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「ドクターX」野村萬斎、米倉涼子による表現の振り幅を絶賛『優れているなどという簡単な言葉では収まり切らない』<インタビュー>

  • 2021.12.14
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野村萬斎が「ドクターX」を振り返る ※ザテレビジョン撮影
野村萬斎が「ドクターX」を振り返る ※ザテレビジョン撮影

【写真を見る】優しいまなざしで何かを見つめる野村萬斎演じる蜂須賀

米倉涼子主演「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」(毎週木曜夜9:00-9:54※12月16日[木]夜9:00-10:04、テレビ朝日系)は12月16日(木)に最終話を迎える。今シーズンは100年に1度のパンデミックで新局面を迎えた日本最高峰の大学病院「東帝大学病院」を舞台に、未知子が新たな戦いへと身を投じてきた。

最終話を前に、「医療現場の進化」を求め、「薬治療」「ケミカルサージェリー」を中心にした内科主導の組織変革をもくろむ、「東帝大学病院」のメディカルソリューション本部長・蜂須賀隆太郎を演じる野村萬斎にインタビューを実施した。

野村萬斎にとっての主演・米倉涼子の存在とは?

「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日

――萬斎さんにとって米倉涼子さんはどのような存在でしたか?

一言でいうと「七変化」される方。いろいろなシチュエーションでいろいろな表情をされるという印象があります。第5話(医療ミスをした要潤演じる興梠の代わりに今田美桜演じる正子をクビにした後)で、私の胸倉をつかむシーンの格好よさ、すし屋のシーンで見せた5歳児のようなあどけない表情、第9話、最終話での意志の強いまなざし、涙ぐむ姿など挙げればきりがないですが、その全てに魅力があるんですよね。

表情や演技がすばらしいというだけではなく、皆さんも感じているように私から見ても(米倉さんは)単純に格好いい。(米倉さんが持ちうる)美的感覚をいろいろな意味で背負っている、特殊な俳優さんだと思います。ここまでさまざまなものを備えている俳優さんはかなり稀有ではないでしょうかね。優れているなどという簡単な言葉では収まり切らない、そんな方です。

野村萬斎 ※ザテレビジョン撮影
野村萬斎 ※ザテレビジョン撮影

――現場では米倉さんとどのようなお話をされましたか?

最初の頃は、物珍しさからいろいろな質問攻めにあいました(笑)。「(狂言師は)どういう立ち方をするの?」「どういう構えをするの?」という話から始まり、取るに足らないなんでもない話もするようになりました。

最後の方は、食べ物の話をしていました。彼女が喜んでくれたのは、高級食材のフグの話かな。「フグってずっとポン酢につけて食べていると飽きてくるよね」といっていたので、「オリーブオイルを掛けると結構おいしいんですよ」と伝えたんです。

それをすぐに実践したようで「おいしかった!」と報告をもらいました。そのあと、「タイにオリーブオイルを掛けて、それに昆布を置いたらおいしかった」といきいきと話してくれたので「喜んでくれてよかった」とは思ったのですが、よくよく考えたら「それって結局カルパッチョじゃん!」ということに気が付きましたが、彼女にはそれを伝え忘れてしまいました(笑)。

私が言ったことがきっかけかは分かりませんが、彼女は最近、魚にオリーブオイルを掛けて食べるのにはまっていたようです。

「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日

未知子へ向けるまなざしの意味を明かす

――第1話からこれまで、蜂須賀が変化した点はどういったところだと思われますか?

視聴者の方にとって、(蜂須賀は)どういう人物なのかが分かりにくいキャラクターだったと思います。(蜂須賀のことを)簡単に言えば、蛭間(西田敏行)院長代理を頂点とする外科には受け入れ難い「切らずに治す」内科というスタンスにいる人物。「ドクターX」が長寿番組であるからこそ、医療が変化しているということを受けて先進医療を反映している、その象徴として蜂須賀は登場しました。

外科と意見がぶつかることも多くあり、権力争いに身を投じていた蜂須賀が、途中から「ケミカルサージェリーに『なぜこだわるのか』」という真意が少しずつ出てきたというのが変化ではないでしょうか。最初は権威のためだけに行動していると思われてきた蜂須賀が、実はそうではなく、100%の治療や医療を本気で実現しようとしているということが少しずつ明らかになってきました。

その蜂須賀の変化は大門未知子(米倉涼子)へ向けるまなざしの違いに現れていると思っているので、そこを感じ取っていただけると私としても制作側としてもうれしい限りです。私自身、蜂須賀の真意が出るまでは本当に「辛抱」をしました。第9話、最終話でようやく(蜂須賀の)全貌が明らかになり、全て解決するので、視聴者の方にとってもいろいろ吹っ切れる第9話、最終話になるのではないかと思います。

「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日

――未知子へ向ける優しい目線の意味は「恋愛感情」であるというふうに受け取ってしまっていいのでしょうか?

