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確定拠出年金(DC)結局どの商品を選べばよいの?

  • 2021.12.13
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Topic 1 加入者を躊躇させる心理的な障壁 ─ リスクという言葉の意味

前回までのコラムを読んでいただいた皆さんの中には、DC運用が自分自身の年金を確保する上で、非常に有効な手段であり、早速運用を始めてみようと思われた方もいらっしゃると思います。私自身もぜひ早く運用を始めていただきたいと思っていますが、これから運用を始める人や、すでに加入者であるにもかかわらず、DCをよく理解できていない人のほとんどが直面し、考え悩んでしまう障壁として『リスク』というものがあります。

リスク ─ この言葉を聞いて、皆さんは何を想像しますか? 私の経験上、ほとんどの人は“運用でお金を損する危険=リスク”をイメージされることでしょう。確かにその解釈は間違いではありません。しかし、DCに関わる皆さんにとっての『リスク』という意味は、その解釈だけでは正しいとは言えません。

DC運用含め、金融の世界で使われている『リスク』とは、『リターンの振れ幅』の意味で使用します。運用していると、様々な社会情勢により運用して得られるリターン(収益)は変動します。意味を正しく理解していない方は、この変動によって収益がマイナスとなる事が『リスク』だと言われている訳ですが、リターンの振れ幅というのは、マイナスになるだけではなくプラスにもなる訳で、この増減双方を総じて『リスク』と言います。

DCは長期運用です。受け取りは原則として60歳にならないとできません(正確には加入年齢によって異なる)。DCを運用している期間中、様々な社会情勢に伴い運用益の増減は必ず発生します。ただ漠然と怖がるのではなく、資産運用するというのはリターンの振れ幅があるという前提に立ち、適切な運用を行っていけば良いということを忘れないでください。

Topic 2 シンプルかつ永遠のテーマ 運用商品、結局自分はどれを選べばよいのか

次に、DC運用をやっている加入者なら一番聞きたいと思われる『運用商品の選び方』について少しお話 します。

私は過去、運営管理機関の人間として1,000社以上のDC導入企業、そこに在籍する社員の皆さんへ教育やセミナーなどを行っていましたが、そこで必ずと言ってよいほど質問されたのが「結局自分はどの商品を選べば良いのか?」です。しかしその非常にシンプルな質問に、私はその場で答えてあげることができませんでした。

以前このコラムで、運用を行う上で必要となる情報は、企業型DC加入者であれば事業主が提供する継続投資教育を通じて、iDeCo加入者は運営管理機関の中には自社サービスを購入した加入者に向けて提供される情報から入手できると言いました。どちらも理解度を初心者にフォーカスしており、とてもわかりやすい教材です。何故それだけわかりやすく学習しているはずの加入者の多くが、その質問を私にしてきたのでしょうか? そして私は何故答えることができなかったのでしょう? その理由については意外と知られていません。

それは、運営管理機関は確定拠出年金法で“個別商品の推奨行為が禁止”されているためです。運営管理機関が企業・個人向けに販売するDC商品には色々なタイプの商品があります。提供時、商品分類や運用会社、信託報酬率や信託財産留保額や商品特徴などの情報を提供しますが、運用をまさに今から始めようとする皆さんにすれば、そこに記載されている商品の詳細を理解するのも大変ですし、正直よくわからないと思います。そうなると判っている人に聞きたくなります。この“判っている人”というのがまさに当時の私であり、当時の立場では法律によりお答えできなかったということです。

Topic 3 その回答、ベターな回答? ベストな回答?

では皆さんは、自分が具体的にどの商品を選べば良いか(個別商品の具体的な推奨)を、誰に質問すれば良いのでしょうか? 企業型の場合は会社でDC制度運用を担当する部署やその担当者に質問するのが賢明です。個人型の場合は自分で探さなければいけませんが、ファイナンシャルプランナーやDCに精通した外部専門家を利用するといった方法もあります。

しかしどちらも『自分はどの商品を選べば良いか』という質問に回答を得られたとしても、長期運用という視点に立ってみると、その回答の賞味期限は、質問者の運用期間満期まで通用するわけではありません。

何故なら前述の通り、運用は様々な情勢によって変動しますし、質問者である加入者自身も年齢を重ねるにつれてライフステージが変化します。つまり運用は常に変化の中で行うものであり、何ひとつ止まっているものはないということです。仮に質問した20代の加入者が、その時点で(ベスト)な回答を得たとします。しかし30代・40代・50代と時間の経過と共に、ベストだった回答もベター、あるいはまったく合わない回答へと変化します。

この変化と運用の関係については別のコラムでお話しますが、こうした変化に応じて柔軟に対応していくべき加入者自身が対応せず、長年に渡り放置してしまっている方が非常に多いというのが現状です。私はこの個別商品推奨ができていないという課題と合わせ、実はこの加入者が誤って抱く安心感に対して大きな課題感を持っています。

運用は、様々な情勢による変化とご自身のライフステージ変化をシンクロさせ、然るべきタイミングでご自身の運用方針見直し・行動することが非常に重要であることを忘れないようにしてください。

Topic 4 DC、言うは易し行うは難し

ここまで私がお話したことは、運用をやったことのない方や苦手意識を持った方からすれば、一見すると総論的に感じられたかもしれません。リスクという言葉の解釈や、自分が選べば良い商品は何か?という質問に共通するのは、結局のところ“自分ではわからないから”であり、とにかく不安を安心に変えたいと思う気持ちですから、ピンポイントの情報収集を目的とする人からすれば、そう思うのは当然です。

しかしそれを踏まえた上で、敢えて私から皆さんにお伝えし続けたいのは、DC運用に関する基本を忠実に確実に理解していただきたいということです。前のトピックで、運用は常に変化の中で実行するものだとお話しましたが、様々な変化に合わせる対応力は、すべて基本がしっかりしているから発揮されるものですし、基本が抜けてしまっている方にその対応力があるかというと、残念ながら難しいと言わざるを得ません。

それが出来る加入者になっていただけるために、企業・運営管理機関が提供する初心者や苦手意識を持つ人でもわかりやすく構成された教材を使った投資教育が提供されているにもかかわらず、なぜ運用現場では自分に合った運用が出来ていない人が大勢いるのでしょうか? 要因は色々あるとは思いますが、私の私見として申し上げると、これから運用を始めようとする方や苦手意識を持っている方にとって、教育と行動は“似て非なるモノ”であり、そのギャップを解消する具体的な施策が必要であると感じています。

私が今の会社を創業し、DC運用サポートに専従しているのは、この加入者目線の課題を少しでも解決しようと考えているためです。

板山 康男/未来貯金株式会社 代表取締役社長

大手運営管理機関の出身であり、国内でDC制度の運用が始まる以前から、企業年金や企業型DCを導入する企業・社員向け投資教育の講師として約1,000社経験。現在はその経験を活かし、自社開発アプリ「みらいナビ®」提供はじめ、確定拠出年の運用について中立的な立場から、500社以上、約15万人の加入者のDC支援をおこなっている。

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