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アニメ おソノ(『魔女の宅急便』):やさしい気持ちになれる、心がふっと温かくなる珠玉の名作選Vol.30

  • 2021.12.22
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アニメ おソノ(『魔女の宅急便』)

相手を信頼してそっとサポートする「おソノイズム」は、やさしさの理想形

おソノ『魔女の宅急便』
「魔女の宅急便」©1989 Studio Ghibli・NDHDMTK

ジブリ史上最もいい女だと思っているのが『魔女の宅急便』に出てくるおソノさん。パン屋〈グーチョキパン店〉のおかみで、コリコの町にやってきたキキを気に入り、お店の屋根裏を住居として提供してくれる恩人だ。

彼女のすごさは、一人の女の子が自立するために必要なものすべてを与えているところ。キキの成長は、彼女の支援なしにはあり得なかったと言っても過言ではないだろう。普通、見ず知らずの女の子にここまでやさしくできるだろうか。しかもこのとき彼女は、これから赤ちゃんが生まれるというナーバスな時期。

他人である魔女を家に入れるなんて、本来ならば相当覚悟がいることだ。にもかかわらず彼女は、人間不信に陥ることなく、直感で大丈夫だと確信した相手をすぐに受け入れた。干渉しすぎず、適切な距離を保ちながらもケアできるところはしっかりする。単なるお節介とは違うバランス感覚の良さがある。この「おソノイズム」は、あらゆる人が身につけるべきやさしさの理想形ではないだろうか。

本作は他者サポートの成功例を見せてくれたといえる。そして彼女がこんなにも素敵な女性でいられるのは、パートナーの存在があってこそ。おソノはパートナーに一切相談せず、キキを独断で家に招くが、その行動に対して彼は何一つ文句を言わない。きっとそれは彼女にまかせておけば世界はうまく回っていくと信じているからであって、その強固な信頼関係も素敵すぎる。

談・トミヤマユキコ

Information

おソノ(『魔女の宅急便』)

角野栄子による児童文学をもとに、宮崎駿監督によって1989年に同名でアニメ映画化。主人公のキキが親元を離れ、知らない町で魔女として一人立ちする姿を描く。おソノさん役の声優は戸田恵子。

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