大門未知子をあくまで内科の実験的先進医療の道具として見ていた蜂須賀の目線が、だんだんそうではなくなってきたと。ハートを向けるような目線の変化が視聴者にどう映っているのかも非常に楽しみです。ただ単に(恋愛としての)ハートじゃない、複雑にそして壮大に描かれています。私としても蜂須賀としても第9話、最終話を見ていただかないと報われないのでぜひご覧ください。

蜂須賀と大門未知子は、考えは違うけれど、「信念を持っている同士」というふうにプロデューサーから最初に言われていました。正反対だった2人が、回を重ねるごとに同じ方向を向いてくるのですがあくまでも「患者を救いたい」という理想があってこその関係なので、そこは普通の恋愛ドラマのような描写としては描かれていないというところではないでしょうか。

「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」最終話より (C)テレビ朝日

野村萬斎が蜂須賀にとっての「未知子」を分析!

――長く続く作品に参加することへの難しさなどを感じることはありましたか?

クランクインするにあたって、「ドクターX」シリーズを全て拝見し、非常に完成されたチームで、キャストもスタッフも動いているのだなというのが分かりました。完成されているチームに、新しく参加することで自分のペースがどう乗れるのか、少し戸惑った部分はありました。

「最強の敵」という触れ込みもあり、(未知子に)立ちはだかるようなこわもてな一面もあり、やなやつというイメージもあって、視聴者は多少なりとも「何こいつ」と“うざがっていた”のではないかという気がしていますが、それはそれでこちらの狙い通りでした。

それ(蜂須賀の存在や行動に違和感を抱く視聴者)をうまく引き止めつつ、さらに物語のペースに(自分自身も視聴者も)うまく乗せていくというのはなかなか辛抱のいる作業だったかなと思います。

――これまで印象的だったシーンやせりふを教えてください。

「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」第9話より (C)テレビ朝日
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」第9話より (C)テレビ朝日

蛭間院長代理を演じる西田さんとのシーンは面白かったです。特に一対一で行うシーンはなんとなく、キツネとタヌキの化かし合いのようでとても楽しかったです。どちらがタヌキで、どちらがキツネかは見たままな気がしますが(笑)。

蛭間も蜂須賀もお互い腹の内を見せないで、相手の嫌だなと思う部分をちくりちくりと刺し合うことが多かった。蛭間と蜂須賀のように西田さんと私も演じるキャラクーに寄せて、あまり腹の内を全て見せ合うようなことはしなかったので、「どんな感じでくるのかな」「どんな球がくるのかな」とワクワクしながら臨みました。

大勢の方がいる会議のシーンは、(一対一のシーンに比べて)権力を持つ蜂須賀の方が蛭間を押すようなシーンが多いのですが、西田さんと2人きりのシーンでは駆け引きめいたお芝居ができるので、スリリングな面白さを感じました。

――蜂須賀にとって大門未知子はどのような存在だとお感じですか?

「100%の医療を実現する」という信念を貫こうとする蜂須賀の前にやっと現れた「理想」の人物。みんな忘れてしまっているかと思うんですが、彼(蜂須賀)は元・外科医だったのです(笑)。

どうして内科に転じたか、外科でどういう成績を残したかは分かりませんが、外科の限界をいち早く知った人だからこそ、それを否定し、一種の悲しさも感じています。

そんな彼が否定していたものを覆す存在が大門未知子という「失敗しない医者」。まさに蜂須賀が理想としている「100%(=患者を救うことができる)の医者」が存在しているということが、諦めてしまった彼の(外科医としての)価値観をもう一度、目覚めさせたという気がしています。

医療上のパートナーシップなのか、恋愛としてのパートナーシップなのかは分かりませんが、蜂須賀にとって未知子は居心地のいい存在であることは間違いないと思います。2人がどういった関係に落ち着くのか、蜂須賀の信念はどうなってしまうのか、そこも併せて最終話を楽しんでいただければと思います。

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