに驚きが進化した『やっぱり じゃない!』も発売中。2019年刊。フレーベル館/¥1,540。

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「絵本ナビ」編集長・磯崎園子 イメージイラスト

磯崎園子(「絵本ナビ」編集長)

いそざき・そのこ/大手書店の絵本担当の経験と自身の子育て体験を生かして、絵本情報サイト「絵本ナビ」のコンテンツ制作を行う。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)。

twitter:@isozakisonoko

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教育学博士・今福理博 イメージイラスト

今福理博(教育学博士)

いまふく・まさひろ/武蔵野大学教育学部准教授。発達科学、発達心理学の専門家として乳幼児の言語獲得やコミュニケーション能力を研究。著書に絵本『どこかな どこかな?』(エンブックス)。

公式サイト:https://note.com/masa_ima/

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